見出し画像

総合栄養食って知ってますか?

こんにちは、はたま犬猫病院です。

いきなりですが、ペットの総合栄養食って聞いたことありますか?

「総合栄養食の定義」

総合栄養食とは、毎日の主要な食事として給与することを目的として、該当ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるようなバランスの取れたものであって、ペットフードの表示に関する公正競争規約施工規則に定める栄養成分等に関する運用基準を満たすものをいう。

*簡単にいうと:水と総合栄養食のフードだけで健康に過ごすことができるものということです。


総合栄養食と名乗るには二つの方法があります。

①分析による証明:犬で37項目、猫で42項目の栄養素を分析し、数値化することで総合栄養食の基準に適合しているかを検査することができます。この基準は1997年のAAFCOデータに基づき決定されています。(現在のAAFCOの基準は2016年版のものですが、日本では当分採用されないようです)

AAFCO:AAFCOとは「米国飼料検査官協会」のこと。「The Association of American Feed Control Officials」の頭文字をとってAAFCO(日本では「アフコ」)と呼ばれています。米国飼料検査官協会というのは、ペットフードの栄養基準やラベル表示に関する基準を制定しているアメリカの団体です。AAFCOが定めたペットフードの栄養基準は世界的なスタンダードとなっており、日本のペットフード公正取引協議会もAAFCOの栄養基準を採用しています。


②給与試験による証明:各ライフステージの犬または猫を必要な頭数を集めて、必要な期間その食事と水のみを給餌します。その期間中はフードの摂取量(毎日)、体重測定、獣医師による身体検査、血液検査(ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清アルカリフォスファターゼ、血清アルブミン、猫では血液中タウリン)を調べなくてはなりません。

上記の測定項目が基準値内である場合、総合栄養食と言えますが、検査期間やコストの問題があるため、これらの検査が行われることは少なく、世の中の市販フードの多くが分析方法で総合栄養食を名乗っているといっても過言ではありません。


ちなみに。日本で栄養分析を行う会社は数社のみで、費用は25万円です。そのため、検査期間を持たない中小のフード会社は一度測定したきりで、その後全く検査をしないということもあります。


総合栄養食の基準は、ペットフード公正取引協議会の会員のためのものであり、あくまでも自主規制です。総合栄養食を名乗るかどうかは各社の判断に委ねられています。

あくまでも総合栄養食の基準は会員のためのものであり、法的な拘束力はありません。外部の検査機関などによって栄養組成が保障されているものではなく、検査の頻度も規定されているわけではありません。検査結果の開示義務はないため、大手を含めてほとんどのメーカーは全ての情報を開示していません。

そのため、悪くいえば、検査しているかどうかなどは外部の人間にはわからないため、誰でもどんな製品でも総合栄養食を名乗ることができます。ペットフード公正取引協議会の非会員であれば、規則を守る必要もありません。


そういう事情があるため、獣医師は大手メーカーの総合栄養食を勧めるんです。

以下のような論文があります。

カナダで流通するドックフード16製品キャットフード11製品の栄養素を調べたところAAFCOに適合したのは25/27。パッケージに記載のある保障分析値の要件を満たしたのは9社のみだった(2018)。

イギリスで流通する犬と猫のウエットフード98製品ドライフード80製品の分析した結果、ヨーロッパのガイドライン(FEDIAF)に適合したのは、ウエットフード92%、ドライフード61%だった(2017)。


全てのペットフードが基準を満たしているわけではなく、AAFCOの基準に沿って作っているという趣旨の記載があっても、一概にそうとは言い切れない現状があります。日本で成分分析検査は検査費用が高額であり、コストの問題から上記のような論文は見つかりませんが、おそらく日本国内も似たような現状があると考えられます。


このような現状から、総合栄養食を食べていくのであれば、大手メーカーの総合栄養食を食べていくのが良さそうですね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?