ウワッヒグマが死んだ

大江手峠

大江手峠

俺はちっぽけな山小屋の中でガタガタと震えていた。 真夜中で外は大雨、寒さが肌を刺す。 だが問題はそんなことじゃあない。 「GRUU! GRUU!」 初冬の大江手峠。 取材でやってきた俺を待っていたのはお目当ての被写体ではなく 冬眠し損ねの所謂「穴持たず」のヒグマだったのだ。 奴に執拗に追われ、気がついたらここに逃げ込んでいた。 「GRUUU!」 唸り声が聞こえるたびに柱が軋み梁が揺れる。 「FUSHUUU!」 鼻息が絶望と恐怖を煽りたてる。 ふと外が静かになった。

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