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これからの商業施設を考える(Vol.2)

こんにちは、コーイチです。                     コロナ禍が始まる前より、アパレル業界は減速が進んでいましたが、コロナによりその状況が一層厳しいものになりました。
今回は、アパレル業界の状況とこれからのアパレル業界について考えていきたいと思います。                          よろしければ最後までご覧ください。

アパレル業界の状況

FireShot Capture 092 - アパレル業界の動向や現状、ランキング、業界規模など(2020年版)-推移

                                                         (出典:業界動向SEARCH.comより)

2019年-2020年のアパレル業界の業界規模(主要対象企業55社の売上高の合計)は6兆0,379億円となっており、成長の鈍化がみられます。

2019年の主要アパレル企業5社の業績は、売上高前年比はファーストリテイリングが7.5%増、しまむらが4.4%減、オンワードHDが3.2%増、ワールドが5.4%減、アダストリアが0.1%減となっています。                                            主要アパレル企業55社の中、27社が増収および横ばい、28社が減収を記録しました。
その中でもファーストリテイリングは2019年8月期で2期連続の2兆円越えを記録、さらに2019年8月には「ユニクロ」の海外売上高が初めて国内を上回りました。売上高、店舗数ともに海外が国内を上回ったことになります。

アパレル2位のしまむらは3年連続で減収減益と不振続き。国内の百貨店やショッピングセンターでも衣類品販売の低迷が続いていましたが、2021年2月期連結業績予想では、売上高が前期比3.9%増の5426億円、営業利益が同65.4%増の380億円、純利益が同99.3%増の261億円とコロナ禍で成績を伸ばしてきました。
これはコロナの影響が比較的少ない郊外型店舗が多いこと、普段着の構成が多いこと、本部集中のローコストオペレーション体制をとっていることが要因かと思われます。

最近元気なワークマンの2021年第3四半期決算では、売上高にあたる営業総収入は前年同期比16.1%増の831億円、営業利益が同23.6%増の201億円、純利益が同22.9%増の133億円と大幅な増収増益となっています。コロナ禍で作業服需要が減少する中、PB商品の拡充を図り、アウトドア向け衣料品などの売上げを大きく伸ばしたとされます。
又20年11月には宮崎県に「WORKMAN Plus 都城上川東店」を出店し、全47都道府県への出店を達成。店舗展開では「次世代店舗フォーマットの標準化」を進め、売場面積や駐車台数の拡張、1階は駐車場、2階に売場の「ピロティタイプ店舗」の展開をスタートさせました。

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       (出典:ワークマン21年3月期第3四半期決算説明資料より)

カジュアル化が進行する一方、2000年代半ばから浸透した海外系ファストファッションにも陰りが見え始め、2019年には「フォーエバー21」が経営破綻で日本を撤退。さらに「アメリカンイーグル」も撤退を決めました。

コロナ禍による影響

緊急事態宣言などにより、外出自粛期間や大型商業施設も休業に追い込まれ、アパレル業界にも大きな影響を与えました。

〇20年11月にはレナウンが破産手続きを開始、その他大手企業も閉店やブランドの廃止、リストラを発表。
〇上場しているアパレル企業12社のうち、直近の決算で、半数の6社が赤字に転落。
〇「ZARA」「H&M」両社が店を大量に閉店し、新店出店スピードを抑えると発表。
〇その他消費、住居、家庭用耐久財の支出は減少、中でも「被服及び履物」は大きな影響を受けた。
〇緊急事態宣言によるリモートワーク、長期臨時休業や外出自粛要請などの影響。
〇インバウンド需要の減少。
〇所得の減少や雇用不安が加わることによる低価格衣料品への消費行動。
〇大量の売れ残りによる、大量廃棄問題の影響。

近年20年間のアパレル消費は34.4%の減少で、20年前は消費支出全体に占める割合が5%以上あったのに、今では3.9%しかありません。
主な原因として考えられるのは、「クールビズ」など環境対応という強いメッセージにより、カジュアル化が一気に進んだこと。
「Amazon」や「ZOZO」のような通販サイトに加え、「メルカリ」などのフリマアプリ、さらに衣類品のレンタルやシェア、サブスク型も広まり、購入が減少したことなどが考えられます。

コロナ後のアパレル業界に求められること

ファッションビジネスジャーナリストの松下久美さんが、「ソーシャルグッド」を新しい指針に - 7つのキーワードという記事で下記の7つのキーワードを上げておられます。
〇「ソーシャルグッド」:
  サステナビリティに取り組むこと
〇「シーズンレス」:
  気候に左右されない服
〇「エフォートレス」「シーンレス」:
  肌触りがよくてストレッチ性のあるオンでもオフでも着られるような服
〇「タイムレス」:
  時代を超えた普遍性やほどよい時代性を兼ね備えた服
〇「ローカライズ」「個店経営」:
 現場の裁量を最大化し、スタッフのアイデアや、人的魅力で店をより
輝かせていく手法の導入
〇「セルフケア」「セルフヒーリング」「ウエルネス」:
 心身ともに健やかになるためのサポートグッズや、心理的・精神的なつながりを持ったブランドや店になること
 ほとんどがメーカーの商品開発で今後検討していくべき内容です。
 店舗側で出来ることとしては、「ローカライズ」「個店経営」くらいでしょうか。

その他には、下記のようなことが考えられます。
〇販路の多様化:
 実店舗、複数のEコマース、アウトレット、ポップストア展開など
 異業種店舗へのオンライン販売のみのサテライト出店(ショップインショ ップ)なども機会拡大にはよいかと思います。
〇販売方法の多様化:
 サブスクリプション、レンタル、シェア、分割購入、下取り強化など
 分割購入、下取りについては、スマートフォンで行っていますね。
 I phone など高くても買ってしまうことも多いと思います。        下取りしたものは、リサイクルや中古ショップ、海外支援などにも使えるかと思います。
〇リアル店舗での体験強化:
 ココでしかできない顧客体験の向上とオペレーションの効率化
 例:AR(拡張現実)とVRによる体験、情報発信など
〇受注生産の検討:
 在庫を抱えず、大量廃棄問題を解決するためと考えますが、注文後どの程度で届くかという問題やサプライヤーの問題もあるため、中々困難かと思われます。
但し、新商品の発表を早めに行い受注するようにすることや、カスタムオーダー商品を増やすことは可能かと思います。              〇サプライチェーンの改善
 効率化、自動化、多様化などによりサプライチェーンの改善に取り組む。

シタテル株式会社の「sitateru」というサービスは、300を超える縫製工場と連携し、得意な素材、商品、繁閑状況などを把握。地方の縫製工場と都市部のデザイナーなどをマッチングし、少量・短納期での生産を実現。ファッションブランドの受注から生産・管理までをワンストップで行えるECシステム「SPEC」も提供を開始。
また「靴下屋」で有名なタビオ株式会社は、店舗の売り上げや在庫の状況を工場と共有し、売れている商品を必要な数だけ生産するシステムを作り上げることで、ニーズに即した生産による在庫ロス削減、納品までの日数短縮等の経営効率化を実現しています。
ファーストリテイリングは、効率的な保管、搬送、仕分けするマテリアルハンドリング分野で世界トップメーカーである株式会社ダイフクと戦略的グローバルパートナーシップを構築。東京・有明本部内にあるEC向け物流倉庫をはじめ、国内10カ所前後に新物流センターを開設し、そこで物流倉庫の全自動化に乗り出しています。

〇アイテムの複合化で世界感を表現:
 良品計画のように、ブランドとしての世界感を示した雑貨や飲食などを 複合させることで、ファッションだけでないライフスタイルそのものを提案、体験できる店舗。
アパレルが目指すライフスタイルを空間で体現し、販売したほうがより魅力的になるかと思います。
〇パーソナライゼーション:
 相談や販売ツールとして、ビデオチャットなどの活用。
 オンラインショッピングでも相談出来るニーズはあると思います。
〇物流サービスと組んで、店舗の「フルフィルメント・ハブ」化:
 Eコマースで購入した商品を迅速に届けるため、リアル店舗をフルフィルメント・ハブ化する。
 *フルフィルメント:「お客様が商品を注文してから手元に届くまでに発生する業務」全般のこと
〇海外市場への進出:
 アジア、北米、南米、アフリカなど成長著しい国への進出。
 リスクはありますが、国内市場規模が縮小の中、チャレンジしてほしいと思います。

FireShot Capture 105 - アパレル業界の「これだけは押さえておくべき」最低限の知識│就活研究記事 - iroots-search.jp

            
最後に

ラグジュアリーなファッションにお金をかける人が淘汰されたわけでもなく、ブランド志向が高く、高品質な物を求める人も依然として多く、消費者の需要は二極化していくと考えられます。
アパレルは生活必需品かつ消耗品なので、どんな時代でも一定以上のニーズがあることは間違いありません。
今後も引き続きアパレル業界の動向には注意をしていきたいと思います。  

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