見出し画像

ここが知りたい!よくある「定額減税のQ&A」

シリーズ「犬も歩けば税に当たるー経営者なら一度は悩むことー」では、日常で疑問に感じつつスルーしがちな税のアレコレを解説しています。今回のテーマは「定額減税」第二弾です。

定額減税は今月から始まったホットなテーマ。第一弾として、制度概要とやるべきTODOを解説したところ大きな反響をいただきました。
簡単に見えて、実務に落とし込んでみると迷うことも多いです。クライアント様からよくご質問をいただく内容を、Q&A形式にまとめました。


その1 定額減税の適用可否って選べるの?

Q:定額減税額を決めるため、従業員に扶養家族情報等の提出を求めました。しかし「書類集めが面倒だし、減税額はそれほど大きくないので、適用しなくてよい」と言われました。減税を適用しない選択をすることは可能ですか?

A:国税庁は「一律に主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受ける」と定めており、減税の適用を受けるか受けないかを選択することはできません。

(参考)国税庁 令和6年分所得税の定額減税Q&A
2-4 給与所得者における定額減税の適用選択権の有無

その2 定額減税を怠ったら罰則はあるの?

Q:事務手続きの体制整備が間に合わず、定額減税を実施できそうにありません。罰則はあるのでしょうか?

A:税法上の罰則はありませんが、労働基準法上の罰則を受ける可能性はあります。労働基準法第24条1項違反となり、同法第120条に基づき30万円以下の罰則が科される可能性があります。
労働基準法第24条とは、従業員への賃金支払いについて定める条項です。所得税の源泉徴収など一部を支払者側が控除することを認めていますが、定額減税はそれと同じ扱いになるようです(4月26日 衆議院財務金融委員会 増田嗣郎審議官答弁より)。

(参考)厚生労働省 労働基準法第24条(賃金の支払)について
(参考)e-GOV 法令検索 労働基準法 第百二十条

その3 高所得者はどう対応するの?

Q:定額減税では「令和6年分の所得税 に係る合計所得金額が 1,805万円以下である人が対象」とあります。しかし、現時点では令和6年度分の合計所得金額が1,805万円を超えるか分からないはずです。どうすればよいのでしょうか?

A:まずは高所得者も低所得者も、一律に6月給与分から定額減税を適用します。そして年末で合計所得が1,805万円を超えた従業員は、年末調整の際にそれまで控除した額の精算を行うことで対応します。具体的には、年調減税の適用をしない対応になります。

(参考)東京国税局 定額減税説明会のよくある質問
控除対象者②(所得制限を超える人に対する定額減税)

その4 事業所得者はどうすればいいの?

Q:個人事業主などの事業所得者は、給与の支払者のように定額減税の手続きをしてくれる人がいないはずです。どう対応すればよいのでしょうか?

A:自ら定額減税の手続きをします。具体的には確定申告の時に、自らの所得税額から減税されます。
ただし注意が必要で、減税されるのは本人分のみ。扶養家族がいる場合は、追加的に減税申告を行う必要があります。
確定申告時は自動的に減税されるとされていますが、念のため申告時はちゃんと定額減税分が反映されているかチェックしましょう。

(参考)国税庁 定額減税について
3 事業所得者等に係る特別控除

その5 給与所得と事業所得の両方ある人は、どうすればいいの?

Q:副業などをやっていて給与所得と事業所得が両方ある場合、どうすればいいのでしょうか?

A:給与所得者は一律に定額減税が行われます。また事業所得者も確定申告時に定額減税が適用されます。そうなるとダブルカウントになってしまいます。そこで、確定申告時に余分に減税された分を精算する手続きが行われます。
ちなみに、この精算は給与所得と事業所得のケースに限らず、複数の会社から給与所得を受け取っていたり、公的年金とその他の所得を受け取っていたりする場合など、複数の所得がある場合も同様です。

(参考)国税庁 令和6年分所得税の定額減税Q&A
2-3 公的年金等の支払を受ける給与所得者に対する定額減税

いかがでしたでしょうか。
前回ご紹介した概論に比べて、すこしでも具体的にイメージできるようになったら嬉しいです。
簡単に見えて定額減税は複雑なので、面倒だったり対応に不安がある方は、税理士に相談してみてください。。

橋本美菜税理士事務所は、
「社長の時間を生み出す財務パートナーに。」
「社長の成長を後押しする伴走者として。」
をミッションに掲げて、挑戦する方々をお手伝いします。
お気軽にお問い合わせください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?