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DAW遍歴

25年もこの仕事をしているとDAWの乗り換えは非常に難題で、最も面倒臭いことのひとつです。それでも私の場合はその情報自体が好きな事もあり、毎日のようにDAWを触っていないと落ち着かないので、暇さえおればあれこれとDAW周辺の情報収集をしています。

そもそもDAWって何?という方にざっくり説明しますと、DAWはDigital Audio Workstationの略で、作・編曲、録音、編集が出来るシステムのことです。主にコンピューターを使うものですが、近年ではiPhoneやiPadでもある程度は出来るようになりました。

私の場合はYAMAHAのV50というシンセサイザーで打ち込みを始めたのが最初で、録音は別途テープレコーダーを使用し、ミックスはアナログミキサー経由で行い、最後のマスターはビデオデッキを使ってVHSテープに落とす(ダビング)するというワークフローでした。1990年頃のお話です。1992年頃にはKAWAIのシーケンサー Q80を購入して以降は過酷なアルバイトをしては音源モジュール(ハードウェアの音源)を買い足すということを繰り返すようになりました。

1995年には初めてのAppleコンピューターを超絶無理して導入。音源モジュールはE-muを中心としたシステムで、ソフトウェアはStudio Visionを採用しました。本当に今思っても使いやすいソフトでした(個人的には特にリストウィンドウが抜群に使いやすかった)。ですが突然開発元のOpcode社がギブソンに買収されてしまいます。無情にもサポートが突然停止、Cubaseへの半ば強引な乗り換えキャンペーンが開始される中、さんざん悩んだ挙句私はLogicへと移行しました。2001年にはMacBookを初めて導入してデスクトップ機を手放しドイツのハンブルクに移住。ソフトもReason、Cubase VSTへと移行するわけですが、自分にとってはReasonの利便性が勝りしばらくはReason一本での制作が続きました。その後MIDIよりも直接オーディオを扱うことが仕事上でも私の創作意識の中でも増えて、Pro Tools LEやTracktion(現在のWaveform)も併用していく中、2005年にAbleton Liveとの出会いがありました。そのMIDIとオーディオとの垣根のなさに大きな衝撃を受けまして、以降はほぼAbleton Liveでの制作(納品終了後はマルチトラック化してPro Toolsでもアーカイブ)となりました。

とはいえ時々GarageBandを使い、流れでLogic Proも導入し、継続してPro Toolsも使いながら、2年前には興味本位でStudio Oneを導入し、昨年末には何を血迷ったかCubase 10.5も導入。ついにはWindowsベースの制作環境作りにも踏み出しました。その背景には価格高騰の一方でOSのアップデートが短期間で相次ぐApple製品への一抹の不安と、メインマシンが使えなくなった場合のサブマシンの位置づけをこれまでよりも意義あるものにしよう、という二つの理由がありました。今現在Windows機ではPro ToolsとCubaseを運用し、Macでは主にAbleton、Logic、Studio One、Maxなどを運用しています。

結局振り返ればいつの時代もなかなかひとつのシステムには落ち着けなかったわけで、もはや今では「このDAWに絞ろう」という気持ちはなくなり、用途や仕事の内容によって積極的に使い分けようという方針になりました。その方が気分転換や頭のトレーニングになるし、何より才能のない自分にとっては近年のDAW周辺の有難いテクノロジーの数々を駆使しないとおそらく乗り切れません笑。周辺でも何となくマルチDAW使いが当たり前になりつつありますが、それは個人個人の事情それぞれだと思いますので、これから始めるという方はとりあえずはほとんどのDAWにはフリー版やお試し版があるので、気になったものを片っ端から使って、慣れながら考えるという気楽さでいいと思います。最後になりますが、これまで使ってきたDAWそれぞれの使い勝手や自分なりに感じたメリットデメリットなどはまた個別に取り上げていければと思っています。

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