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1970年代のDAO

投資銀行のゴールドマン・サックスは、14年3月の報告書で、「ビットコインは通貨ではない。その信奉者は頭を冷やして出直すべきだ」とした。 ところが、この2年の間に、世界は大きく変わってしまったのだ。

ブロックチェーン革命[新版] 分散自律型社会の出現 (日経ビジネス人文庫) (野口悠紀雄) の、紀伊國屋電子書籍版が予約開始されました。8/5(水)配信。 https://www.antun.net/5leaf/kinokuniya/dsg-08-EK-0884741/#kinokuniyanew

このことがあったので、利害関係者との疑いを持たれないよう、私は未だにビットコインを保有していない。その週刊誌の目次タイトルは、私が「(ビットコイン破綻について)言い訳をしている」というものであった。

実際、私は胡散臭い目で見られていたようだ。その証拠に、ある週刊誌の記者から、「破綻したビットコインを、破綻していないとあなたが言うのは、関連事業に投資をしているからだろう」と探られた。

社会全体の認識はまだ低い。当然のことだが、あまりにブロックチェーンが革新的なので、理解されていない。つまり、まだ第3段階には至っていない。 また、第2段階に特有の現象として、混同がある。

フランス革命がそうであったように革命が始まった段階ではそれが社会を良い方向に持っていくのか悪い方向に持っていくのかは分からない。飛行機は地球上のどこにでも短時間で到達できることを可能にした半面で初飛行から10年少々しかたたぬ第一次世界大戦において強力な兵器として利用されていた。

最も分かりやすいのは、「中央銀行のような管理主体がなければ、通貨は機能し得ない」というものだ。「ところで、ビットコインには管理主体がない。したがって、それは機能し得ない」という論理である。

否定的な評価は、外国でも同じだった。JPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモンは、ビットコインは、17世紀のオランダで起こったチューリップ球根バブルのようなものだと嘲笑した。

この数日後、ある人は、ニヤニヤしながら現れ、「やっぱりビットコインは偽物でしたね」と得意顔で言った。私はビットコインは死んでいないと説明したのだが、納得してくれなかった。

ブロックチェーンやビットコインについて言うと、ついこの間まで第1段階だった。 この段階において、ビットコインがなぜまやかしかについて、飛行機がなぜ飛べないかという論証と同様に、さまざまな科学的解説がなされた。

ブロックチェーンが第1段階にあった2014年の2月20日、私は、「ビットコインは社会革命である。どう評価するにせよ、まず正確に理解しよう」という連載を『ダイヤモンドオンライン』で開始した。

その直後の2月23日、ビットコインの取引所であるマウントゴックスが破綻した。多くの大新聞が1面トップで、「ビットコインは破綻した」と報道した。