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「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」からの沢木耕太郎『旅する力』【読書8】

ABEMAで期間限定で⁈無料で見れるとのことで、ひろゆきがアフリカを旅する番組を少しずつ見ている。

ひろゆきと、途中から合流した俳優東出昌大の2人で、ザンビアやマラウイなどバックパッカーする旅だ。

東出昌大のことで知っていることは、ゲスなことをして離婚した、ぐらいだったので、この番組ではじめて喋っているところを見た。もともとよくない情報しかなかったから、好感度が上がるしかない。

モデルをしていただけあってなんといっても華がある。映画やドラマだと俳優しか出てないので気が付かないが、ドキュメンタリーだと一般人の中に1人だけ俳優がいる状態なのでやはり目を引く。

それに最近は狩猟生活をしているそうで、その生きる力というか、人間力に驚いた。おぼっちゃまだと思っていたので、生活力がないと思っていた。思い込みでしたすみません。

「普段はつくられた世界の中で、自分を演じてきたから、旅で出会う予期せぬものや素直なものを見ていて、美しいし楽しいと思う」というような会話があった。

世界最貧困のマラウイは一体どんな国なんだろうと思っていた。しかし貧困なだけで不幸というわけではない。みんなニコニコして幸せそうに暮らしていた。

かたや、私がかつて働いていたいくつかの会社では笑顔を強要されていた。事務職もあったし接客業もあった。「笑顔をつくれ!」と怖い顔で毎日みんなを怒鳴って説教する。そうするとぜったい笑うもんかって思う。「北風と太陽」を読み聞かせてやりたい。

作り笑いを浮かべて働き続けるわれわれ。笑顔を強要すること、つくり笑いは正しいことなのだろうか。なんか納得いかない。

ハンバーガー屋のメニューにスマイル0円って書いてあるけどなんだかな、と思う。自然とニヤけちゃうくらいの高額な給料くれたら、毎日ニタニタ笑えるかも。

ひろゆきの番組を見ていたら猿岩石を思い出した。ちなみに猿岩石のほうは「有吉ひろゆき」じゃなくて「有吉ひろいき」。割とみんな知っているのかな⁈

当時「進め!電波少年」のプロデューサーが本屋で『深夜特急』を見て、

「これと同じことを誰かにやらせてみたら面白いんじゃないか、それを撮ったら面白いんじゃないだろうか」

『旅する力〜深夜特急ノート〜』より

と考えて猿岩石で実現させたのだそう。

このころ、大沢たかお主演で『深夜特急』を映像化しようとしていた頃だったので、そちらの正統派映像班は、パロディの方が先に爆発的な人気を得てしまったことで、やるせない思いをしたようだ。

この本は『深夜特急』の裏話が盛りだくさんのエッセイだが、本当に旅の色々、人生の色々がつまっている。

旅というのは、不思議なもので、金はあればあったほうがいい。あっただけのものを見ることができる。
それは確かだけれど逆もまた真で、金がなければないほどよく見えるという側面もある。

『旅する力〜深夜特急ノート〜』より

たしかに。所持金によって旅で見えるものは変わる。

沢木さんは旅先ではよく人に訊ねるらしい。すぐに人に訊いてしまうそうだ。それによって思いもよらない方向に導かれることがあるという。旅での訊く力は大事かもしれない。

私はついついなんでもスマホで調べてしまうし(そういう時代だし)、調べずに聞いたところで、「ネットで調べれば?」とか言われそうだし、なかなか人に訊けない。

道がわからない場合は特に、人に聞くよりGoogleマップのほうがわかりやすい。

旅に限らず仕事だって大抵「聞くな、自分で調べろ」とか言われるし。調べてわからないから聞いてんじゃん。余裕がないからねみんな。

「世界の果てに、ひろゆき〜」の中ではGoogleマップが頼りにならない地域なのもあって、2人とも現地の人に英語で質問しまくっていた。訊く力は旅する力だなと、見ていてよくわかる。

普段の生活では訊く力は鍛えられないけれど、旅に行った時はなるべく訊くように心掛けようと思う。「訊く」きっかけのコミュニケーションができるから。

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