連休に娘手料理置いていった たったそれだけ何故にキュンキュン
肘を突き携帯寝かせ話しけり 受話器持つ手は痺れを知らず
言霊を呼び起こしたか都知事選 二番じゃダメなんですかとぞ問う
藺牟田池の畔に住む人ありき 覗きたし否見ぬが花
天麩羅はおくらアスパラ茄子茗荷 この歳なれば野菜ぞ美し
歌詞が出るアンドロイドのスマホにも 今更驚くIT社会
火山灰夜は見えねどパラパラと フロントガラスに音立てて降る
父の日に娘に呼ばれ水羊羹 都の菓子は雅なりけり
膨らんだコタツ布団をそっと蹴る そこにお前はいないけれども
転院する卒寿の父の手続きに 線状降水帯の中へ行く
コロナ明け再開嬉し地元の湯 恋する二人空気を汚す
「告発」とドラマの如き警視正 勾留理由開示請求
罪人の首を晒せと蔵漁る 群れて競うはメディアの性ぞ
梅雨時は生命の季節伝えども 生成AI拒み描かず
玄関の鏡に映る乖離性 お前は誰だ問うも虚しき
駅が消え面影薄き通学路 傘の内なる君を思えど
一番心配な次女東京へ 送迎デッキ雨の空港
午前五時採血のひと声優し 目元涼しげ二の腕逞し
停電の離島の夜に煌々と 灯台のみぞ世界を照らす
午前二時カーテン越しにテレビ点き 息を潜めて様子うかがう