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【#冬ピリカ応募】あーちゃんのサンタさん

クリスマスイブの夜、トイレに行きたくて、あーちゃんはママを呼びにリビングまで行きました。でもパパが出てきました。

「ママは?」

「ソファでグーグーだから今夜だけパパが一緒に行こう」

「え?でも電気ついているよ?」

「電気つけっぱなしで寝ちゃったんだ。しょうもないママは、後でパパが怒ってしんぜよう!おっ、パパ、トイレに行きたくなっちゃった!あーちゃんより先に行っちゃおうかなぁ?」

「だめぇ!あーちゃんが先ぃ!」

慌ててトイレまで走ろうとした時、ママの背中がドアのすき間からチラッと見えました。

暗い廊下にすき間から漏れ出るリビングの光は、いつもよりまぶしく見えました。そして、ママの背中も。

「ママ?」

「パ、パパが一番取るぞぉ!」

「違うもーん!あーちゃんだもん!」

帰りはパパが抱っこダッシュで部屋まで連れて行ってくれました。リビングからはもう灯りは漏れておらず、暗くなっていました。

ママ、パパに叱られる前に寝ちゃったのかなぁ、とぼんやり考えながら、あーちゃんは眠ってしまいました。

朝。枕元にはいつも通り、サンタさんからのクリスマスプレゼントがありました。ドキドキしながら開けると、リトルキュアのバトンが出てきました。

あれ?なんか違う?と思いながらサンタさんの手紙を読むと、

「ホーホッホホ。メリークリスマス。ハリーポッターのツエはなかったんじゃ!すまんのう。かわりにおんなのこにだいにんきのリトルキュアのバトンじゃ!」

と書かれてありました。

でもその手紙、鉛筆で下書きされた跡があります。消しゴムで消したようで、少しシワにもなっていました。

「ママの字だ…」

小学生になる準備で、ひらがなの勉強をママと沢山したあーちゃんは、ひらがなはスラスラのスラです。そのため、ママの字はすっかり覚えてしまいました。

「ママがサンタさん…?」

幼稚園のクリスマス会の時にソウ君が「あれ、園長先生だぜ!」と大きな声でサンタさんの正体をバラすので、

「当たり前でしょ?本当のサンタさんはイブにお家に来るんだから」

とたしなめました。なのにソウ君は、

「それ、パパとママなんだぜ。知らねえのかバーカ!」

と言われたことを思い出し、ジワっと涙が出そうになりました。

その時、この頃ママが疲れた顔をして毎日幼稚園に迎えに来ていたのを思い出したのです。

時々ない、ないなぁとつぶやくので、

「なにが?」

と聞くと、

「え?なんでもない」

と慌てていたのも思い出しました。

そして昨日の灯りの中のママの背中も。

あーちゃんの心に灯りがポッとともり、ホカホカと温かくなっていきました。

「おはよー!アカリ!サンタさんからのプレゼントあった?」

とママが入ってきました。

「うん!」

とあーちゃんは元気よくリトルキュアのバトンを振って見せました。

高校生になった今も、下書きが残った手紙とリトルキュアのバトンは大切に部屋に飾られています。

(1173文字)

※小牧さんのショートショートで知り、よし!何事もチャレンジと応募させていただきます。クリスマスは過ぎましたが、24日に紹介した友人の娘さんのお話がピュアで私自身の心に灯りがともったため、応募作に活用させていただいております。私自身にピュアな体験がないので…。全ての皆様に感謝!


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