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3世代で旅をした。 その5

 お風呂でくつろいで、旅の最後は竹田扇之助記念国際糸繰り人形館。
 操り人形も体験できるらしい。みんな喜びそうだと思って選んだけど、今回の旅の中で私が一番楽しみにしていたトコロナノダ。た~のしみ〜。
 父に元善光寺の話などを聞きながら向かうと、駐車場がけっこう賑わっている。辛うじて最後の1台が空いていたのでとめた。うーん、前には長い石段が。これはさすがに車椅子を持ち上げるのは無理だね。みんなに待っていてもらって、車椅子で行ける道を尋ねに行く。
 石段をあがると、桜まつりのようで、小学生くらいの女の子が紙を見ながら、何やら懸命に説明をしていた。どうやら子どもさくらガイドさんらしい。見事な桜の木の下を通り抜け、人形館へ。
 静かだった。にこやかなスタッフの方が出てきて、駐車場の案内をしてくださる。急いで戻って、車を移動してもらう。
 車を降りると、見事な桜が眼前に広がる。桜を愛でながら、父も母も、さくらガイドの女の子の姿を目を細めながら見ていた。

石段
舞台桜
さーくーらー
桜まつり


 さあ、人形館へ。こじんまりした所だけど、私たち5人で貸切状態でもったいないくらい。丁寧に入館の案内をしていただいて、まずは人形館の成り立ちのビデオ鑑賞。
 人形作りの様子や劇団員の育成の様子が描かれていた。人形劇への情熱が伝わってくる。もうこの文化が継承されないでいることが惜しくてならない。私の子どもの頃の夢は人形劇団員だったのだもの。
 人形も、人間だけでなく、動物や鳥、魚など何でも作られている。作りたくなる。時々木を彫りたくなるのだ。
 最後の鶴の恩返しの鶴の機織りを糸繰りで、演じられているのは圧巻だった。生の舞台で観たいぞ。
 ホーっと息つく間もなく、ビデオが終わると、スタッフの方の解説が始まる。本物の手作りの人形が目の前に並んでワクワクした。人形の表情も見事だが、衣装も素晴らしい。

この舞台の上も見学できるらしい
細かい所まで作られたいろいろな人形

 そして、最後にさくらの曲にあわせて舞を見せてくださった。なかなかにいろっぽくて、ひきこまれる。   

色っぽい舞

 全ての解説が終わると、展示室へ案内してくださる。定期的に人形の入れ替えが行われるとのこと。保管も難しいけど、糸が絡まって大変だと話してみえた。
 ちゃんと物語の一場面が描かれていて想像が膨らむ。これが動いて、物語が始まったらどんなに楽しいだろう。
 でも、今は糸繰り人形なんて見ないから、小さいお子さんは怖がるのだそう。初めてのものは怖いよね。
 実際動かしたり、自分で体験すると、怖がっていた子も夢中になって時間を忘れるらしい。
 スタッフの方が人形劇が好きで、なんとかこの文化を残したいという気持ちが言葉の端々から、いや、全身から伝わってくる。とても人の良さそうな気の言い方で解説が楽しい。
 もう一つ廃れつつある文化があると聞いた。水引細工。色とりどりの水引で細工を凝らした見事な花の飾りがいくつか展示されていた。いくつかあった展示館が閉館となり、譲られたのだとか。今なら近くのお店で展示されているから無料で見ることができるのでぜひ見て行ってくださいとすすめられた。
 最後に糸繰り人形の体験をさせていただく。好きな人形を選んで、前の鏡にうつしながら、動きを教わる。
 まず人形の足を地面につけるところから。そして、歩く。そして拍手したり、手をあげて挨拶したり。
 おとさんが選んだチアガールさんは、男性が選ぶベスト1だそうだ。動きがイメージしやすいし、1番目立つからかな。あこがれ?
 車椅子の方が使える糸の短いのもあると言って持ってきてくださる。どれだけでも時間の許す限り遊んでいってくださいと楽しそうに見守ってくださっていた。 
 私はいつまでも遊んでいられるけど、みんな満足したので帰ることにする。
 DVDや解説書を月が見に行くと、また楽しそうに解説された。本当に糸繰り人形が好きでいらっしゃるのが伝わって、最後まで楽しかった。
 

体験用の糸繰り人形
壁際にずらーっと並んでいた。
男性に1番人気
車椅子の方にも
コロナ禍で家にある材料で家でできるように作った人形

 桜まつりで人出はあるのに貸切状態で、もったいない。桜の奥にひっそり建っているから目立たないのかしら。宝が目の前にあるのに、気がつかれないなんてもったいない。
 またたっぷり見に来たいなあ。名残惜しく車に乗った。

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