人気の記事一覧

◆最高の難事は心の自由であり、この自由を生きる一瞬間のみ、世界に直に触れるという歓喜を生じる。他者が作った諸項の接続秩序(典型はラング)が内部化し無意識自動化した通常的な生を乗り越え、新しい眼を持ち新しい場に立って世界に直面する、これを可能とする諸方策を探究し練磨していくこと。

◆発見的認識の造形という佐藤信夫レトリック論の視圏は、対象を捉える新しい眼を示唆する。贅沢品たる修飾のための修辞概念を優に超え出て、現実という無限の内包の豊饒性に対応するように、無数のロジック展開(これは諸項の接続秩序の様相の一部)の在り方の一部、特に新生的局面に位置付けられる。

◆世の中不思議なことばかりであるが、佐藤信夫(言語哲学・レトリック論)のいくつかの著作が絶版であることもその一つ。明晰かつ自在な思考で貴重な学理をつかみ出し、文体における精妙洒脱さは比類がない。私の憧れである。美しい装幀の全集ないし著作集が編まれて、いま以上に広く普及してほしい。

◆遠位項を包括理解しようとするとき近位項は意識下にある。そこで近位項をあえて意識して遠位項化して捉えれば、異なったものが近位項となっていることになる。こうして近位項体系を整備・更新していくことができる。例:無意識的な言葉による対象の認識方法・記述方法への自覚としてのレトリック論。

◆理論と実践(2)なぜレトリック論(言語哲学ー言語技術)と決疑論(事例比較、類似からの議論)が有力か。焦点は「どうやって新しく現実をみつめ直すか(現実認識の裁ち直し)」であるところ、両論の「技術」が、既存の分節層を揺れ動かす力、新しい分節層を与える力を持っているからだと思われる。

◆理論と実践(1)「理論だけ」「実践だけ」とどちらかに振り切ってしまうのではなく、理論・実践の深みを見据えつつ、その「あいだ」「あわい」「接触面」を探究する。理論と実践を繋ぐものとして今のところ、レトリック論(言語哲学ー言語技術)と決疑論(事例比較、類似からの議論)が最有力候補。

◆諸方策とレトリック的認識との関係(仮) 分節―ためらい(アポリア)、提喩、対義結合 細部―提喩 範型―対比、諷喩、暗示引用 徴候―換喩、転喩 異化―直喩、誇張法、対義結合・逆説、反語 類推―直喩、隠喩、諷諭 *範列・統辞は別枠か。