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農業には2つの世界観がある!~議論を混乱させる原因~ 後編
農ライフスタイル実践研究所の山田です!
前回の農に2つの世界があるという話の続きです。
前編 https://note.com/tab_lab/n/n3c0c81f314b3
では、どういう世界があるかというと
僕自身の言葉で表すと
【産業としての農】と【ライフスタイルとしての農】の2つに大別できると思っています。
さらに細かく分類はできるのですが、今回はこの2つの分類について話してみたいと思います。
まずざっくりとキーワードごとで分類してみると
【産業としての農】
経済性、生産量、飢えの克服、GDP、法人、大規模化、スマート化、輸出など
【ライフスタイルとしての農】
生きがい、質、安心安全、文化歴史、個人、多様化、有機や自然栽培、地産地消など
といった具合に分けられるかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1712851877198-zuJLFyohNy.png?width=800)
なんとな~く、言わんとしていることがイメージできるかと思います。
これらを見て、どちらかは悪いというイメージがあるかもしれませんが、どちらも大事で、両輪であると個人的には思っています。
次に
個々の世界観の本質をすこし解説してみたいと思います。
【産業としての農】で大事にしているのは
経済性や功利性と言われるもので
資本主義という社会の前提の中で農業が動いています。
資本主義をどう解釈するかでまったく意味が変わってきますが、ここでは功利主義者のベンサムという人が言っていた「最大多数の最大幸福」という資本主義のよい側面を尊重したいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1712846586862-n347jUVPCK.jpg?width=800)
これはつまり・・
【みんなで幸せになろうぜー!】という考えです。
(ざっくりしすぎかな・・)
もうちょっと言うと
「経済を回して、飢えのない豊かな世界にしよう」
というのが【産業としての農】の目標でもあります。
※ここでは「貧困の罠」などの負の側面はいったん置いておきます
次に【ライフスタイルとしての農】です。
さきほどの【産業としての農】とは逆に資本主義社会がなくても成り立つ世界観で、昔のムラ社会や物々交換、自給自足、助け合いなどが考えられます。
農は、お金を媒介しなくてもできるので、昔からあたり前のように存在していたものですが【産業として農】が発達しすぎた現代社会では、そのアンチテーゼとして(その反発として)【ライフスタイルとしての農】が強調されるようになりました。
これをざっくりした形で言うと
【人間らしい生活をしていこうぜー!】という考えです。
この両方を見ると、どちらも悪いことはないのです。
しかし、双方の悪い点ばかりに目がいってしまうと対立が起きたり、議論が混乱したりします。
前回の話に戻ると
久松達夫さんが
『農家はもっと減っていい』という話は
【産業としての農】の立場から語っており
農業経営をする農家は減るべきだと持論を展開。
個人的にもその通りだなと思うわけです。
ただ、【ライフスタイルとしての農】から見ると、これから農業を無くなってしまうのか!と誤解を受ける人がいます。
これはあくまでも【産業としての農】の話であり、日本の農そのものが無くなると言っているわけでもありません。
確かにタイトルだけ見ると、煽っている感じがあり、どうしても誤解してしまうかもですが。
まあ、売るための出版社の戦略としては正しいですね。
【産業としての農】の世界では、農業はこれから集約化、大規模化が進むことになり
【ライフスタイルとしての農】の世界では、生活の中に農を取り入れていく人達が増えていく。
という現象が起きるかと思います。
またある人は
国民全員が農業をやっていけばいい!という人もいます。
それは
【ライフスタイルとしての農】の世界の話で
ひとり一人の生き方としては、とても素敵だと思いますし、日本人の幸福度はあがるかと思います。
ただ
【産業としての農】の世界では
そんなことをしてしまうとかえって生産効率が悪くなり、経済が回らなくなり、逆に日本が飢えることになります。
こんな感じで、農業には、二つの世界観が存在しています。
【産業としての農】と【ライフスタイルとしての農】
もっとシンプルな言い方をすると
【農業】と【農】と分けてもいいかもですね。
そして
この2つの世界観の二極化が進んでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1712852261871-o6SsGwIYfW.png?width=800)
この原因の大きな要因は、経済格差や貧困です。
日本は失われた30年を経て、先進国から途上国の状態へ衰退しています。
結果として食への予算も削られ、質量ともに減ることになり、それらを支える農家にシワ寄せが来て、淘汰され、より効率性を求められるようになりました。
それが【産業としての農】を助長することに。
それと同時に
9割の日本人が都市中心の生活になり
仕事や家庭の時間に追われ
自然の中での人間らしい生き方から離れてきました。
それが【ライフスタイルとしての農】を助長することに。
そんな社会変化により、2つの世界が二極化し
現在【農(農業)】が注目を浴びています。
これから、どうなるんでしょうか・・
ということで!
今回は農業には2つの世界があるということ話させていただきました!
ご清聴ありがとうございました!
![](https://assets.st-note.com/img/1712847110140-GIHvMzTsv8.jpg)
と!いいたい所ですが
他にもいくつかの世界があります笑
それは、また別の機会でしっかり話をしたいと思いますが
ひとつの例で言えば
農業経済学者の鈴木宣弘さんは
『世界で最初に飢えるのは日本』
という本を書いており
日本の食糧危機に備えることを主張されています。
かたや
農業と食糧の専門家である浅川芳裕さんは
『日本は世界5位の農業大国』
という本を書いており
日本が食糧危機になることあり得ないと主張されています。
え!どっち!?
ってなりますよね 苦笑
![](https://assets.st-note.com/img/1712851069509-rzetYRMANY.png?width=800)
この議論だと
今回話した世界観だけでは説明ができず
その背景には
経済や政治の世界観、国家観の違いが前提になって話がかみ合わなくなっています。
そんな話もまた時間があればいろいろとお話したいと思います。
今回は抽象的な話だったので
次回は具体的な話をしてみたいと思います。
ご清聴ありがとうございました!
おわり
【自己紹介】
非農家でありながら、東京の八王子で農業系サービス事業を展開。
専門分野は都市農業の経営、都市部での小さな農、コミュニティ農業、農のある生活、キャリア視点から見る農などで幅広く農業を語っています。
【研修事業のご案内】
東京キャリアファーム https://tokyo-c-farm.com/
年間を通じて募集中(おススメは春の時期)
ZOOMによる講座を中心として
東京八王子を中心に現場での農業体験も行っています。
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