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一人一人一人展、人それぞれ「色々」

一人一人一人展が終わった日の夜、こんなツイートがあった。

始めに気に留まったのは、“涙ぐんでた”から。
一人一人一人展は作り手が楽しく楽しくつくり、来訪者のツイートでも明るい感想が多かった。
でも私は、はじめてのとき泣きそうになった。自分と同じようなひとがいる。共感を覚えて、引用リツイートした。

“夜勤明け寝ずに”というところで、看護師さんだろうと思った。
気づいたら返信がきていた。

“生きていると人それぞれに色々ありますよね。”
そのことばに泣けてきた。本当に色々ある。私は3月、母を亡くした。

母はコロナではなかったが、院内感染予防のため、病院は基本面会禁止だった。母がいた病院がそうであったように、今、日本国内の病院は多くが面会の制限をしているだろう。
家族が付き添えないということは、患者に関わる雑務全てを、病院の皆さんにお願いすることになる。病床から動けない患者であれば、ベッド脇の冷蔵庫から飲み物を出すことも、すぐそこにあるペン1本取るのさえ、看護師にお願いしなければならない。
コロナ禍の面会制限で、看護師らの仕事はどれほど増えてしまったのか。
けれども闘病中、母に接してくださった皆さんは誰もかれも優しかった。
申し訳ないからと無理して動こうとする母を、そういうことは私たちがやるから呼んでいいのよ。と慌てて止めてくれた。
のどが渇いたが歩けなかった母のために、わざわざ自動販売機までジュースを買いに行ってくれた。
大変な処置や汚れる作業も、母が喜んでくれるから嬉しいわ。と明るくやってくれた。
余裕があった日の母は、LINEや電話で、嬉しかったことをたくさん伝えてきた。感謝の気持ちに溢れていた。
そして、尽くしてくださる看護師の皆さんに感謝しているから、どんなに苦しくても死にたいとは思わない。と最期まで前向きだった。

これは母の話だけれど、きっと日本中の看護師・医療従事者の皆さんが同じように、患者を生かすために身を粉にしてくれているのだと思う。

殺さずに生きてこられてよかったな
だれかのことも 自分のことも

医療崩壊の危機を感じながらコロナ禍で働く方々は、この歌を読んだとき何を思うのだろう。
患者のことか、同僚のことか、自分のことか、これから接するかもしれないだれかのことか。
どれほど重く深く響くことだろう。
私には想像もつかない。

これは私が勝手に考えたことで、だからてんで的外れかもしれない。
けれど気づいてしまったから、どうしても書きたくなった。
私は。
ひとを助けられる崇高なお仕事に携わる皆さんが、命を絶ったり落としたりしないことを願います。
助けられなかった命に、悔いたり苦しんだりしないことを願います。
悲しむ家族が増えないことを、つらい病の方が減ることを、医療に携わる方が報われることを願います。

願いはひとの意思だから。
この願いがだれかに届くように、ここに残します。


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