【 販売の極意 】 ~心理カウンセリング技法を大衆のために~ [下巻]<part3/3>

ずいぶん昔に書いて電子書籍として販売していた内容をnoteにもアップしてみました。まだ「メンタルボディケア Hashimoto.biz」と名乗る前ですね♪

文章は若いなりなので、お手柔らかにお願いします(笑)




Ⅵ 新人の育て方


○ 何を与えるとうまくいくでしょうか?

⇒はじめは厳しい方がいい?

「最近の子は厳しくするとすぐ辞めてしまう」
こんな悩みを目にすることがあります。
こんなことがあるためになかなか新人にうまく物事を
伝えられなかったりしている方が多いようです。
なぜでしょうね?

私の新人教育は、明らかに厳しいものでした。
しかし、新人の成長は早く、かつ、環境にもすぐ打ち解け、
仕事を楽しくできていたように思います。

私の新人教育を見ていくことで何かのヒントになるかもしれません。
早速、見ていきましょう。

いわゆる一般的な新人教育と、私の新人教育は
いささか違っているようです。

「ゆとり教育」が始まり、すでに「アンチゆとり教育」までささやかれています。
「自由」を重んじてみたり、拘束を緩和してみたりと、教育は様々ですね。

そんな中、私の新人教育は最初におもいきり型にはめるものです。
といっても完全に拘束するのではなく、
「こういうときは、“初めは”こうしていなさい」
という、いわばルールにがっちりはめるものです。
また、個性も“初めだけ”完全に表現させません。

この“初めだけ”というのがポイントになっています。
また、“私が見ているときは”という限定も付けます。


どういう印象を感じますか?
「厳しそう」「窮屈そう」
こんなことを感じるかもしれませんよね。
誰でも「個性」を表現できないというのには違和感があることだと思います。

しかし、どうやらこの育て方には一理あるようです。
私の部下という存在は、土日だけの言わば「バイト」の学生さんでした。
最初の土日は、事前から「上司は厳しいよ」と言われているようで、
ガチガチなのですが、2週目、3週目と追っていくごとに
すぐに緊張は解かれていきますし、仕事が楽しくなっているのが
目に見えてわかりました。

では、私の新人教育で最初にやることを見ていきましょう。


初対面でよくあるのは、笑顔で迎えてあげることですよね。
「よろしく」などと言いながら、握手なんかをする光景が浮かびますね。
しかし、私はその両方ともしませんでした。
まさに鬼教官のようです。

「こんにちは、はじめまして」と言うにしろ、
笑顔は出しませんでした。

そして、特になんの情報交換もなされないまま、早速、研修を始めます。
バイトの学生さんは、事前に研修を受けているにしろ、
現場とは大きくかけはなれていますし、
事前の研修というのは、実はあまり役に立たないことが多いです。

強いて言うならば、「心の準備」程度のことなのでしょう。
現場に出る前の不安を少しでも解消するための手段だと、私は考えていました。

ですから、その研修だけで「はい、どうぞ」と売り場に出すのは
大きな失敗をすることに対して「はい、どうぞ」と言っているのと同じことなんですね。


私が“初めだけ”極端に厳しいのにはいくつかの理由があります。
そのひとつは「緊張感を高める」ことです。
初めて現場に来たバイトの学生さんはもちろん緊張していることが多いです。
その緊張を更に高めます。

「え?逆にガチガチになってしまうんじゃないの!?」
そう思われる方が多いでしょう。
しかし、ここにはとても大事なポイントがあるんです。

「緊張感が高いときほど吸収がいい」ということです。
「大丈夫だよ」「安心して」「リラックスして」というときに
教えてもらったことよりも、
「ここ大事だからね!」「ボーっとしてたらいかんぞ!」と
言われているときに教えてもらったことでは、
記憶に強烈なインパクトを与える上で大きな差がありますね。

だから、緊張感が高いうちに、更に緊張感を高め、
そこでその後に響いていく、最も大事なことを教えてしまうわけです。

「大事なこと」というのは仕事の環境によって変わりますね。
それは「空気を読む」という類のものであり、
環境を体感しながらつかみとっていくことが多いです。
しかし、それを踏み外したとき、うまい関係が築けずくじけるものですね。

ですから、最初にその環境にある「暗黙のルール」のようなものを
型として教え込んでしまうわけです。


私が具体的にやったことに移りましょう。

私が新人教育で一番大事にしたことは「あいさつ」でした。
「売り場に出勤したら、まず、売り場にいる全員にあいさつしなさい」でした。
これは上司である私がいなくともやるよう約束させます。

そのために必要なのが、顔と名前を知っておくことです。
ですから、新人が来た初日に大きく時間を割いて行うのが、
「あいさつ回り」でした。

売場のバックヤードでは、主にそれまで研修で覚えてきた商品知識のチェックや、
実際にご案内する際に必要な知識などを教えていくのですが、
横を通る人がいればすぐに「今、少しだけいいかな?」と声をかけ、
新人に自己紹介させます。
そして、新人には自己紹介した相手の名前を記録させます。

バックヤードでの話が済んだら、自己紹介をできていないスタッフの元へ行き、
一人残らず自己紹介をさせます。


これが最も大切なことでした。
なぜだと思いますか?

簡単に「あいさつは大事」と言いますが、
その意味まではなかなか教えてもらえませんね。
私が新人にあいさつを徹底させたのには、
その後に続く大切な関係性があったからでした。

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