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大晦日の過ごし方

子どもの頃の大晦日の過ごし方。裏庭での蕎麦作り。いっきゃくの上に大きなまな板が置かれ、祖母がそば粉とたっぷりの山芋を入れた蕎麦生地を長い麺棒で薄くなるまで伸ばす。薄く広がった蕎麦の生地を折りたたみ大きな包丁で細く切る。このように出来上がった蕎麦は夜の年越し蕎麦になったり、お正月の挨拶に来てくれる大勢の親戚のみんなに振る舞われた。母がたくさんの煮しめを作り、夕飯は蕎麦と煮しめを食べる。蕎麦アレルギーの兄と山芋アレルギーの私は年越しうどんを食べる。

食べ終わると子ども達は我が家の店で売っていたお菓子をそれぞれに選び、祖父祖母が住む西と呼ばれる部屋へ移動する。夜9時から始まる紅白歌合戦に備えて選んだお菓子、ジュース、みかんを机に並べる。9時が近づいても夕飯の片付けでなかなか西に来ない母を呼びに行く。やっとテレビの前に7人揃って紅白歌合戦を観る。耳の遠い祖母は一番前に座っている。祖父は前の方で座りテレビを観ずにテレビを観ている孫達を眺めている。紅白歌合戦の前半若手歌手が出ている時は祖母は退屈し、我々孫達は大興奮している。後半演歌歌手が出てきたら俄然祖母が生き生きし始め、我々は退屈しお菓子やみかんを食べ始める。

紅白歌合戦が終わったら、家族全員で家の隣にある鬼籠野(オロノ)神社へ参拝に行く。

それが私の子どもの頃の大晦日の過ごし方だった。平凡だが幸せな暖かい子ども時代だった。

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