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菊花賞 2023 回顧


【レース展開】

S(スロー)後半型 後半SP持続型 60.4-58.6
12.7-11.7-11.1-12.3-12.6-12.9-13.1-13.0-12.8-12.3-12.1-11.6-11.7-11.4-11.8

大まかに見ればスローの流れの後半4FのSP持続力勝負の展開。ただ前半でやや流れる展開を演出した馬が1~2角で下げてしまい、中盤で12秒後半から13秒台のラップになるなどかなり緩む流れにになるも、3角から再度加速していく緩急のある展開に。さらに直線半ばでも11.4秒の加速を問われていて、総合的な後半要素を必要とした形。

ドゥレッツァ 1着

【決め手】高速馬場の後半SP持続力勝負で完勝・緩急あるレース運び奏功

若干出負け気味の発馬も最初の3角までにある程度前に行って好位追走…と思いきや、勢いそのままに一気にハナに立つ形。そのまま主導権を握る形でレースを引っ張って前半は60.4秒の流れを演出。しかし1~2角でグッとペースを引下げると、外から来た2番手追走のパクスオトマニカにハナを譲って、向こう正面では自身はさらに下げる形で3.4番手まで後退。しかし2周目3角で内目からジワッと押し上げの態勢に入って差を詰めに掛ると、直線入口で一気に動いて2番手に浮上して直線へ。直線序盤から半ばになけてグンと加速しすると一気に後続を突き放して、最後1F地点で完全に抜け出す形。最後1Fも脚色は鈍らずにそのまま最後まで伸びきって、最終的に2番手以降に3馬身半の差をつける完勝だった。

自身の序盤の出方で前半が平均寄りで流れる展開を作り出しておきながら、1~2角で他馬にハナを譲って向こう正面の中盤区間でグッと貯めを作る格好。そして3角の下りからは再び動き出して行って後半要素を引き出す形を見せて来た。この形で直線半ばで11秒台前半の加速まで引き出すなど最高の形を作りあげていて鞍上の巧みなレース運びが大きくモノを言った内容。当然馬の能力面も相当なものであり、鞍上の巧みな運びで緩急を作り出しているし、立ち回りの自在性も見せていて総合力の高い馬という印象。。他馬もある程度自分の形に持ち込めたはずだが、この馬ほどの後半要素を引き出すことは出来ずに終わっている。まぁ自身が高速馬場を得意にしているという要素があるにせよ、それにしても勝ち時計も3.03.1とかなり優秀であり、ここに来てとんでもない馬が出現した感じ。

ここで春の実績馬を完全に撃破した事になるし、持続力を含めた後半総合力の高さ、操縦性の高さなどを見ても年末の有馬記念でもそのまま通用してしまいそうな感じはある。ただ高速馬場の後半SP持続力型という印象なので、時計を要する馬場で持ち味を出し切れるかどうかが今後の最大のポイントになるかもしれない。

【レース関係者コメント】
(C.ルメール騎手)

「ゴールして、(私自身)すごくテンションが高くなりました。(8枠17番)1周目は静かな騎乗がしたかったけど、馬が元気でフライングスタートになり、逃げた方がいいと判断しました。(2周目の)3、4コーナーの手応えが良く、絶対にいい結果を出せると思いました。直線で加速して、勝てると思いました。(これで5連勝)この馬はずっと良くなってきて、強いメンバーでG1を勝つことができました。今回は3000メートルだったけど、2000メートル、2400メートルのレベルの高いG1でもいい結果を出せると思います。おおきに」

タスティエーラ 2着

【決め手】直線半ばで鋭い加速を引き出すも・勝ち馬には後半要素で完敗

発馬五分から中団内目を追走も序盤はやや掛かり気味。それでも何とか抑え込んで道中は終始中団中目辺りを追走。向こう正面で外目に持ち出すと、3角過ぎで外からジワッと動き出して進出の構えを見せるも、4角で外から来たソールオリエンス(3着)に蓋をされる感じで少し後手を踏む。しかし直線入口で中目から仕掛けて直線へ向くと直線序盤から半ばで鋭い加速を見せて一気に伸びを見せる。あっという間に2.3番手まで浮上すると、最後1Fで先に抜け出した勝ち馬(ドゥレッツァ)を目指して追撃態勢に入る。しかし最後1F区間では伸びきれずという感じで、最終的に勝ち馬との差は広がったまま。ゴール前は3着以下の馬に少し詰め寄られた感はあったが、それでも1馬身以上の差をつけて2着を確保。

ちょっと序盤で掛かり気味という感じはあったが、終始中団で構えて後半要素を引き出せていると思う。ただ勝ち馬ほどの加速と持続力を伴う事は出来なかった感じで、3000mという距離が原因だとは思うがそれでも勝ち馬に対しては完敗と言わざるを得ない内容。ただ4角で1人気ソールオリエンスに外から蓋をされて動ききれなかったのは致命的に見えたが、それでも直線は半ばにかけてかなり鋭く加速を引き出していて、この加速で他馬との差を作れたのが2着確保の大きな要因だろう。まぁ自身の持ち味はしっかりと出し切れたと思うし、普通なら勝ってもおかしくないレース運びだった。ただ単純に勝ち馬がかなり強かったという見立てで良いと思う。

【レース関係者コメント】
(J.モレイラ騎手)

「スタートして、いいリズムでリラックスして走れていました。全体的にもスムーズな競馬ができた。前は1頭だけだったんで、捕まえられると思ったけど、今日は勝った馬が強かった」

ソールオリエンス 3着

【決め手】後方待機策も直線の反応、加速で見劣り・上位馬に完敗、展開?

発馬五分から中団~中団後方の位置取り。道中は中団後方の外で進めてるが、徐々に後方外目まで位置を下げての追走。向こう正面からは終始後方外目で進めて、3角の下りで外目から進出していって、4角で外目から一気に動いて中団外まで押し上げると直線は大外へと持ち出す。直線は少しフラつく感じに見えたし、追い出しの態勢に入ってからの反応と加速で少し見劣る感じ。それでも最後1F区間でようやく伸びを見せ始めると、ゴール前にかけて大外からグイっと伸びを見せたものの、他馬との決定的な違いを作れず。最終的にゴール前で2着馬に少し詰め寄ったものの、それでも勝ち馬には0.6秒差、2着馬にも0.3秒差の3着まで。

後方外目から3~4角で外から動いて行く形。まぁ想定通りの乗り方だったが、4角手前でうまい具合に2人気ドゥレッツァ 2着)を外から蓋をする形になって閉じ込めれたし、タスティエーラよりも先に動いて4角から直線に迎える形を作れたのかなり良かったと思う。懸念されたコーナーリングの悪さも4角から直線入口の進入もかなりスムーズな方で、直線に向くまでの態勢づくりとしては完璧だったが、直線に入ってからモタつく感じになって反応と加速で見劣る感じになったのが致命的。最後は挽回するように伸びを見せてはいるが、皐月賞程の爆発的な伸びは見られなかったし、ゴール前で3着浮上も内目の先行馬が苦しくなったところのバテ差しの感は強い。まぁスローの後半勝負となって適性面での差は出たかもしれないし、単純に3000mの距離で末脚を削がれたとも見受けられなくもない。展開による適性面の差、もしくは距離的要因ははあったにせよ、勝ち馬には0.6秒差、2着馬に0.3秒差という結果はちょっと重く受け取る必要はあるかもしれない。

【レース関係者コメント】
(横山武史騎手)

「やりたい競馬はできました。賢い馬で折り合いもつきましたし、3~4角でタスティエーラを封じ込められました。4角の手応えも良く勝つ勢いでしたが、いつもの爆発力が見られなかったのは距離かなと思います。こなせなくはないですが、ベストはもう少し短い距離ですね。前走と違って、全部の力を発揮できたし、馬はよく頑張ってくれました」

リビアングラス 4着

【決め手】好位追走から3角で先頭に立つも・後半要素見劣りも善戦の部類

まずまずの好発も隣のパクスオトマニカの出足が良くて控える形で好位追走。結局道中は3番手追走で進めるが、向こう正面の3角手前でジワッと押し上げを開始して2番手に浮上すると、3角の進入で内目から先頭に立ってそのまま3~4角を回る形。そして4角から動いて行って先頭で直線に進入。直線序盤で加速を引き出して一瞬は2番手以降を突き放したかに見えたが、半ばで勝ち馬(ドゥレッツァ)交わされて2番手後退。最後1F地点で2着馬(ドゥレッツァ)にも交わされて3番手になるも、その後もバタッと止まらずにしぶとく最後まで伸び続ける。一時は何とか3着に粘り込めるかに見えたが、ゴール前で後ろから来た3着馬(ソールオリエンス)に交わされたが、5着馬(サヴォーナ)の追撃を辛うじて封じ込めて4着を死守。

先行策から3~4角でジリっと動いて行く形で直線でしぶとく粘り込んだ形。4角から直線序盤で一定の加速を引き出していて、この馬としてはある程度最高の形に持ち込んではいるがそれでも上位馬との差は大きく力負けの感は強い。まぁ序盤で主導権を握り切れずに完全な自分の形には持ち込めなかったが大きかった感じで、どうしても明確に後半型の競馬になってしまうと苦しくなるタイプだと思う。でも勝負所からある程度積極的に動いて行けたのは良かったし、ゴール前では3着があるかも?と思わせるだけの内容を示したのは評価できる。

【レース関係者コメント】
(坂井瑠星騎手)

「状態は凄く良かったです。道中もスムーズに折り合ってリズム良く走れていました。一生懸命に走ってくれていますし、まだ緩さが残っている現段階でこれだけ走れていますからね。これからが楽しみな馬です」

サヴォーナ 5着

【決め手】途中で位置を上げる形が効果的も直線伸びきれず・上位馬に完敗

発馬五分で序盤は中団やや後方の中目追走も、徐々に下げて行って後方2.3番手を追走。しかし向こう正面に入ってから外から一気に位置を上げに行って、3角手前では好位の外まで押し上げて3~4角へ。3~4角は外を回す形になるも4角で馬なりの手応えで押し上げて行って直線入口で外目に持ち出す。直線で追い出されてから少しモタつく感じをみせた上に、半ば以降で目立った伸び脚は無くジリジリとした脚色。それでも最後までしぶとく伸び続けたものの、先に抜け出した上位馬には突き放される感じに。ゴール前では4着馬に何とか食い下がったものの最終的には捉えきれずの5着まで。

向こう正面で押し上げていく戦法が良い形で嵌ったようにも見えたが、直線に入ってから伸びで見劣る感じ。まぁ3000mという距離で明確な後半型の競馬になっての力負け…という見立てで良いと思う。4角までの手応えには余裕がある感じに見えたのに、直線に入ってからの伸びが案外だった事からもやはり距離的には微妙に長いという可能性は結構ある。適距離は2400~2500m付近だと思うし、本来もう少し確実に末脚を引き出せるタイプ。条件を替えての巻き返しに期待したいところ。

【レース関係者コメント】
(池添謙一騎手)

「前回も出なかったのですが、1歩目が出なかったですし、菊花賞は多くの馬が位置を取りに来るので、そこで行き脚がつかずに後方からに。向正面に入ってから前の塊が遅く感じたので、無理をせずにポジションを上げていきました。長くいい脚を使ってくれましたし、直線ではオッと思ったくらい。前走がフロックではなかったですし、今日でも皐月賞馬に食らいついていたくらい。大型馬ですが、まだ線の細さがありますし、もともと来年と思っていた馬。センスもいいですし、今後も楽しみです」

ハーツコンチェルト 6着

【決め手】好位外目追走・4角包まれ気味・最後1F伸びきれず
【レース関係者コメント】
(松山弘平騎手)

「スタートが良かったですし、上手にレースをしてくれました。勝負所で後ろの馬に接触するところがあり、バランスを崩してしまいました」

マイネルラウレア 7着

【決め手】出負け、後方待機・3~4角内通す・最後1F伸びきれず

ナイトインロンドン 8着

【決め手】出負け、後方待機・4角置かれ気味・直線しぶとく伸びるも

ファントムシーフ 9着

【決め手】中団外追走、4角で動く・直線伸びきれず・後半要素引出せず
【レース関係者コメント】
(武豊騎手)

「レース自体はいい形で運べました。距離が長かったのかなという感じです」

サトノグランツ 10着

【決め手】後方待機も3~4角置かれる・道中位置取り?動き出しの鈍さが?

発馬五分から序盤は中団中目を追走。しかし道中は中団後方から後方中目まで下げる形で進め、向こう正面中ほどで外を通って押し上げようとするも、前が壁になって思うように位置を上げられないまま3~4角へ。3角では置かれ気味になって慌てて仕掛けに入るも、大して位置取りを上げられず後方外目のまま4角から直線へ。直線は大外に持ち出して追われるも目立った伸び脚は見られず。最後1Fでは他馬と脚色が同じになって10着まで。

3~4角で置かれ気味になっていてコーナーの加速区間で大きな差が出た印象だが、そもそも位置取りが後ろ過ぎの感あり。まぁ向こう正面で外から押し上げの構えを見せたものの、後方馬群で包まれた事と馬の方が反応しきれなかったという面はある。まぁ噛み合わなかったのひと言で片づけてもいいのだが、勝負所での反応が悪過ぎたのはちょっと気になる要素。この感じだとコーナーでは動かさずに直線勝負に徹した方が持ち味を生かし切れるのかもしれない。

【レース関係者コメント】
(川田将雅騎手)

「動かし続けてこのポジションで、その位置からついていけないくらいでした。最後まで一生懸命走ってくれていますが、もうちょっと時間をかければ、さらにいい馬になると思います」

ショウナンバシット 11着

【決め手】出負け、中団外目追走・4角~直線序盤包まれる・直線伸びきれず

シーズンリッチ 12着

【決め手】中団待機・3~4角で置かれ気味?・直線半ばで脚止まる

ウインオーディン 13着

【決め手】後方待機・4角~直線入口で大外・最後1F脚止まる

トップナイフ 14着

【決め手】出負け、後方待機→中団外・直線半ば脚止まる・距離、高速馬場

ノッキングポイント 15着

【決め手】中団内目追走、道中掛かり気味・4角で不利?・直線脚止まる

ダノントルネード 16着

【決め手】好発、好位追走・3~4角内通す・直線半ばで失速

パクスオトマニカ 17着

【決め手】好位追走→ハナ・4角で一杯・直線余力ナシ、ヤメ

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