見出し画像

「葬送のフリーレン 一級魔法使い試験編」考察! 魔王の時代(戦いの魔法)から人間の時代(多様な魔法)へ! 一級魔法使い試験は強い奴に有利なガバガバ試験?

 こんにちは! 今回は葬送のフリーレンの一級魔法使い編の感想を話していきたいと思う。「試験編」といえばある意味少年漫画の定番でもあるが、フリーレンの試験編は中々特殊であるし、結構ツッコミどころも多く面白かった。そして、恐らく今作の核心に近い設定も試験編に散りばめられていたと思うので、その辺を話していこうと思う。それでは初めていこう。

 まず、今作の試験編の一番の特徴は、受験者のフリーレンが一級魔法使いなんて受かって当然レベルの実力者である所だ。H×Hでいうとグリードアイランドで念を覚えた後のキルアがハンター試験で無双していた時のような状態である。

 だからこそ、普通に試験を受けたら当然のように受かってしまうため色々と工夫されている。例えば一次試験では、カンネ達のような簡易的フェルン(弟子ポジション)と組ませて、フリーレンをサポート役や導き手としてみせる手法が使われている。二次試験では複製体を使う敵を出す事で、フリーレンの存在がそのまま試験の難易度を跳ね上げるなど、試験編の展開は単調な物にならないように色々と考えられている。

 ただ、僕が気になったのは、この一級魔法使い試験が、魔法が上手い奴ではなくただ単に強い奴が受かるような内容が多い所だ(ゼーリエが武闘派だからわからないこともないが)。例えば一次試験の鳥の捕獲に関しては、色々と魔法を使った工夫や応用が求められるからいいと思うのだが、ルールで最終的に鳥の奪い合いを認めてしまったら、結局強い奴らが勝つただのバトルになってしまう。

 二次試験のダンジョン攻略も、様々な罠や条件を持つ迷宮を攻略していくのかと思ったら、結局複製体とのバトルがメインになってしまう。このように試験内容が、魔法が上手い奴というよりは、戦闘力が高い奴に有利な内容ばかりでちょっと面白かった笑 

 次に、この試験編は、いずれエルフや魔族すら超えていく「人間の可能性」がテーマになっていると思った。後はフリーレンの作品世界内の魔法ってどういう物なのかの説明をやりたかったのだろう。

 まずフリーレンの世界の魔法は、H×Hの念能力の概念に影響を受けていると感じた。今作の魔法使い達は、魔法のリソースを防御魔法に多く割いているから、攻撃魔法は水や土など現実にあるもの利用する事が多いというような説明があるのだが、この辺など念のメモリの概念だったり、具現化系の奴が、武器を具現化するより、実際の武器を持ち歩いたほうが効率がいいという話しと似た物がある。

 そして、魔法使いは単純な強さだけではなく、かなり相性が重要である事が強調されている。この辺も念の系統図の関係性や、上級者の念使いが、念初心者にも能力の相性次第では負けてしまうような部分と近いと思った。

 次に、魔法を使う上でイメージが重要という設定も試験編で特に強調される。そしてこの設定は、フリーレン達が魔王を倒せた話しにも繋がってくると思っている。フランメはゼーリエは魔王を倒した後の平和な世界をイメージできないから魔王を倒せないと言っていた。これは、ゼーリエは魔法=強さという、魔王軍と戦っていた時の前時代的な魔法のイメージしか持てないから魔王には勝てないのだ。恐らく魔王は力としての魔法では倒せず、別の条件を満たす必要があるのだろう。

 逆になぜフリーレンは魔王を倒す事が出来たのか?それは、フリーレンは花畑を出す魔法や、他にも色々としょーもない魔法を趣味で収集しているが、そういった強さ以外の魔法の価値を信じられているからなのだ。つまり、魔王を倒した後の平和な世界の強さ以外の新しい魔法の価値をイメージ出来ているからこそ魔王に勝つ(新しい時代を築く)ことが出来たのだ。

 そしてフリーレンは、これからは人間の時代がくると言っていたが、やはり試験編の主役は人間であり、テーマは「人間の可能性」なのである。ダンジョンでフリーレンの複製体を、フェルンの活躍で倒す事が出来たが、これも、人間がいずれエルフや魔族すらも超えていく事を象徴するシーンだ。

 今の時点では、生物としての個の性能は人間はエルフや魔族に負けているだろう。寿命からして全然違うし。しかしだからこそ、人間は魔法の歴史を次世代から次世代に繋ぎ、それがこれから先エルフや魔族をも超えていくのだ。ゼーリエすら認めざるおえないフェルンのような突出した才能が出てきたのもその兆しであろう。

 後は、これはまだよくわからないのだが、魔族やエルフにはない人間の強みとして「共感」という要素があるかもしれない。というのも試験編でユーベルが、相手に共感できれば相手の得意な魔法を使えるというような事をいっていたのだが、この先の黄金郷のマハト編で魔族は人間と感情が異なりすぎて共感出来ないという話しが出てくる。つまり、人間は戦う事ばかり考えてる狭い価値観しか持てず、共感する事も出来ない魔族と比べて、相手の多彩な感情や心に共感する事ができる生き物なのだ。だからこそ使う魔法の幅も広く、多様な魔法を使う事が出来る。これは魔族(もしくはエルフ)に対して人間の大きなアドバンテージなのかもしれない。

 という事で、葬送のフリーレン一級魔法使い試験編の感想はこんな所である。読んでくれてありがとうございました。ではまた!  次回「薬屋のひとりごと」の感想に続く。

 

 

 

 

この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?