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小説家になりたいあなたに贈る物語

 インフルエンサーノベリストとして活動をしている橋本利一です。
 インフルエンサーノベリストとは『自分に影響力を与える物語を自分で書く小説家』という意味です。

 影響力は伝播するので、橋本が活動すればするほど、その影響力は広がっていきます。どんな活動をしているかは、『インフルエンサーノベリスト』で検索をしてみてください。

 橋本は28歳の男性です。小説家を目指して、14年目になります。人生の半分近くを小説家という夢に捧げてきたのですが、未だ、新人賞を受賞するには至っていません。

 凡人です。国語の教科書に出てくるような文豪でもないし、Amazonの売り上げランキングを占拠するような物書きでもありません。

 しかし、14年間、小説を書き続けて、新人賞に応募し続けてきました。新人賞に応募し続けて、落選し続ける物書きも珍しいのではないでしょうか?

 珍しい情報には価値があるということで、本書を執筆することにしました。

 インフルエンサーノベリストが送り出す初めての商品ということになりますね。みなさんに知ってもらうという意味も込めて、サクッと購入できる金額に設定しています。

 新人賞すら受賞できない物書きの書籍に価値なんてないだろうと思われるかもしれませんので、下記に橋本の戦績を載せておきます。

 GA文庫大賞1次選考通過(3回)
 MF文庫Jライトノベル新人賞1次選考通過(2回)
 小説現代長編新人賞1次選考通過(2回)
 文學界新人賞2次選考通過
 すばる文学賞1次選考通過
 電撃大賞2次選考通過

 ライトノベル、純文学、エンターテイメント。出版業界を代表するジャンルにおいて、1次選考を通過しています。凡人でも毎日やれば、1次選考くらいは通過できるようになるんです。

 本書は、小説を書いてみたいなあと思っている人や、小説を書くに当たって悩みがある人に向けて書いています。初心者から上級者まで、幅広い層の方に読んでいただける入門書を目指しておりますので、お気軽に読んでいただければ幸いです。設定金額として、2980円を定価とさせて頂きます。

 たまに、セールをやるかもしれないので、橋本利一のTwitterをチェックしてみてくださいね。導入部分は、無料公開エリアとして開放しています。試し読みとして、ご利用ください。

 序幕 あなたはどんな本が好きですか?

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 小説家を目指す人は往々にして読書家であると言えます。本を読むのが嫌いだけれども、本を書くことは好きだという人は珍しいのではないでしょうか?

 橋本も小さい頃から本を読むのが好きでした。小説家の頭の中を常に知りたいと思っていましたし、どうすればこんな面白いアイディアが思い浮かぶのか不思議でなりませんでした。

 読書家、橋本利一としてのデビューは小学4年生、10歳のときに読んだハリーポッターに端を発します。最初は、こんなに分厚い本を読むことなんてできるか! と思っていたのですが、読み始めると止まりませんでした。

 あれほど、何かに夢中になったのは、人生で他にありません。寝食を忘れて、貪るように活字を読んだのです。

 このときは、小説家になりたいなんて、思いませんでした。むしろ、橋本の関心はハリーポッターという物語の世界にあったんです。

 ハリーポッターをご存じない方のために、物語の筋をお話ししておきますと、両親を失ったハリーという少年が、君は魔法使いだと告げられて、魔法を学ぶための学校に行きます。学校で出会った、ロン、ハーマイオニーという友人たちと一緒に、魔法を勉強しながら、両親を殺した悪い魔法使いヴォルデモート卿と戦う話になります。

 世界中の子どもたちを熱狂の渦に巻き込んだ最高傑作であることは間違いありません。それを最初の読書として手に取ってしまったがために、橋本は本の虫になってしまったのです。

「ぼくにもいつかフクロウが魔法学校への入学証を携えてやってくる」10歳の橋本は本気で考えていました。なぜなら、橋本は現実世界に満足していなかったからです。

 橋本は習い事として、器械体操をやっていました。自我が目覚める前から、親に勧められるがままにやっていたんですね。バク転とか、宙返りとか、大車輪とかできました。小さい頃は良かったですよ。体育の時間で、技を披露すると、まるで自分がヒーローになったような気分になります。みんなが橋本を見てくれるわけです。

 橋本は目立ちたかったんですね。だから、器械体操をやっていました。

 しかし、橋本は器械体操に向いていなかったんです。オリンピックを見ていたら分かると思うのですが、技はバク転や、宙返りだけではありません。捻りが入ったり、回転が増えたり、器具の高さが高くなったり。

 成長するにつれて、要求される技の難易度が上がるんですね。小学校高学年に上がるころには、橋本は規定された技をすることができなくなっていました。

 怖かったんです。大技をする勇気がなかった。橋本はビビりだったのです。しかし、器械体操を辞めようとは思いませんでした。親も応援してくれていたし、自分は器械体操をやることしか知らなかった。器械体操をやらない人生を想像することができなかったのです。

 そんな橋本に、ハリーポッターは刺さりました。この世界に行きたい。魔法が使えれば、またヒーローになれる。魔法があれば、器械体操よりもすごい技ができる。

 けれども、いくら呪文を覚えても、いくら杖を振っても、フクロウが来ることはありませんでした。きっと、遅れているんだろう。

 待てど暮らせど、橋本が魔法使いになることはありませんでした。良識のある大人なら、魔法の世界なんてないことを知っていると思います。ハリーポッターの世界は、JK・ローリング氏が作った虚構の世界に過ぎないと。

 本当にそうでしょうか?

 大人になった今でも、橋本は本気で魔法はあると信じています。魔法使いになる方法はフクロウが魔法学校への入学証を持ってくるだけとは限りません。杖を振って、呪文を唱えるだけが魔法とは限らないのです。

 橋本が見つけた魔法。

 その正体については、本編でお話しましょう。

 ハリーポッターで読書の味を知った橋本は、更なる物語を求めて、本の海を漂うことになります。多く手に取ったのは海外翻訳の児童書です。

 ダレンシャン、デルトラクエスト、はてしない物語、ネシャンサーガ。

 図書館の住人ならば、一度は耳にしたことがあるタイトルではないでしょうか? 全てが壮大な冒険です。橋本はそんな大冒険に出会う度に、物語って素晴らしいなあと思うようになりました。

 海外翻訳の児童書は絶対数としては多くありません。なぜなら、原書は外国語で書かれていますし、ある程度の面白さが保障されていなければ、翻訳されることはないからです。

 図書館に通い詰めていた橋本も、目ぼしい海外翻訳の児童書は全て読みつくしてしまいました。これ以上読書を続けるにはジャンルを越えなければなりません。十年と少ししか生きていない橋本にとって、ジャンルを超えることは勇気が必要でした。

 だから、児童書というジャンルはそのままに、日本人が執筆した本にも少しずつ手を出していったのです。講談社に青い鳥文庫というレーベルがあります。ジャンルは児童文学。橋本は青い鳥文庫の読者になりました。

 はやみねかおる先生は橋本の心をがっちりと掴みました。はやみねかおる先生は、ミステリーの書き手として名のある先生です。夢水清志郎シリーズ、怪盗クイーンシリーズは、橋本に名探偵と怪盗という存在を教えてくれたのです。

 児童文学を読むにつれて、橋本も成長していきます。小学校を卒業し、中学に入学をしました。器械体操は相変わらず下手で、どうしようもありませんでした。身体も大きくなり、小柄で弾力性のある器械体操に向いた身体とはどんどん離れていきます。

 そして、ついに、橋本は器械体操を辞めました。きっぱりとケリを付けたのです。中学二年生の春でした。

 春爛漫。桜舞い散る頃に、橋本の人生を変える友人と出会います。彼らとは美術部の部室で出会いました。運動一筋だった橋本にとって、文化部というのは非常に興味がありました。

 ひとりは絵描きでした。暇さえあれば、プリントの裏に落書きをしていました。

 ひとりはピアノを弾きます。暇さえあれば、曲を作っていました。

 彼らはヲタクと呼ばれる趣味を持った人種でした。ゲームをやって、アニメを見て、漫画を読んで、語り合う。

 まだ、ヲタクが市民権を得ていない時代です。橋本は彼らと関わりながら、どこか冷めた目で見ていました。

 でも、彼らは優しかった。何も知らない橋本に色々なことを教えてくれました。

 深夜にアニメが放映されていること。

 家の本棚にぎっしりと漫画があること。

 ゲームがあれば何時間でも遊べること。

 世の中にはこんなに楽しいことがたくさんあるなんて、橋本は知りませんでした。

 新しくて、楽しいことを教えてくれる彼らを見る目は確実に変わっていきました。

 そして、橋本は人生を決める小説家に出会います。

 橋本は彼らを図書館に招きました。彼らにも、橋本の好きなことを紹介したかったのです。しかし、彼らは読書さえも、橋本を凌駕しました。
「橋本は読書が好きなんだよな。じゃあ、ライトノベルは読んだことはあるか?」

「ライトノベル?」

「これだよ」

 絵描きの友人が手にしたのは、女の子が表紙を飾っている文庫本でした。青い鳥文庫に似ていますが、どこか漫画っぽい印象を受けました。

「キノの旅?」

「ああ、一番流行っているライトノベルだよ」

 ピアノを弾く友人が壁に貼られた模造紙を指しました。模造紙には貸出している本のランキングが書かれており、上位はライトノベルで独占されていました。

 その一番上に、『キノの旅』は燦然と輝いていたのです。

「読んだことないなあ。女の子が読むような本じゃないの?」

「なんで、そう思うんだ?」

「だって、表紙に載っているのは女の子でしょう?」

 友人たちは何も知らないんだなあと言わんばかりに、橋本にライトノベルの説明をしてくれました。橋本は男だから、可愛い女の子が好き。可愛い女が表紙を飾っている本なら、読みたいと思うはず。

 橋本はライトノベルの表紙を見たことがありませんでした。いつも、背表紙しか見ていなかったので、表紙に女の子が描かれているなんて知らなかったのです。

 勧められるがまま、『キノの旅』を読みました。『キノの旅』は旅人キノが二輪車エルメスと旅をする話です。

 旅が好きでした。海外翻訳の児童書の主人公たちは、よく旅にでますからね。

 キノとエルメスは一風変わった国を3日間の滞在を条件として巡る物語は、橋本の想像力を搔き立てました。

 作者の時雨沢恵一先生はあとがきを書く名人です。読者が想像できないような場所に配置されたあとがきに熱狂しました。

 そして、『キノの旅』を読み終えた橋本は、最後のページを目にします。

 電撃ゲーム小説大賞募集。大賞賞金100万円。

 これだと思いました。

 橋本の将来の夢が具体的な形となって、現れた瞬間でした。

 絵を描く友人がいて、曲を弾く友人がいて、文字を書く橋本がいる。

 ジグソーパズルのピースがパチリとハマった音が聞こえました。

「僕は小説家になるんだ」

 橋本は友人たちの前でそう宣言をしました。

【無料開放エリアはここまでとなります。引き続き、『小説家になりたいあなたに贈る物語』をご覧になりたい方は、是非ご購入くださいませ。本文では、橋本が14年間で獲得してきた文章作法を、具体的な文例を用いて詳しく解説しています。商業出版では出回らない、橋本オリジナルのメソッドになりますので、きっとあなたのお役に立てるはず!】

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