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投資における地政学リスクとは?ー買い場の訪れー

この記事を執筆しているのが2024年4月17日の後場です。
この日、日経平均株価は一時700円以上と大きく下落しました。
さまざまな要因がありますが、根本にあるのは中東情勢でしょう。
いわゆる地政学リスクです。

何が起こったのか解説します。
イランによるイスラエルへの攻撃で中東情勢の緊迫化が警戒され、リスクオフ、つまりリスクの高い資産(株など)からリスクの低い資産(債権、金など)に移行する動きが強まりました。

イランが無人機とミサイルでイスラエルを攻撃。
イスラエルと同盟国はその大半を迎撃したわけです。
同国が自国内からイスラエルを攻撃するのは今回が初めてでした。

案の定債権価格は株に反して高騰し、ドル円は154円後半と34年ぶり安値を連日で更新しました。

ここでひとつ頭の片隅に置いておきたいのが、「地政学リスクは買い場」というセオリーです。
※若干モラルに反した主張ですが、あくまで株式相場に限った表現です。

投資家にとって大きなチャンスにもなり得る地政学リスク。
ここで、地政学リスクが相場にどのような影響を及ぼすのか、おさらいしてみましょう。


◆地政学リスクとは

地政学リスクとは、国家間の政治的緊張、戦争、テロリズム、政治的不安定、経済制裁など国際関係に起因する不確実性が経済活動に及ぼすリスクです。
これらの不確実性は、国際貿易、投資環境、市場の信頼性などに影響を及ぼし、一般的に株安、債券高を招きます。

◆地政学リスクの影響

地政学リスクは、特定の国や地域だけでなく、グローバルな経済にも影響を及ぼすことがあります。
例えば、中東の政治的不安は原油供給に影響を与え、世界中のエネルギー価格が変動することがあります。
実際、今回の中東情勢においても原油高は懸念されています。
また、米中貿易戦争のような大国間の経済対立は、世界経済全体の成長見通しに暗い影を投げかけることがあります。

◆地政学リスクの評価方法

地政学リスクを評価するには、まずその国や地域の政治的安定性、経済政策、国際関係の動向を理解することが必要です。
リスク評価ツールとしては、国際的な政治分析機関のレポート、政治リスク評価サービスが提供する指標が利用されます。
また、歴史的なデータや事例研究を用いて、特定の地政学的イベントが市場に与えた影響を分析することも有効です。

◆リスク管理戦略

地政学リスクへの対策としては、以下のような戦略が考えられます:

  1. 地理的分散:地理的な投資の多様化を図ることで、特定地域のリスクを分散させることが可能です。

  2. ヘッジング:為替や商品先物などを用いたヘッジング戦略を取り入れることで、地政学的イベントによる市場の変動から資産を守ることができます。

  3. 動的資産配分:市場の状況に応じて資産配分を見直し、リスクの高まりそうな地域からは撤退するなど、柔軟な対応を心がけることが大切です。


◆地政学リスクは〝買い場〟と言われる所以

地政学リスクが〝買い場〟とされる理由は、市場が過剰に反応(過反応)して株価が一時的に下落することで、長期的な価値がある資産を割安価格で購入できるチャンスが生まれるからです。

  1. 過反応と回復のパターン:市場はしばしば地政学的な出来事に対して短期的に過剰反応します。例えば、政治的緊張が高まるとリスク回避の動きから株価が急落することがありますが、これらの出来事が解決に向かうにつれて市場は回復する傾向があります。この回復期に入る前に購入することで、投資家は利益を得ることができます。

  2. 価値の見直し:地政学的な危機が生じた際には、多くの投資家がリスクを避けるために資産を売却します。これにより、本質的な価値に比べて価格が下落した資産を見つけることができるため、賢い投資家はこれを購入の機会と見なします。

  3. 長期的視点:地政学リスクによる市場の動揺は一般に短期的なものです。長期的には、企業の基本的な業績や経済の成長が株価を支える主要因です。そのため、一時的な下落は長期投資の良い入口となり得るのです。

  4. 分散投資の機会:地政学リスクが特定地域に集中している場合、その地域の市場が過小評価される可能性があります。このような状況では、地理的分散を図ることがさらなる投資の機会を提供します。

このように、地政学リスクがもたらす市場の不安定性や価格の変動を利用して、低価格で質の高い資産を購入することができるため、経験豊富な投資家にとっては「買い場」と考えられるわけです。
ただし、このアプローチは高いリスクを伴います。
投資する際には慎重な分析とリスク管理が必要とされます。

◆あとがき

今回は地政学リスクについての解説でした。
もちろん、リスクの高い戦法ではありますが、この買い場で仕込むのもひとつですね。
上昇局面に乗り遅れないよう経済動向をチェックしましょう。


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