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結局のところ自分にとってのOctatrackとは

2021年3月に入手したOctatrack MK2(Black)。制作作業の合間をみてはいじり倒すという日々を続けて5ヶ月を過ぎようとしています。しかも前回のOctatrackの記事からしれっと余裕もないくせにDigitone Keysも手に入れてしまいました(これについてはまた追って書きたいと思います)。

今回は現段階で思うOctatrackについてメモまでに書き留めておきたいと思います。

1. サンプラーとしてのOctatrack

まず大前提としてOctatrackはサンプラーです。そもそも私は完全ではないにしてもある程度のDAWレス環境の構築を目指してこのOctatrackを手に入れました。かつて私はAKAIのSシリーズやRolandのSPシリーズなど所謂ハードウェアのサンプラーを数多く使用していました。それらは例えばコンテンポラリーダンスの舞台でリアルタイムで即興的に演奏するなど「楽器」として使っていたわけですが、Octatrackに関してはこれまでのプレイバック型のサンプラー(という括りは相応しくないかもしれません。各社内蔵エフェクトやらエディット機能がすでに充実し過ぎてますので)からさらに踏み込み、サンプルを過激に変化させて新たな音を生み出せるものとなっています。ここまで書くと非常に万能なイメージを持つかもしれませんが、実際にはそれなりに制約もあります。

2. Octatrackはサンプリングした後が面白い。

当たり前かもしれませんが、サンプラーの醍醐味はサンプリングするという行為そのものです。そういう点から捉えるとかつてのAKAIやRolandのSPシリーズを使っていた時は何より気楽にサンプリング出来る楽しさがありました。一方Octatrackはサンプリング出来る状態にまず持っていくのにそれなりに手間が必要です。ここでは細かい説明は省きますが各トラック(Octatrackはオーディオは8トラック)で何かしらの音源をその場でサンプリング出来るFlex(本体メモリーがベース)というモードでサンプリング出来る上限は16秒まで。基本的にそれだけあれば充分ですが、とうの昔にDAWによって録音時間の制限から解放されてしまった身にとっては少々工夫が必要なスペックです。これが良いか悪いかという事ではなく、Octatrackを導入する場合にはこういった仕様を予め知っておく必要があります。そしてこれも懸念という訳ではありませんが、サンプリングした後の音源の管理が少々難解で、場所や階層など慣れるまで時間を要します。とにかくサンプラーでありながらサンプリングする、という基本行為やサンプリングした後の処理作業などは思ったよりもささっと簡単に理解出来る訳ではない、ということも知っておく必要があります。とはいえStaticというモード(CFカードがメモリーのベース)では大容量のサンプルも演奏できますから、細かな機能をじっくりひとつずつ理解していけば直感的に使えるようになるでしょうし、自分に合った使い方が見つかると思います。何れにしてもOctatrack最大のメリットであるサンプリング後の加工作業の楽しさを考えればそれほど苦ではありません。

3. 真のDAWレス化に一役買うのか

これに関してはまだ未知数です。今現在、私の場合はまずはDAWでサンプルをある程度作り込みUSB経由でOctatrackに流し込んでから作業に取り掛かるという流れになっています。そして何かしら出来たら各々トラックごとにDAWに取り込んで編集するという手間をあえてしています(なのでお仕事では使ってないです笑)。結局事の始まりと終わりにDAWを使っている時点で目標設定が非常に甘いのですが、個人的には感覚としてはAbleton LiveのSimplerをハード化したようなイメージといいますか、ある程度のストレージ容量を持った持ち運べるAbletonのサブ機、という位置付けです。おそらくここまでの内容をざっと読んで「あぁ何か面倒臭そうだなぁ〜」という印象を持った方にはAKAI MPC Live IIの方が良いのかもしれません。身も蓋もないですけど。でも私もMPC Liveの方がモバイルバッテリーもあるし、スピーカーも内蔵だし最も理想的なDAWレス環境を組めるのはMPCかもしれないと思っています。というかむしろ今すぐ欲しいぐらいです笑。いや、それでもOctatrackに行きたい!という方ももちろんいらっしゃると思います。そういった方はこの記事も含めて他人の言葉に惑わされずにぜひ実際に手に入れてみて下さい。じっくりと音作りに浸るには最高のマシンのひとつです。

4. Elektronの哲学に触れたい

伝統的な楽器もそうですし、シンセもDAWもみんなそうですけど発明者、開発者の哲学に少しでも触れてみたい、という欲求が昔からあります。他に「デザインが良い!」とか値段とか様々な事情や理由もありますが、Octatrackを手に入れた一番の理由はElektronの哲学に触れたい、という想いがまずありました。そして私はいつも人生においても難しそうな道をあえて選んできました。作曲家を目指したのもそれが好き、ということもありますがどう考えても難しそうな道だったから、という理由も大きいです。それは機材選びもそうで私は出来るだけ難しそうなものをあえて選びます。マニュアルを食い入るように読みながら頭を掻き毟りつつ使い方をクリアしていくのがそもそも好き、という特性があります。そして何より自分自身に何か変化を与えたい、という想いもありました。私はこの二十数年音楽制作ばかりしてきました。そんな流れの中でこの数年は「そもそも自分はどんな音を作りたくてこの道を志したのか?何か作れているような気になっているだけで、本当は何も表現できていないのかも」と思うようになってきました。何となくこうやってクライアントワークに明け暮れたクリエイターが今頃自分を解放し出してもあまり碌な事にならない気もするのですが、考えるよりも先に手を動かすという意味でもOctatrackの意義は自分にとっては大きいです。本当は道具に頼らず自分の意識を変えるのが一番良いんでしょうけど、私は人間が出来ていないのでなかなかそう上手くはいきません。せいぜい出来心でメルカリに出品しないように、一生モノの「楽器」にしたいと今は思っています。

という事で今回は以上となります。すっかり長くなってしまいましたが、Octatrackに関しては今後も何かしら書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。

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