少人数チームで挑むIPゲーム開発の裏側
はじめまして。株式会社Gaudiyでゲームチームのリーダーをしている長谷川(https://x.com/hassey_11)です。最近はもっぱらマーベルライバルズにハマっています。強い気持ちでDPSを選んでいますが、やむなく義務タンクをすることが多いです。
さて、Gaudiyでは漫画やゲームなどのIPをもつ企業に、IPファンが交流できるSNSサービスを提供しており、ゲームチームはそのサービス上で提供されるゲームを開発しています。チームは2023年9月頃にエンジニア2人と発足したところ(当時のNote)から、約1年が経過し現在メンバーは業務委託含めて10人/2チーム体制まで拡大しました。
この過程で様々な困難がありましたが、その中でも特に役立った「少ないリソースでゲームを作るための工夫」と、「IPらしさを担保するためのファンとの共創による工夫」についてご紹介します。
少人数でゲーム開発を進めるための工夫
私がGaudiyでのゲーム開発で一番大事にしているのは、ファンが喜ぶ体験のコアをできる限り明確にすることで、最小のアウトプットで最大の体験を生み出すことです。
発足当初から現在まで、チームのリソースは常に不足しています。SNSサービス本体はデザインシステムや開発SDKなどの共通基盤が充足しておりプロダクト要求さえ決まれば比較的高速に開発できるのに対して、ゲームでは固有のグラフィックやサウンド・プログラム・監修リードタイムが必ず一定発生するためです。特に初期はフルタイムのデザイナがおらず、だましだまし自分たちでデザインしたり別チームのデザイナに限られた工数で依頼してなんとか開発を進めていました。
このように工数が限られた状況でもファン体験を少しでもよくするために、チームでは次の2点を意識して行っています。
ユーザー体験が最大となる部分(最も力をいれるべき部分)とその理由を明確に定義する
最小の開発コストでユーザーテストを行う
体験の整理にはFigmaをよく利用しており、インゲームだけのサイクルやアウトゲームを含めた全体のサイクル図など様々なスコープでサイクルを可視化しています。これによって、感情を最大化するために作り込むべき箇所や離脱を避けるために最低限磨かなければいけない箇所、あえて力をかけなくてよい箇所などを決定しています。
こうした体験価値の比重分析の精度を上げるために、チームで既存ゲームの分析会やゲームデザイン関連書籍の輪読会なども行っています。
また、仮説となるユーザー体験の設計が完了したら、次にそれを最小コストでユーザーテストすることも大事にしています。アジャイル開発の思想と同様に、ゲームにおいても早期の FB を受けることが、ファンにより早く・より価値のある体験を届けるうえで非常に重要です。
そのため、開発においてはページ単位で作り上げていくのではなく、まずMVPを作り上げ最速でユーザーテストできることを優先した進め方を心がけています。またカードゲームなどコンピュータ演算の少ないゲームに関しては、物理で再現して遊んでみるなどの工夫をすることも行っています。
つい目の前の課題に意識を集中してしまい犬の道を進んでしまうことはまだまだありますが、これからもファンに少しでも楽しんでもらえるゲームをたくさん作っていくために、引き続きこれらの点は意識していこうと思います。
ファンとともに作り上げるIPらしさ担保の仕組み
IPゲームの最も難しい点の一つとして、ただゲームが面白いだけでなく、ファンにIPらしさを感じてもらえるか?という点があります。
例えばあるIPの主要キャラたちをゲームに出すこと一つをとっても、キャラの並び順がコアファンの中では定着しているものがあり、そことずれていて悲しいという声をいただいたことがありました。もちろん事前にできうる限り調査はしていましたが、全く気付けなかった観点でのFBであったため、IPらしさを表現することの難しさを痛感した瞬間でした。
このような経験から、最近は事前にコミュニティの中で開発中のゲームに対してFBやQAを実施してくれるファンをリクルーティングし協力していただく取り組みも行っています。これによって、事前にファンの目線をゲーム開発に取り入れ、よりIPを体感できるゲーム体験を作ることができています。
こうした取り組みは、通常であればXなどのSNSでコアファンを探しヒアリングをするというステップが必要ですが、私達はIPのファンコミュニティを持っているため、すぐにコアファンと連携することができます。またGaudiyには専門のコミュニティマネージャーが各コミュニティにいるため、多くのファンの方が運営を信頼してくれており、非常に協力的な場合が多いです。
また、ファンアートが盛んなコミュニティでは、実際のファンアートをゲーム内に登場させる取り組みなども行っています。
社内に閉じず、ファンと共にゲームを作るプロセスは個人的にもとても楽しいですし、Gaudiyならではのやりがいかなと思います。
ゲームチームのこれから
こうした工夫のもと、チーム発足から約1年で、規模の大小はありますが6つのIP/12個のゲームをリリースできました。
発足当初はコミュニティ内のファン活動の活発化や定着が目標でしたが、直近は運営型ゲームの要素を入れることでゲーム自体で大きな売上を作ることも目標となっています。直近出したゲームではありがたいことにARPPU(課金ユーザーあたりの課金額)やRR(継続率)でひとまず一定の結果を出すことができ、チームとして大きな一歩を踏み出せたと感じています。
来年も大きな挑戦がすでにいくつか決まっているため、より多くのファンに価値を届けられるように引き続きゲーム制作プロセスは磨いていきたいです。
また、チームの規模も大きくなってきたため、個ではなく集で戦うための組織づくりにも来年は取り組んでいきたいと思います。
エンジニア(フロントエンド・バックエンドいずれも)もデザイナも絶賛採用中なので、もし少しでも興味を持っていただいた方はご連絡ください!
Gaudiy Advent Calendar 2024、明日の担当は総務の今村さんです!いつもGaudiyを縁の下で支えてくれているCorporateチームの裏側が聴けるかも?お楽しみに〜