早すぎる愛犬の死

こじろうが我が家にやってきたのは去年の10月頃。

野犬である母犬が保護され、産まれて間もない子犬も5匹一緒だった。ベージュっぽい毛並みが2匹、茶色が2匹、黒色が1匹。

父と一緒に見に行き、直感で決めたのが黒色毛並みのこじろう。よく見ると脚先とお腹の毛は白く、5匹の中では大人しい子だった。

屋外で開放的に過ごし、餌が大好きですくすくと育ち、3ヶ月後には10kg近くなっていた。
こじろうは人の目をじーっと見て、動きを観察する、頭が賢くて、「お座り、待て、伏せ」すぐに覚えていった。

ボール遊びが大好きで、普段は真面目ではしゃがない父も孫と一緒に遊んでいるかのよいうに夢中になっていた。そんな光景を見るのも好きだった。

仕事に行くとき、車が見えなくなるまで見送ってくれる。帰ってくるときも、じーっとこちらを見つめて、近づくとはしゃいで、お出迎えしてくれる。仕事終わりのさいっこうの癒やし。

庭にあるベンチに座っていると膝に前脚をかけて、登ってこようとする。だんだん成長していくこじろうを抱っこして、撫でる。すると満足したかのような顔で向こうを眺めながらリラックスしている。

父の口癖は、
「こじろう!保護されてなかったら死んどったかもしれんぞ!」そう言いながら、わしゃわしゃわしゃとこじろうの顔を撫で回した。

車の助手席にも乗せて、ちょこっとドライブしたり、公園に行ったり、兄弟と遊ばせたり。


そんなある日、父がいつものように朝の散歩に行こうとすると、こじろうの姿が見当たらない。分かるのは、柵の扉が開きっぱなしになっていること。

父は私を起こして、先に車でこじろうを探しに行った。私も探しに行く準備し始め、外に保管していた餌を取りに行こうとしたとき、父が帰ってきた。

どうしたんだろう?
「道で倒れとったばい。」
そう言いながら車の後ろから出てきたのは、
力が抜けたこじろうだった。口から血を流し、反応がない。

まだ体温が暖かったから、取り戻せると思い、
父と一緒に人工呼吸をした。「戻ってこい!!こじろう!!!」と叫びながら心臓マッサージをする父。その声聞いて涙を溢れさせながらマッサージの途中で人工呼吸をする私。人工呼吸の度に、こじろうの力のない目に目線が重なる。もう死んでる、途中からそう思わずにはいられなくなった。


ほんの数分、こじろうを早く見つけていたら、違う結果だったかもしれない。柵の扉の鍵を確認していたら、今も元気に過ごしていたかもしれない。
たくさんの「かもしれない」が父と私の頭に並んだ。

周囲からは、運命だったんだよ。運命なんだって信じるしかないって言われたけど
あまりにも可哀想な運命じゃないか。せっかく保護されて我が家に来てくれたのに。運命でまとめるな!!!

まだまだ、悲しみが癒えない。
仕事から帰っても、元気に出迎えてくれるこじろうはいない。


今、言えることは2つ。
こじろうが我が家に来てくれて本当に愉しかった、家族に明るさをくれた。ありがとう。でも、一緒にいた時間はあまりに短すぎた。もっともっと過ごしたかった。
そして、2つ目は、突然いなくなる命は身近にあるということ。もっと周りの人を大切にしていこうと思う。

こじろう、元気でね。また会いに来てね

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