【無駄話】誰にも刺さらない

たわいのない話をここで1つ。

私の隣の席の友人の話なんですが、となりで必死に計算をしていました。
横書きの上段の行に「DL」「FAN」と書かれ、2つの列には、商品名称、比率、値段。つまり、比率は値引きされるパーセンテージだと考えられます。

横目でがっつりみられていたことに気づいた友人は、どれがいい?と尋ねました。私は、さっぱりわからないふりをして、知らないと答えました。

「なにか買いたいものがあるの?」
「うん。2万円以内でとにかく買いたくて。」
「その2万円って、貯金にある全財産だったり?」
「そう。クーポンもあるから…」

用紙の1番下に、DLは「25%, 1つのみ」、FANは「18%, 全部適用」と書かれていた。きっとこれの事だろう。
友人は、スマホの画面をスクロールしながら考え込んでいた。僕は覗いては見るものの、商品は全然知らないものばかりで何も言わず席に座る。

ふと思ったのが、昔の人はコンビニや本屋の実店舗に行かないと買えなかったもの。それが、電子媒体で時間をかけずに買うことができる。隠ぺいがしやすくて、アリバイも作れる。目に見える証拠は情報だけだから、知識がないとわからない。

今の時代は良い。高齢化は進んで、情報に疎い人ばかり。いや、知ろうとしないから新しい情報を受け付けない。だから騙しやすい。何を言ったって知識がないから言い返せない。

「この時間からこの時間まで何をしていたんだ。」
「私はこの部屋から1歩も出ていないので。ただの動画漁りですよ。」
「じゃあ目撃証言とかは?」
「知るわけないじゃないですか。休日くらい家に籠ってもいいですよね?」

これだけで済む。ご近所さんが消えたって私の知ったことではない。
自宅周辺では、60代からの高齢者が行方不明になる。理由は追及できていないという。ここらへんの警察とかは、ネットに関して本当に疎い。だから、可能性を除外して現実にあるものだけで探そうとする。
もうそろそろ、駆け付ける警察官も増えるころかな。いつまでこのビジネスができるんだろうか。少なくとも、卒業するまでは普通に過ごしているふりをして、何知らぬ顔でここを出てってやろう。そういう気持ち。

スマホからメールの通知が届く。依頼がまた1件。詳細事項についての回答を求める返信を送った。範囲さえ広がれば、もっと依頼が増えるかもしれない。例の高齢者もハッピーになる「ビジネス」をもっと広めたい。それで、もっと別のことにお金が回るようにしたい。あとは…。いや、ここまでにしよう。理想が無駄話にならないように。

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