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通信業界の新たな展開

こんにちは、コーイチです。
今回は、ここ最近中国国内でフラッグシップ店舗を増やし、新たに自動車の販売まで行う、今までにない店舗展開を行っている中国の通信機器大手の「華為技術(ファーウェイ)」の店舗を見ていき、今後日本でも同じような展開が出てくるのか考えたいと思います。

1.世界最大のフラッグシップストア

(出典:Huawei Mobile youtubeより)

 「ファーウェイ」は上海に世界最大規模となるフラッグシップストアを2020年6月にオープンさせました。
 立地は上海でも有数の観光地の南京東路で、すぐそばには「アップル」や「サムスン」の巨大店舗も店を構える一等地となります。
 面積は5000平方メートルという世界最大級の規模を誇り、世界最大規模といわれていたドバイの「アップルストア」は5000平方スクエア=4650平方メートルのため、上海の「ファーウェイ・フラッグシップストア」はそれを上回る広さとなっています。

 売場は3階構成で、1階は「All Product Zone」で、スマートフォン、ノートPC、スマートウォッチ、ウェアラブルデバイスなどの最新製品を中心とした展示となっています。
 店内のスタッフの数は約220名もいるということですので、製品についてわからないことあがれば、すぐそばのスタッフに確認できます。
 2階は「AI Life Zone」で、ファーウェイ製品を中心とした生活への応用事例を展示しており、スマートホームやスマートモビリティーなど、スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用した体験コーナーが広がっています。
 3階はギャラリーにもなるイベントスペースとカスタマーセンターが入っており、1階でスマートフォンを買い、ここで開封してじっくり試してみることもできます。

 「ファーウェイ」は2019年9月に深圳に世界初となるグローバル・フラッグシップストアを開業し、その後、立て続けに大型店舗を2店オープンさせ、世界にも広げていっています。

(出典:CGTN youtubeより)

 「ファーウェイ」が巨大な店舗を次々オープンしているのには理由があります。
 2020年5月時点での世界のスマートフォン出荷台数シェアでファーウェイがサムスンを抜いて1位となりました。
 しかし、アメリカからの制裁を受けたことで「ファーウェイ」のスマートフォンは2019年秋モデル以降、グーグルサービス「GMS」を搭載できなくなり、先進国では販売が苦戦し、それをカバーするために、母国である中国国内の販売を強化する必要があったためと言われています。

2.自動車領域への強化

(出典:Tech me around! youtubeより)

 「ファーウェイ」が開発したOSの「鴻蒙(ホンモン)」を搭載した新型EV自動車、「極狐阿爾法S(アークフォックスアルファーS)ファーウェイ・バージョン」が2021年4月に発表されました。
 「極狐(アークフォックス)」は国有自動車大手で、北京汽車集団傘下のEVメーカーの北汽新能源汽車が立ち上げた高級車の新ブランドとなります。
 「ファーウェイ」は2017年に同社と業務提携関係を結び、両社の提携の対象となる自動車には、レーザー光を用いた3次元センサー「LiDAR」などの各種センサーを含む自動運転システム、スマートコックピット用にカスタマイズされたホンモンOS、独自プロセッサー「麒麟(Kirin)」、車載ディスプレーなど、「ファーウェイ」のソフトとハードのソリューションのすべてを搭載しています。

 また、提携モデルのボディーには、「ファーウェイ」のスマート自動車ソリューションを表す「HI(「Huawei Inside」の略)」のロゴが付けられています。
 「ファーウェイ」関係者によれば、両社のコラボモデルには100種以上のファーウェイ製部品を搭載しており、「ファーウェイ」は提携モデルの売り上げの中から取り分を受け取る仕組みとなっているようです。
 4月の発表にて、「ファーウェイ」のスマート自動車ソリューション事業のトップを務める王氏はメディアの取材に応じ「基本版は高速道路における自動運転が可能で、ハイグレード版はさらに都市部の一般道での自動運転が可能だ」と語っています。
 その後、自動車の販売網を拡大しており、王氏は「ファーウェイの直営専売店を改装していき、今後はアークフォックスブランドの自動車販売も開始する可能性がある」と話しています。

(出典:CARSbyML youtubeより)

 また、中国国有自動車大手の広州汽車集団の傘下企業で、新エネルギー車を専門に手がける「広汽埃安新能源汽車(アイオン)」は、2021年7月、「ファーウェイ」と共同で高級スマートEVのブランドを作り上げ、3車種を発売すると発表しました。
 更に、2021年3月にはファーウェイ傘下の「華為終端有限公司」と「SERES」ブランドの親会社である「重慶小康工業集団」が提携覚書を締結し、新エネ車領域における提携に関して模索していくと発表しました。
 「ファーウェイ」と「SERES」の提携は、「製造業とソフトウエア・ハードウエアの電子化による互恵的産物」であると見られており、両社の提携における「ファーウェイ」の役割は単なる販売チャネルにとどまらず、自動車の設計や品質管理にも参与していくということです。

 このように「ファーウェイ」は自動車業界により深く溶け込むため、既存の自動車メーカーとの業務提携に注力していますが、現時点では自動車製造には参入せず、あくまで自身を部品サプライヤーとして位置づけているようです。
 同社のスマートカー向けソリューションには、データ処理・情報通信システムのほか、スマートコックピット、自動運転、ネットを介したデータ連携、駆動モーターのスマート制御、車両向けクラウドサービスなどが含まれており、それらは各種の車載センサー、演算装置、アルゴリズムなどを組み合わせたハードウェアとソフトウェアの統合型ソリューションとなっています。

3.車を展示するコンセプトストア

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(出典:m.fzbm.com//より)

 2021年12月、「ファーウェイ」の新しいコンセプトストアが中国世界貿易センタービル「北京銀泰中心in01」に正式にオープンしました。
 このCBD(国際貿易ビジネス地区)は、北京のハイエンドな高級小売店街となります。
 この店舗は「ファーウェイ」が世界で初めてオープンした新しいコンセプトストアであり、車のディスプレイを考えて作られた最初の店舗となります。
 店内に展示されている「AITO M5」は、「ファーウェイ」と「SERES」が共同で作ったと言われており、新車は全部で3モデル発売されました。
 先行販売が正式に開始され、価格帯は2億5000万元~3200万元で、2022年から正式納車されるということです。

 「AITO M5」は、「ファーウェイ」の現在の「最も高価なスマート端末」として、新しいHarmonyOSスマートコックピットを初めて搭載し、車両と人、携帯電話、スマートホーム、スマートウォッチなどとシームレスに繋げ、音声対話、スマートアート提案、自動車地図「Petal Maps」、全方位デジタルカーキーなどの知的体験をサポートできるようになっています。

 このコンセプトストアの建物は、「ファーウェイ」のフラッグシップ携帯電話の「ココ・ティー・ゴールド」カラーを継承しつつ、古い北京建築の古典的な黄金色から選ばれた「ココ・ティー・ゴールド」のドアを採用しています。
 また、超白色の中空ガラス、歴史的なベネチアンスタッコ塗装などの組み合わせが、店舗全体をシンプルながらも技術的センスにあふれさせ、高級店が立ち並ぶCBDに「北京」色を添えています。
 特筆すべきは、この店舗はLCP照明*を採用しており、屋内と屋外の製品展示時の色差を「0」にすることで、消費者により快適で正確な体験とショッピング環境を提供している点となります。
*LCP照明:4色のLED照明を合わせ、色温度や照度などをコントロールできる器具。

 また、この新しいコンセプトストアは、コンシューマー分野のスマート技術を展示するだけでなく、そのスマートコネクテッドテクノロジーの全く新しい体験も提供する場となっています。
 HarmonyOSオペレーティングシステムを搭載し、HiLink接続により、これらの製品は統合され、相互運用が可能なだけでなく、互いに協力することができます。
 ユーザーは「HUAWEI ID」さえあれば、「AIライフ」APPに関連付けると、適応したすべてのスマートホーム機器(掃除ロボット、スマートエアコン、空気清浄機など)や照明、加湿器、ソケット、スイッチなどをコントロールでき、「帰宅時」「お出かけ時」などのシーンに応じたボタンもプリセットすることが可能となっています。
 
 自動車は「ファーウェイ」の新しいビジネス分野となりつつあり、この新しいコンセプトストアは建物のあらゆる部分に自動車を取り込んでいます。
 様々な消費者やクルマ好きなどの多様なニーズを満たすため、「ファーウェイ」の新しいコンセプトストアは、自動車展示エリア、製品詳細体験エリア、休憩交渉エリアなどの新しいインタラクティブな空間に分かれています。
 インタラクティブスペースのレイアウトも、浅いところから深いところへ、層状に変化しており、店内スタッフは、地域の愛好家やクルマ好きのスタッフで構成されています。

4.最後に

(出典:Huawei Mobile Deutschland youtubeより)

 赤字経営で、知名度も高くない自動車会社が、通信機器大手の「ファーウェイ」とのコラボにより猛烈に販売台数を伸ばしているようです。

 ある情報によれば、中国大陸のショールームおよびサービスセンターの数は「テスラ」で約180カ所、また中国版テスラと呼ばれる新興EVメーカー「NIO」では226カ所にとどまり、「ベンツ」、「BMW」、「アウディ」のような既存自動車メーカーでさえ、いずれも600カ所前後となっています。
 これに対し、「ファーウェイ」の実店舗数は、自動車ブランドとは全く桁違いのレベルとなっており、旗艦店は世界各国に17カ所、中国国内には5000カ所以上のラグジュアリーショールームがあり、全都市を網羅する上に6万カ所を超えるサービス拠点を抱えています。

 これらの店舗に自動車の販売チャネルが整えば、購入者に直接接触することができるようになり、ユーザーを理解し、購入者の趣向を把握し、ソフトウエアやハードウエアの製造、さらには将来的に着手する可能性のある自動車製造事業に向けたデータや経験を蓄積できると考えられています。 
 また、海外のフラッグシップストアにも同様の展開を行っていくこともあるかもしれません。

 「アップル」も自動運転EVの開発がされていると言われていますが、もしかするとファーウェイと同じようなことを考えているのかもしれません。
 日本でも「SONYグループ」が「ホンダ」との提携を発表し、両社が出資する新会社でEVを共同開発し、販売を新会社が担い、製造は「ホンダ」に委託する予定で、2025年の発売をめざしています。

(出典:Sony - Global youtubeより)

 このようにこれからの自動車業界は、従来から大きく変わると言われており、新しいメーカーが多く誕生していくことかと思われます。
 通信業界の「ファーウェイ」のような店舗展開方法は、今までにない手法かと思いますが、今後は日本でもこのようなAIや通信などに強い企業が主体となりつつ、既存の自動車メーカーとの提携などにより、新しい店舗展開が見られるかもしれません。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。 
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