ケンカ未満

雪見だいふくで許して

雪見だいふくで許して

(10366字) 1/9   「今朝、雪が降ったね」と、トーストの乗った皿を食卓に並べながら、妻は言った。 初雪がアスファルトに落ちてはジワリと解けて、黒い水たまりになる映像が頭に浮かぶ。 熱いトーストの上でどんどん溶けるバターが黄色く光る脂の層を作ったとき、僕の頭の中の水たまりも凍って光り、まだ車のタイヤを履き替えていないことを思い出した。 「駅行くならクリーニングに出したシャツ、自分で取ってきてね」 妻の声は冷たかった。 妻は僕が車のタイヤを替えていないこと

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