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【#創作大賞2024】祖母・妹編
家族の話を書く場合は「今を生きる」妹や父に迷惑をかけないよう鬼籍に入ってしまった方をメインにしていますが、どうしても妹は出て来てしまいます。しかし、祖母を語る場合、どうしても妹は欠かせないのです。そこで、祖母や母に関わる部分だけは出すと本人にも伝え了解を得ています。
ということで本日は妹のエピソードを披露します。昔の妹は現在と似ても似つかないので安心して過去の事実を書きまくりです。
美意識高めの祖母
祖母が考える美人は高い鼻・二重・富士額・うりざね顔でした。妹は私と違いよく食べる健康優良児です。キュウリ以外は食べなかった私と違い、妹はフクフクとした可愛らしい幼児でした。私もまん丸な妹が大好きでした。
ただ、あまりにまん丸でマブタまでパンパンに張った状態だったのです。祖母は可愛い孫が二重にならないのではと心配していました。また、肉がたっぷりついていたせいか妹の鼻はチョコンと小さく見えます。それがまた可愛かったのですが、祖母は鼻が低いままなのではと心配になったのです。
祖母は考えました。
二重じゃないなら作ればいい
高くなければ伸ばせばいい
と。嫌がる妹に祖母は「美人になるから」と無理矢理マブタに洗濯バサミをつけました。痛がるのですが「すごく可愛い」と祖母が誉め立てるので妹は我慢します。
我慢はしたのですが、帰宅した母が悲鳴を上げて洗濯バサミを取りました。母の悲鳴を聞いて妹は泣いていました。
祖母はマブタがダメならと洗濯バサミで鼻をはさみますが、これは相当痛かったらしく妹は泣きます。可愛い孫に泣かれたら継続はできません。鼻を高くするのは諦めました。
しかし、二重を諦めきれなかった祖母はテープをマブタに貼ることを思いつきます。この方法は顔にシールを貼る感覚に近かったのか、妹はそれほど嫌がりません。マブタにテープをつけてニコニコしているので子ども心に気の毒になりました。
一日中、テープをつけ喜んでいた妹は帰宅した母に喜んで顔を見せました。母は絶叫しながらテープを取りました。幼児の柔らかな肌が荒れると思ったのです。母の叫び声を聞いて妹は泣いていました。
私は幸い痩せてそこら中シワだらけだったので二重と勘違いした祖母に荒業をかけられることはなかったのです。
切りたがる祖母
目に入ると視力が悪くなる、その理由で私達姉妹は前髪を伸ばすか短くするかの2択でした。その言いつけを守り私は前髪を伸ばし「デコッパチ」と男子にからかわれる小学校低学年時代を過ごしましたが、高学年になり目が悪くなりました。どうせ悪くなるなら前髪を作って欲しかったです。
妹は前髪を欲しがり、母に美容院へ行きたいとねだりました。私には許さなかった前髪ですが、末っ子は甘え上手。母は妹に前髪を作ることを許します。心の中で「なんで!」と私が絶望していると祖母が、
「小さいのに店で切ることあるかい!」
と言い自分が切ると言いだします。
「え?」
母は動揺します。でも母はこういう時、祖母に逆らえないんです。
「おばあちゃんが可愛くしてあげるよ」
妹はニコニコしながら椅子に大人しく座りました……
![](https://assets.st-note.com/img/1719051216290-3hqCoPmN7q.png)
こう書いたらだいたいの想像がつきますよね。
そうです。祖母はとんでもない長さに前髪を切ってしまったのです。
「可愛いじゃないか!」
確かに小学校低学年くらいまでは前髪が短くても可愛いです。でも低学年だってプライドがあります。妹は、
「学校、休む!」
と大泣き、気の毒でした……
前髪が短いのは気の毒でしたが妹は休むことを許されず毎日登校していました。教室でなんて言われたのか、ちょっと胸が痛みますね。
ようやく前髪が伸びた時、妹は美容院へ切りに行きました。祖母も前髪を切るとはいいません。ヤッパリ失敗シタト思ッテイタノネ……
美容院から帰ってきた妹はまた短い前髪になっていました。
短い前髪と妹は縁があったのでしょうか。大きくなり電車で移動できるようになると、妹は自分で美容院を探しカットしてもらうようになりました。
反省する祖母
お客さんが来たらお茶を出して「お上がんなさいな」とする祖母を見て私達は育ちました。お客さんが来たらお茶を出す。だから妹は忠実に実行しました。
押し売り相手に。
祖母が買物から帰って来た時、人相の悪い男がちゃぶ台の前に座りお茶を飲んでいたそうです。横で妹はニコニコしています。
「おばあちゃん、お茶出したよ」
祖母は妹を叱ることができません。自分がお茶を出すよう仕込んだのですから。
「よくやったね……」
と言いながら押し売りを睨みます。押し売りは妹のお茶の誘いを断れなかったとしどろもどろに言い訳をしたそうですが、鬼の形相の祖母を見てものすごい勢いで逃げて行ったそうです。
妹に毒気を抜かれてしまったため商売ができず、悪いこともしていないのに逃げ出した押し売りさん。ちょっと気の毒です。
反省した祖母は妹に自分の友人以外は家に上げちゃいけないと教えなおしました。
「おばあちゃんが反省するのは珍しかった」
と母が笑っていたのを今でも覚えています。
八百屋に物申す祖母
妹はソラマメが大好きでした。そのためソラマメの季節になると祖母は毎日買ってきては茹でて出します。妹は元々食欲のある子どもでしたが、ある日うれしすぎて異常な量を食べてしまいました。
その夜、健康が売りの妹は腹痛で苦しみます。ソラマメを食べ過ぎたのです。自業自得ですよね。しかし、祖母はそう考えません。
次の日、八百屋へ
「あんたんとこのソラマメで孫が腹痛くした!」
と怒鳴り込んだそうです。帰宅するなり
「八百屋にはよく言って聞かせた」
と言うのを聞き、母は顔を青くします。あまりに身勝手な祖母の主張が恥ずかしくてたまらなかったのです。
「嫌味を言われて嫌だったわー」
暫くの間ため息をついていた母。妹の腹痛事件以後、ソラマメはたまのお楽しみになってしまいました。
サンタの仕事を担う祖母
「サンタさんのプレゼントがない」
幼稚園に行き、サンタの存在を知った妹は12月25日の朝、ベソをかきます。それまでクリスマスのプレゼントは両親からもらうだけだったのです。
当時、我が家にサンタは訪れないことになっていました。母が言うには私に
「サンタさんからなにが欲しい?」
と聞くと、
「サンタさんなんていないよ」
と言ったので親からのプレゼントだけにしたと言うのですが、私はそんなことを言った記憶がありません。母にサンタを信用しない夢のない子認定を受けたことで我が家にサンタは来ないことになっていました。本当に幼児の私はサンタがいないと言ったのでしょうか?真実は闇の中です。
そのため、妹もずっとサンタの存在を知らずに暮らしていたのですが、幼稚園でサンタクロースについて教わってしまったのです。
いないいないと泣く妹に対して母は、
「サンタさん遅刻したのよ!」
と言いだします。サンタがいないと泣く末っ子が可愛くて仕方ないのです。私の方をギロリと睨み余計なことは言わない、と無言で圧をかけます。私も
「そうだよ!遅刻だよ!」
と叫びます。
12月26日の朝、妹の枕元にブーツに入った菓子の詰め合わせが置いてありました。
「サンタさん来た!」
妹はニコニコしています。
祖母が朝の騒ぎを受け、妹にばれないように商店街で買ってきたのです。母と祖母の見事な連携プレーで妹の元には無事サンタクロースが訪れました。
妹のところにだけ来て姉のところに来ないのはまずいだろうということで、私もブーツに入った菓子を毎年もらえました。妹が小学校を卒業するまでブーツは毎年12月25日の朝、祖母というサンタクロースによって届け続けられます。
可愛い妹がいて私は幸せ者です。
3000文字を超えたので、ここで終わりにします。来週からはちょっと違う形で#創作大賞2024にチャレンジしたいです。祖母の笑い話を書きたくなったら不定期で書きますので安心してください♪
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