マルトリートメント〜手を読む技術と子育てサポート
マルトリートメント(maltreatment)という英単語は「人あるいは動物に対する残酷なもしくは暴力的な振る舞い」という意味。昨今育児の話題で耳にするマルトリートメントは、日本語で「不適切な養育」と訳されています。
「PHPのびのび子育て」2018年11月号に、以下のような説明がありました。
「マルトリートメント」とは、1980年代からアメリカなどで広まった表現で、日本語で「不適切な養育」と訳され、子どもの健全な発育を妨げる行為を指します。
マルトリートメントには、しつけと称して怒鳴りつけたり、脅したり、暴言をあびせるといった心理的虐待も含まれます。つまり、報道されるような極端なケースだけではなく、マルトリートメントは、どの家庭でも起こりうるものなのです。子どもと関わる多くの大人が、自分は児童虐待と無関係だと思って見過ごし、日常的に不適切な接し方で子どもの脳を傷つけている可能性もあるのです。
この記事を書かれた福井大学子どものこころの発達研究センター教授友田明美先生は著書『子どもの脳を傷つける親たち』の中で、傷ついた子どもたちの脳が損傷することを紹介されています。
手と脳はつながっているという視点で手を分析している手相学がHASTA®︎です。
私は、脳が損傷しているのであれば、その痕跡が手の様相に現れると考えています。
今日は、手を読む技術がなぜ子育て支援に繋がるのかをマルトリートメントをキーワードに考察してみたいと思います。
東洋手相学から親子関係を探る
東洋の手相学では、手相の基本線を以下のように表現します。
感情線(天紋):父性を表す
知能線(人紋):自分を表す
生命線(地紋):母性を表す
この情報を教えてくれた本に
自分というものは、母と父の間に生まれるということだ。
なんと感慨深いのだろう・・・
書かれていたのを記憶しています。じゃあ、どうやって読解するのでしょう?
残念ながら、この疑問に満足のいく答えが記述されている書物を見つけることができませんでした。
そこで、この情報をヒントにデータを取ることにしました。
・お父さんの人となりと感情線の状態
・お母さんとの関わりと生命線の状態
それらの臨床データは、手相には親子関係から形成された後天的資質が現れていることを教えてくれました。
また、子ども時代に傷ついた経験がある方の手相にある特徴があることに気がつきました。今日の記事のキーワード、幼少期のマルトリートメントです。
ストレスは脳の発達を遅らせる
私は子育ての経験はありますが、育児中は必死で子どもについて深く知る余裕がありませんでした。私は育児のプロではありません。そこで、子育て支援に手を読む技術が活用できると感じ始めた頃から、子どものことやその発達について詳しく学び始めたのです。
ストレスが脳の発達を遅らせることと知ったとき、手を観察することは上手な育児に役立てることができるのではないか・・・と確信しました。
日々の生活で子どもたちが
無理していないか?
頑張りすぎていないか?
我慢していないか?
小さなストレスの積み重ねが脳の発達に影響を及ぼしているかもしれません。
子どものこころ(脳)の状態は手に現れます。
手の変化がこころの変化であり、成長(脳の発達)でもあります。
ストレスによる手の変化
この写真は、小学校5年生で不登校になったお子さんの手。左側が不登校の時の手、右側は6年生になり学校へ行き始めた時の手です。
生命線の太さ、薬指の状態に変化が見られますね。
この変化についてはは、以下の記事で紹介していますので、ご興味がございましたら、お読みください。
この写真は、支援級に所属していた中学校3年生の時(左)と高校へ入学した時(右)の手の変化です。
手の形、特に小指の状態が改善されました。心の成長が目に見えてわかりますね。
◇つぶやき〜手のシワ〜◇
私の個人的な見解を呟かせてもらいますと・・・
手に現れるシワは、脳の働き(シナプス)となんだかの形で繋がっていると考えています。脳が活発に活動したときにシナプスが繋がって、手にシワを造る?
私は医者でもなければ、脳科学の専門家でもありません。
けれど、この仮説は正しいのではないだろうか・・・?と子どもたちの手の様相やその変化を見て感じるのです。
子は親の背中を見て育つ〜ママの笑顔が子どもの笑顔を作る
上述の友田朋美先生は、こんな風に書いています。
親の不適切な関わりで、脳は変形する
子供に何気なくかけている言葉、とっている態度が過度なストレスとなり、子どものこころ(脳)を傷つけてしまうことがあるのです。
昨今、毒親という言葉も耳にすることがあり、さも子育てをしている親御さんが悪い様な印象を与えてしまっています。
けれど、親御さんは、悪意を持って我が子に接しているわけではなく、一生懸命に子どものことを思って育てているという現実があります。
友田先生の新刊です。
親御さん自身が明るく、楽しく、元気に生活し、その背中を見せることが子どもたちのこころ(脳)を育てる育児だと思います。
冒頭でご紹介したNHK出版「PHPのびのび子育て」2018年11月号は、以下のような文章で締めくくられています。
子どもの気持ちに寄り添いながら子育てをしようといった働きかけを行なっています。私はポイントとして、次の5つをあげました。
1 子どもの脳に及ぼす影響を理解し、体罰・暴言による子育てはしない
2 大人と子どもは対等な力関係ではないという前提にたつ
3 親は、爆発寸前のイライラをクールダウンする
4 親は子どもの気持ちと行動を分けて考え、成長を応援する
5 もし「マルトリートメント」を受けた子どもと遭遇したときには、速やかに専門的な医療機関と相談する
子どもは大人とは違う生き物であることを認識することが大切ですね。
そして、HASTA®︎(手を読む技術)の子育て支援の最大のポイントは3番!
親御さんが爆発寸前の状態にならないよう、親御さんのストレスフリーな生活をサポートすることです。
では、どうやって?
子どもの困った行動のなぜ?に答えを与えること
つまり、行動を促している子どもたちの本当の気持ちを伝えることです。
おわりに
手相で子育て支援?
手相を占いとして認識しているみなさんは、この二つが結びつくことに大きな疑問を持たれるでしょう。
でも、手には意識が現れていること、意識下にある想いも刻まれていること、こころのあり様で変化することがわかると、納得されると思います。
友田先生は小児科医として、外見からはわかりづらいこころの傷を見えやすくするために、マルトリートメントを受けた人のMRIを使って調べてきたそうです。
私は、子どもたちの目に見えないこころが知りたくて、子どもの手を見て調べてきました。
手は脳と繋がっていることを前提に手を観る技術があることを多くの方に知って、日々の生活に活用していただけることを願ってやみません。
著書「子どもの本当の気持ちがわかる手相の本」に詳しくご紹介しています。
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