蓮澤ナーム

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VWriter蓮澤(はすざわ)ナームです。小説、マンガ、その他書き物などの活動をしております。

マガジン

  • 孤独! 怠惰! 敗北! 週刊 弱男ドロップ

    誰もが安心できる場所を。そんなテーマで弱者によりそい強者と戦うマガジン。それが『週刊 弱男ドロップ』です。 週刊とありますが更新は不定期。弱男とありますが女性も大歓迎。 矛盾だらけの生きづらい世の中で懸命に生きる我ら弱者のための漫画、小説、エッセイなどなどをお送りします。世に訴えたいことのある創作者も随時募集中です。 読者からの質問、感想もお待ちしております。

  • ホロライブおすすめマガジン

    わたくしが大好きなホロライブについて勝手におすすめしていくマガジンです。 配信、動画、イベント、ラジオなどなど、実際に見たものをおすすめポイントを交えてご紹介します。

  • 小説「ダブルピーク!」

    ~JKがタクティカルシューターで日本一を目指す~  eスポーツに力を入れる全国的にも珍しい女子校、下今女学院(しもいまじょがくいん)。 そこに新入生として入学してきた有永声呼はアリーナ系FPSのプレイヤーだった。 目的はもちろん、eスポーツ部であるが、今どき流行らないアリーナ系FPSはeスポーツ部にもチームが無かった。 泣く泣くタクティカル系シューターというジャンルのゲーム、Counter-Espionage(カウンター・エスピオナージ)のチームに入ることに。 もともとFPSの素養があった声呼はメキメキと頭角を現していく。 そこで出会った仲間たちとともに、全国大会優勝を目指す声呼。 しかしそれはもちろん、簡単な道のりではなかった……。

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ダブルピーク!~JKがタクティカルシューターで日本一を目指す~ 01章01話「下今女学院へ行こう」

 部屋のドアが開いた気がした。  だが声呼は画面から目を離せる状況ではない。  鋭い眼光を画面の中へ向けている。 「あんた、またゲームしてんの?」  母はいつものくすんだ瞳で声呼を見つめた。  とても我が子を見る視線とは思えない。 (私に似て顔は良いのにねぇ)  背中を丸めてディスプレイに顔を近づける姿は花の女子高生というよりブラック企業に務めるプログラマーという様相である。  顔は確かに母親似だ。  若い頃はミスコン荒しで有名だったという母は、一人娘である声呼を産んでか

    • 小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」41実力と相方

       自己紹介が済んだ後は実力を見せる、ということで九人はそのままマジカル・レンジへと移動した。  新人四人が所定位置に並ぶと、各々がマジカル・ステッキの調整を始める。 「ではマジカル・ナインからやってもらおう」 「は、はい~」  自信なさげにか細い返事をした彼女は、マジカル・ステッキを両手で包むように持って、腕を肩と水平の高さで前に伸ばした。体も小さいが腕も小枝のように細く、頼りない。  魔法を唱えるとボップコーンが弾けるような音がして、魔法弾が飛んでいく。一発はかなり小さ

      • 小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」40新人と仮面

         ロー・シレンが鳴りを潜めている間のユエス・アムドの行動は早かった。新人を一挙四人も採用したのである。  すでにマジカル・ステッキの授与式も終え、正式に配属された四人が制服姿で作戦室の壇上に一列に並んでいる。  驚いたことに、全員がアイスホッケーのゴールキーパーのような白い仮面を被っていた。目の部分の穴と口の辺りに小さな穴が多数開いているが、彼女らの顔はまったく分からない。  いつになく引き締まった表情をした富井が、彼女たちから一人分空けて立っていた。 「では紹介しよう。

        • 小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」39信頼と尊敬

           チロの平穏な日々はそれからしばらく続いた。  学校は、失踪中に転校する手続きがされていた。ユエス・アムドの力なら造作もないことだ。その学校はマジカル・フォーの通うところだ。クラスまで同じにしてもらったため、チロはかなり気が楽だった。  転校し、五日ほど立った土曜の帰り道。二人は一緒に下校していた。 「ねぇ、レミ」  チロはマジカル・フォーを本名で呼ぶが、そう呼ばれた彼女は口をモゴモゴと動かして返事をしない。 「レミってば」 「……なんか、名前で呼ばれるのって気まずいね

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        ダブルピーク!~JKがタクティカルシューターで日本一を目指す~ 01章01話「下今女学院へ行こう」

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        • 小説「ダブルピーク!」
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          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」38裏と陰謀

          「今にして思えば、言葉の端々に奇妙なところがあったぞ。魔力を持たない人間を軽視するような、あるいは敵視するような」 「最初からそうだったんですか?」賀欄堂は身を乗り出した。 「どうかな。最初は純粋に魔力の探求に興味がある研究者、という印象だったぞ。ただロー・シレンが現れる少し前くらいから、さっきのような言動が出るようになった気がするぞ」 「チロ、霜永はロー・シレンのリーダーだと言ったんだよな?」 「え。そうです。確かに言いました」チロは賀欄堂の目線が急に自分にきたので焦ってコ

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」38裏と陰謀

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」37歴史と写真

           春野はしばらく目を閉じていた。何か思うことがあるのだろう。チロも彼女が何かを言ってくれるのをじっと待った。春野は初めて会った時に比べ顔の皺がさらに深くなったように見えた。 「そうか、あの男、やはり生きていたか」  春野は力弱く立ち上がった。少し体制を崩し、テーブルに手を付いたのでチロは慌てて駆け寄り、彼女の体を支えた。その体は枯れ木のように細く、軽かった。 「霜永博士と最初にあったのは三十年ほど前のことだぞ」ポツポツと語りながら春野は歩いた。 「やっぱり、面識があった

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」37歴史と写真

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」36合流と駆除

           空にはユエス・アムドもロー・シレンも見えない。ただの青い空と白い雲、そして山の緑という美しい風景が広がっているだけだ。  その時、近くの森の中から魔法弾の発射音が聞こえた。ちょうど三発。おそらくマジカル・スリーバーストを得意とするマジカル・フォーのものだろうとチロは予想した。 「マジカル・フォー! 大丈夫!?」 『マジカル・シックスティーン! 貴方、今までどこに……いや、それはともかく、こっちは大丈夫。今一体仕留めたところ。まだいるはずだから一緒に探して』 「ロジャー。そ

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」36合流と駆除

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」35発見者と創始者

           その時だ。少し遠くから紙風船が割れるような乾いた炸裂音が三連続で聞こえた。  聞き慣れたその音を間違えるわけがない。マジカル・フォーの魔法弾の射出音だ。 「戦闘!? 近い!?」 『おっと。始まったようだな』 「始まったって、何? また何かしたわけ?」 『いやなに、今の君には関係のないことだろう? 彼女らのことより自分の心配でもしたらどうかね』  確かに誰にも何も言わず逃げ出してしまった自分が、今さらどの面下げて出ていけば良いのか。  さっきから何度も入っていたマジカル・

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」35発見者と創始者

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」34思い出とため息

           自分が普通ではないと知ったのは、魔力の検査を受けたときのことだ。  小学校に上がる前、どの児童もこの次期に受ける検査だ。そのくらいの歳では魔力は僅かにしか無い。しかし“有る”と“無い”では大違いなのだ。  魔力有りと判定されたチロは、国の特別なリストにその名を加えられた。  チロは、そこから両親の自分への扱いが変わったのを良く覚えている。  チロには二つ下の弟がいた。両親は弟のことをチロよりも気にかけていた。それは弟がまだ小さいから、というだけの当然の理由だったのだが、幼

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」34思い出とため息

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」33霜永とコンタクト

           チロは深い森の中にいた。遠くからでもよく見える帆夏山を目指して飛んで、体力が尽きて森に降りたのだ。  大きな木の根本に膝を抱えて座った。こんなときでもお腹が減ってくる自分に腹がたった。 (もうこのまま死んじゃおうかな)  まだ日は沈んでいないが、背の高い木々が日を遮り、辺りは薄暗くジメジメしている。そういった環境が、チロの気持ちをさらに落ち込ませたのかもしれない。 『チロ。これからどうするの?』 「ミニミン……もういいよ。全部、もういい」  ミニミンも今は何を言って

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」33霜永とコンタクト

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」32探索と連絡

          「あ、貴方。それは何なの?」 「え? ああ、これッスか? 魔法少女レインボーセブン、ッス。知らないッスか?」 「そういうアニメだったけ? 聞いたことはあるけれど……」  あの仮面の下には、きっと火傷の痕があるのだろう。それを隠すためのお面なのだと察せられた。ならば外せとは言えない。  それにしても、もっと他に無かったのかとマジカル・フォーは呆れてしまう。黄色の髪でやたら大きな水色の瞳をした少女がニッコリ笑っているお面なのだ。普段なら可愛いものだろうが、こういう緊迫した場面で

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」32探索と連絡

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」31枯渇と逃亡

           全力で飛び続けるのも限界だった。緩やかに高度と速度が落ちている。このままでは捕まるのも時間の問題だった。  ふくらはぎに鋭い痛みが走り、マジカル・フォーは顔を歪めた。見ると飛翔体がかすめたらしい。傷は浅そうでひとまずは胸をなでおろすが、このままでは致命的なダメージを負うのも時間の問題だ。状況は深刻だった。 『フォーパイセン。今どこッスか?』  マジカル・フォーは痛みを忘れるほど驚いた。そのマジカル・ラジオの声は聞き間違いようがない。マジカル・テンフォーティーのものだ。

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」31枯渇と逃亡

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」30高度と援護

           ペチェネ級は飛行能力を持つロー・シレンで大きさはセスナ機ほどもある。コウモリのような大きな二枚の羽を持ち、それを羽ばたかせて飛ぶ。出現した例は少なく、これまで大きな被害をもたらしたことはなかった。  その光景にマジカル・フォーは我が目を疑った。  ペチェネ級は胴体部分に四本の足があり、それで一体のアバカーン級の肩と足を掴み、運搬していた。そのような方法で移動している姿を彼女は初めて見たのだ。 「ペチェネ級がアバカーン級を運んでいます。そのような二体一組の部隊が十以上います

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」30高度と援護

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」29被害と逃亡

           マジカル・エイティツーが到着したとき、チロは泣いていた。  人目もはばからず、大粒の涙を自分の腿にボタボタ落とし、子どものような泣き声を上げて。  彼女の前方にはオーサ級だったものと思われる残骸があり、斜め後ろにはうつ伏せに倒れるマジカル・テンフォーティーらしき姿が見えた。  マジカル・エイティツーはその光景を見て戦慄した。オーサ級の背後にあったはずの学校のフェンスは広範囲に渡り無くなっており、さらにその奥にある住宅は大破していた。巨大な鉄球を転がしたように半円形に住宅地が

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」29被害と逃亡

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」28魔法弾と魔力枯渇

           残されたマジカル・テンフォーティーは頭が混乱し、どうにかなりそうだった。  自分では判断を誤ると考え、すぐにマジカル・ラジオを入れる。 「シックスティーンパイセンが行っちまったッス! どうするッスか!?」 『何っ! どうして……いや、ともかくどうにかして射程距離に入れないか?』 「無理ッスよ! 校庭のど真ん中なんスから、絶対見つかるッス!」 『くっ、なんでマジカル・エイティツーがいないときに……』  チロは両手をあげ、武器を持っていないとアピールしつつ、なるべくゆっくり

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」28魔法弾と魔力枯渇

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」27挑発と到着

           三階の敵を半分ほど無力化したとき、マジカル・ラジオが入った。 『シックスティーンパイセン! 外ッス! 校庭のど真ん中に一体、人質らしきものも見えます!』 「分かった! 行くまで待ってて!」  チロは踵を返すと階段へ向かおうとする。 『チロ、時間がない。窓から飛んで行こう』 「あ、なるほど。ナイスだよミニミン」  どうしても普段のクセが出てしまう。学校で窓から飛び降りるなんてことをしたら先生からカミナリが落ちてしまうが、今ならその心配はないのだ。  手近の窓を開け、窓

          小説「魔法少女舞隊マジカル・シックスティーン」27挑発と到着