【Day 15】だんちゃん、交通事故に遭う。


2月の初詣のために5円玉温存中、だんちゃんです。

今日も6時間睡眠。抜群の安定感。
そしてこの戦いは最後になります。

そう、、!「繋がれた鎖」から解放されるのです!!やったぁぁぁ!!!
夜の経鼻経管栄養が終わったら、鼻から管を抜いて、明日からは顎間固定+歯間固定で流動食を口から食べる生活になります。
せっかくなので、テンションがあがってて、最後の鼻管ライフ(?)を送っているうちに、と筆を急がせてます。まだご飯来てないけど。
(p.s. 書き終わる頃にはばっちりご飯来てるよ!美味しいっ!味しない!)

鼻管ライブ中に急いで書くあたり、鼻管ライフへの無駄な愛着を感じてください。いや感じなくていいです。


この1週間ずーっと人権オフモードと言っていったのですが、今日はかなり人権戻ってきてました。
というのも、きのうの夕方辺りから、嚥下したときに痛くない方法を学んだからです。
うまく説明できなくて再現性がなさそうで特に誰にも言ってなかったのですが(誰かに言うことじゃないからね?)、
水や唾液といった流体と喉の管を押しつけ合う感じで、喉を使わないで流体の動きで嚥下する感じ(誰がわかるかこんなん)にすると、かなり痛みが収まったんですね。
これのおかげでかなり体が楽になりました。
あとは、今日鼻管取れるだろうというのもあって、ずいぶんとご機嫌でしたね。
あとは昨夜アルジャーノンに花束をを読破したし。生とは何か、大切なものかは何かを考えさせられましたね。えっ脱線激しっ。
それから、今日は頭を洗えたんですよ。
もうね、1週間頭を洗えてなかったので本当に気持ちが悪くて。
汚くてごめんね、油脂感がすごいんです。髪の毛を触っただけで手にワックス塗ったようになって。
「鼻管をできるだけ濡らさないように」というハチャメチャな司令を受けながらシャワーでさっぱりさせてきました。無理ゲーかよ。

こうして自分が生物であることを思い出す(?)と、いろんな生体反応も起きてきます。
まずはお腹が減る。1200kcal/dayしか入ってないことに体が気づいてくるんですよ。お昼ごはん前しんどかったわぁ。
それから喉が渇く。無性に水が欲しくなります。飲み込むとき多少痛いんだけどねまだ。
あと、おしゃれしたくなりますね。入院中はおしゃれなんてできないんで、無駄に腕時計と指輪つけて気分だけあげてます。
退院したらまず髪切って眉整えておしゃれな服着る。わたしは人間なの。


少しずつ心を戻しながら迎える、繋がれた鎖とのお別れ。
この1週間を振り返ったりでもしてみようかなぁ、とか思ったときに気がついた、
手術直前から直後あたり、あまりにしんどすぎてごっそり話から抜け落ちてたよね。笑
というわけで、わたしの管との戦いを、馴れ初めからちょっと書かせてください。いやぁん惚気みたいになっちゃったわぁん。

手術当日の朝。
前夜からの絶食で空腹が常に隣り合わせにいます。
そして、手術前の緊迫感が襲ってきます。
ただね、それ以上に、下剤の効果が全然出てくれないのが困りもので。笑
9時くらいになってもぜんっぜん出てくれないんですよ。いやぁどうしたもんかと。
確か10時くらいかな、やっと出てくれてホッとしました。
こんな事に気が紛らわされてたので、手術前は全麻直前と術後にどうやってボケようかなぁとか考えてたら不安もあんまなかったです。史上稀に見るのんきな術前患者。

手術室に入る前、親と一瞬顔を合わせました。その時のわたしはきっと、凛とした顔をしていたと思います。
そして手術室に入ったらボケ倒しました(Day 9参照せんでええ)。
そして術後、また親が顔を見に来てくれて。
その時わたしは、おえおえ言いながら右手でピースしてました。

手術自体はね、本当になんの記憶もないし、あまりにも一瞬すぎたゆえに覚醒後に「あれ、全麻効く前に目覚めちゃいましたよ、不具合ですよ」ってジェスチャーしてました。医学舐めてんのかクソガキ。
本当に順調だったんですよね、特につらいこともなく。


本当の地獄はここからでした。わたしと管との共同生活の始まり。
眠たくてふわふわして、体が熱くて、
右顎が全く感覚がなくて、管が気持ち悪くて嗚咽が止まらなくて、右顎のあたりから血が止まらないし唾液は出続けるし、それを飲み込むと激痛だし、呼吸すら最初はうまくできなくてパニックになってたし、
そしてそのうち麻酔が解けてきて、感覚が鋭敏になります。
相変わらず出血は止まらない、喉は気持ち悪くて痛い、そして顎の痛みがどんどん増してきて。
猛スピードで出てくる血と唾液を飲み込むと窒息しそうになるので、15分に1回くらいナースコール押して吸ってもらって。
寝てる姿勢だと口の中にどんどん血が溜まっていくので座位になって。
それでも溜まりすぎるからガーゼを噛んで。
ガーゼも30分で1袋空いちゃって。病院中のガーゼ使い切るんじゃないかってくらいで先が心配で。
そんな心配してたら顎の激痛に襲われて。
耐えても耐えても疼く強烈な痛みに泣きながらナースコールを押して。
痛みでほとんどしゃべれない中で、「いたぁい」って泣いて。
鼻水も血も唾液も止まらないだらだらの顔で。
痛み止めを打ってもらって効いてきたら、今度は喉の違和感が目立ってきて嗚咽が止まらなくて。
その痛み止めすら1時間もしないうちに無意味なくらいに顎が痛くなって、また泣いてナースコール押して、
そうしてる間もガーゼはどんどん減っていき、ゴミ袋がどっしり重くなっていき、
それでも全然血は止まらなくて。
止まらない涙の中でぼやけた時計がさす時間は23時。
座位だし顎は痛い喉は気持ち悪いで、寝れたもんじゃない。
地味に体もからっからに渇いてる。けどそんなことも気づかないくらい。
そんな中でも、ガーゼを噛みながらわたしは1時間ほど寝落ちてたらしい。さすがに手術の疲れはすごい。

Day 9にも書いてたけど、この日は筆舌に尽くしがたいほどきつかった。尽くしたけど。
これがもし1週間続くのだとしたら、もうわたしは顎が折れたまま一生を暮らしてもいいかもしれない、と思ったほどに。
絶望、とかそういう感情もなくて。そもそも望みを感じられなくて、絶たれるものもなく、ただ耐え難い苦痛とともに時を過ごすのみ。
あの日の痛み、ガーゼの味は忘れられません。
たぶん、左奥の親知らずも抜いてたらもう痛すぎて出産ワンチャンあった。わたしには子供は産めないと思った。
それから、ガーゼってめちゃめちゃまずい。なんか気色の悪い甘さとにおいがあるんです。
皆さんよく覚えておいてください、ガーゼは食べない方がいい。


地獄の夜を抜け、ようやく絶望の境地へとたどり着いた朝。
歯科医のところに行くと、ガーゼを外されて歯間固定をされました。
もう唾液も飲み込むしかない、これで1週間耐えられるのか、
と思ったんですが、さすがに昨夜の苦しみを耐え抜いたわたし、唾液や管のハンドリングができるようになってきていて、どうにか嚥下ができました。
それでもめちゃめちゃ気持ち悪い。嗚咽はたまに来るし、痛みはすごいし、何をするにも全く力が出ない。
1週間何も栄養を取らなくても人って死なないんじゃないかなぁとか考え始めて。
そうしてこの1週間が始まったわけです。


思ったより壮絶でしょ。さすがに後半は管のハンドリングうまくなってきたけどね。
まさに「繋がれた鎖」とともにした1週間でした。


皆さんは、これは絶対に耐えられない、と思った瞬間はありますか?
あっ、わたしもなんだかんだ術後も耐えられるとは思ったんですけどね、出産は無理だけど。
耐えられるか耐えられないかは状況によるけれど、耐えられないまで痛みを我慢する必要はないと思います。ちゃんと痛いと言えばいい。
肉体的にも、精神的にも厳しい痛みを感じたときは声を上げて。痛みを感じてる時点であなたは頑張ってる。いや、頑張りすぎてる。
それでもちゃんと乗り越えられたら、本当にそれはすごいこと。人の痛みがわかることは美徳です。


きつかったけど、なんだかんだ体自身と、生物としての自分と向き合えた1週間。
恐らくこの入院で一番きつい時期、それなりに学ぶものがあったんだと思います。
痛みがわかり、生物としての尊厳とは何かがわかり。

よくやったわたし。今夜はぐっすり眠りたい。できれば鼻管からビール流し込みたい。
皆さんも雨の中、お仕事や学校、つらいこともあったでしょう。
皆さんにはアルコールという痛み止めがあります(未成年の読者さんはダメだぞっ)。
痛みを感じたら、ちゃんと自分に優しくしてあげましょうね。
今日もお疲れさま。止まない雨はないからね。明日は明日の風が吹くよん。


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