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◆言葉の威力と限界を突き抜けて現実の深奥にじかに触れようとするとき、音楽が希求される。ベートーヴェン ピアノソナタ第32番 第2楽章が、私にとっては唯一無二の音楽。音楽に乗って非日常に行き、また日常に戻って来る、ところがもはや以前のそれとは違っている。心が何かに触れたからだ。

◆一枚一枚に固定化された絵を多数重ねて順次に速く動かすパラパラ漫画は、静的のはずが動的に見える技術の一つ。比喩的には、多元・多層の言葉の分節層をある速度で動かすことで、今まで見えていなかった現実(ないし世界)が見え出してくると言える。それを明晰に捉えて新しい分節を与えることが鍵。

◆現実とは厳然たるもの。気持ちの持ちようでどうにでもなるというものではない。他方で、言葉原理のコアをつかみ無限の分節層を自在にできれば、現実は新しい相貌をみせる。そこをつかむ。ないと思っていた次の足を踏み込む場が認識できれば、新しい一歩を踏み出せる。言葉の探究は実践論である。