2022-2023ファイナルのチーム戦略
今シーズンのファイナルについて
先々週をもって終了したMリーグ 2022-2023シーズンのファイナルについて、簡単に見ていきます。
そんなにDFDFしてなかった
ここ2年のファイナルでは、「強い選手を余計に出し、弱い選手を引っ込める」DF戦略を徹底したチームが優勝していました。それでは、今シーズンはどうだったかというと、優勝したABEMASをはじめとして、それほどDF傾向の強いチームはありませんでした。
ABEMASは、日向藍子プロが2桁のマイナスとなった以外は、他の3人が全員100pt超のプラスとなっており、そりゃ優勝するわ、という成績でした。逆に、セミファイナル通過時点ではトップだった風林火山は、全員がマイナスとなり、4位になるのもやむなしの成績でした。
例年の12戦から16戦に増えた今シーズンのファイナルでは、前述のとおり、均等な起用が多く、分散の平均は5年間で最も小さくなっています。特に、初ファイナルの雷電は、全員を平等に4戦ずつ起用する雷電戦略でした。
ラスト4戦の起用はどうだったか?
今シーズンのファイナルでは、ABEMASの松本吉弘プロが106.8ptの大トップを取った12戦目で、おおむね趨勢が決まりました。残りの4戦は、首位のABEMASと2位の麻雀格闘倶楽部の優勝争い、3位の雷電と4位の風林火山の3位争いが繰り広げられることになりました。
大詰めとなったラスト4戦では、各チームがエースをつるべ打ちしてきたかというと
192pt差を追う麻雀格闘倶楽部は、以前のファイトクラブ戦略なら、エースの佐々木寿人プロを4戦すべてで起用していたかもしれません。しかし、麻雀格闘倶楽部も雷電も、ラスト4戦は各選手を平等に起用していました。逃げ切りたいABEMASと3位を取りたい風林火山も、エースの多井隆晴プロ・勝又健志プロを2戦ずつ起用したくらいで、そこまで偏った起用ではありませんでした。
首位と2位のポイント差がより小さかったら異なる起用になっていたかもしれませんが、シーズン全体を通して、特定の選手の多用は少なくなっています。
トップを取ればすべて解決する
セミファイナル終了直後の配信で、多井プロが「ファイナル16戦中、優勝するには最低6トップが必要。7トップなら確定」と話していました。また、「なぜ6トップ必要かというと、5トップくらい取るチームが他に出てくるから」とも言っていました。
結果は、多井プロのファイナル開始前の見通しどおり、ABEMASは7トップを取ってあぶなげなく優勝、準優勝の麻雀格闘倶楽部は5トップを取っていました。
ただし、ABEMASは16戦中1ラスとほぼ完璧にラス回避できており、麻雀格闘倶楽部とは持越ポイントが46.9pt差と1トップ分くらいの差があったので、5トップ・6トップでも優勝できていたかもしれません。
いずれにせよ、これでMリーグ5年間のうち、持越ポイントが明暗を分けた2021ファイナルを例外として、4年間のファイナルでは、最も多くトップを取り、最もポイントを稼いだチームが優勝しています。ということで、おおむね、「Mリーグファイナルでは、トップを取ればすべて解決する」と言えます。
来シーズンについて
例年より時期を早めて9月開催とも言われているMリーグ 2023-2024シーズンですが、すでに多くの新情報が発表されています。
9チーム目の追加
先週の5/26(金)に、BSJapanextをスポンサーとする新チームの追加が発表されました。
新チームのメンバーとなる4名が誰になるか、いろいろ取り沙汰されていますが、個人的には、先日プロ連盟入りした将棋の鈴木大介九段が有力だと考えています。
鈴木九段のプロ入りが発表されたのはファイナルの開催中であり、メンバーの入れ替え予定があったのはドリブンズだけでした。ドリブンズは最高位戦色の強いチームであり、プロ連盟から新しい選手を採用するとは思えません。そのため、鈴木九段のこの時期の連盟入りには違和感があり、「Mリーグを見据えて、リーグ戦とかに出るのかな?」と思っていました。しかし、新チームからのMリーグ入りが決まっているのであれば、納得がいきます。ちょうどMリーグ創設年のドラフト直前に、萩原聖人プロが連盟入りしたのと同じですね。
そうなると、来季のMリーグには、3人の鈴木プロ(ドリブンズ・鈴木たろうプロ、Pirates・鈴木優プロ、新チーム・鈴木大介プロ)が同時に存在することになり、MではなくSリーグと言っても過言ではない状態になります。
4人でプレイする麻雀というゲームの性質上、チーム数は4の倍数の方が運営しやすいはずなので、最終的には12チームまで増えるのではないかと予想しています。少なくとも、数年以内には10チーム目を入れて、チーム数を偶数にするのではないでしょうか。さらなる新規チーム追加の際は、今回の鈴木九段のように、有名人の麻雀プロ入りが前触れとなるかもしれません。
レギュレーションの変更
9チーム目の追加にともなって、レギュレーションが以下のように変更されました。
これまでは、セミファイナルに進出しても、ファイナルの4チームに残れなければ、チームメンバーの入れ替え=クビになる恐れがありました。Piratesが、2021年のレギュラーシーズンをトップで通過しながら、セミファイナルで敗退し、メンバー入れ替えになったのは記憶に新しいところです。
しかし、来シーズンからは、セミファイナルに進出できなかった3チームのうち、2年連続で予選落ちしたチームがメンバー入れ替えになります。入れ替え対象が、8チーム中4チームの1/2から、9チーム中3チームの1/3となることで条件がやや緩和されました。これによって、レギュラーシーズンを無事に終えさえすれば、ポストシーズンは選手はのびのびプレイできるようになります。
チーム戦略はどう変わるか?
例年、レギュラーシーズンの起用方法は、均等化が進んでいます。最近では、メンバーの出場試合数に明確な差をつけているのは、ドリブンズくらいでした。
チームメンバーの変更が発表されていない6チームは、今までどおりの戦略を取るとして、リニューアルを行う3チームは、チーム戦略を変えてくる可能性があります。
現在、メンバーの変更・追加が決まっているのは、メンバー入れ替えが決定したドリブンズ、近藤誠一プロの勇退が発表されたフェニックス、そして、新しく創設されたBSJapanextになります。
■ドリブンズ
選手の出場試合数からチーム戦略を推測する一連の記事の発端になった「ドリブンズ戦略」を採用していたドリブンズは、2年連続でファイナルに進むことができず、メンバー入れ替えになりました。昨日、村上淳プロ・丸山奏子プロの契約満了が発表されています。
トータル成績を見ると、単純に成績の悪い2人を切ったとも見えますが、すでに決まっているはずの2名の新メンバーとの兼ね合い等を考慮した結果でしょうね。
おそらく最高位戦から、男性プロと女性プロを1名ずつ指名することになりますが、女性プロの出場試合数を最低限(10試合)にとどめるドリブンズ戦略を継続するかどうか気になるところです。育成枠はやめて、もう少し実績のある女性プロを採用し、15試合前後は起用するのではないかと予想していますが、どうでしょうか。
■フェニックス
フェニックスでは、近藤プロの勇退が発表され、新しい男性メンバーを採用することになりました。
フェニックスは、魚谷侑未プロと近藤プロのダブルエースという印象が強いチームでしたが、出場試合数からすれば、魚谷プロと茅森早香プロのダブルエース体制に近いですね。
近藤プロは、トータルではチーム一の稼ぎ頭ですが、そのほとんどは最初の2年間の約500ptの貯金によるものです。近年はレギュラーシーズンではあまり活躍できておらず、今回の勇退につながる力の衰えがあったのかもしれません。
今シーズンは、東城りおプロの活躍もあり、各選手をほぼ均等に起用していました。
2021年に加入した東城プロは、主に人気面を評価しての採用だったと思います。しかし、今回追加の男性プロは、近藤プロの後釜ということもあり、実力を重視して選出するのではないでしょうか。そうなると、来シーズンもフェニックスは均等に近い起用となることが予想されます。
■新チーム BSJapanext
新チームであるBSJapanextは、連盟寄りと聞いています。メンバーに選ばれるのは、予想が当たれば鈴木大介プロと、以前からMリーグ入りがうわさされている元乃木坂46の中田花奈プロでしょうか。
そのほか、メンバー4名のうち1名は、オーディションによる選出が発表されています。
新チームの戦略はメンバー次第ですが、同じく途中から追加となったサクラナイツの1年目が参考になるのではないかと思いました。
2019年に新規参入したサクラナイツは、内川幸太郎プロ・岡田紗佳プロが振るわず、好調だったベテランの沢崎誠プロが、レギュラーシーズンの最高記録となる90戦中41戦も出場しています。
実績のある選手でも、各団体の通常ルールにはない赤入りで、多くの団体の選手が入り乱れるMリーグでは、入ってすぐには結果を出せないことがままあります。そうした場合には、好調だったり大黒柱となる選手が極端に多用される可能性があります。
新チームのチーム名やオーディションに参加する8名の選手は、5/31(水)に発表されるということなので、当日をワクワクしながら待ちたいと思います。
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