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塗装ワークショップが教えてくれたコモンズのあり方

先日、暮らりで壁や柱を塗るワークショップを行った。
大工さんに指導をしてもらいながら、暮らりでともに働くスタッフや地域の方をお呼びして一緒に楽しみながら進めていった。

2/5,6の2日間で入れ替わり立ち替わりで、合計30名以上の方々が関わってくれた。暮らりが完成する前からたくさんの方々に関わってもらい、暮らり(建物)も本当に幸せだと思う。

暮らりのテーマに「街に拓く」がある。
地域の日常に溶け込み、「あってよかった」と必要とされるかという拠点となれるかを意識している。

今回も、自分たちだけで行うのではなく、さまざまな人に関わってもらえると嬉しいなという思いで建築士さんや大工さんと塗装ワークショップを企画した。

この記事で、ワークショップを通じて感じたことを忘れないうちにまとめておこうと思う。

ワークショップの様子

まずは埃をとるところから
子ども達も真剣
完成に近づく

人と人ではなく、作業を中心としたコミュニケーション

ワークショップを通じて感じたのは、コミュニケーションの形である。
人は話をすることを目的にして、会話はなかなか難しい。
少なくとも私は、何かしらの目的がある中での集まりでないと話が弾まない(友達は別です)。

じゃあ、何を目的にしたら良いかというと、「作業」である。

共通の作業を通すと、なぜか人はコミュニケーションが弾む。
それは視点の違いがあると思っている。

話すことが目的の時は、人と人が対面の関係性である。
つまり、その状況から逃げることができない。

一方、作業を目的にすると、人と人は横並びの関係性になる。
横並びになるということは、相手を直視しなくても良くなり、精神的な安定性に寄与するだろう。

会話に困れば、作業の話題を広げることできるし、辛くなれば作業に逃げて会話をしなくても良い。

話す以外の行為を用意し余白を作るということが、良い関係性を作り出すのではなかろうか。

今回のワークショップでいえば、作業は塗装である。
会話をしなくても「塗装をする」という役割があるからこそ、そこに居続けることができるのだ。

この知見はきっと、デイサービスを運営する時にも役に立つだろうと思う。

コモンズが大切な理由

市場として価値がなくお金で交換されないものはどんどん衰退していく。
例えば、空き家、農村、教育、福祉、地域コミュニティ…

人間が生きていくうえで、とても大切な要素なようにも感じる。
上手く言葉で説明をすることができないが、暮らしに粘り強さを出してくれるものではないだろうか。

こういったお金で価値を表現できず、市場にのらないけど大切なものをどのようにして維持・発展させていくかを考えていきたい。
その一つのアイデアが「コモンズの形成」だろうと考えている。

平たい言葉でいうと、後世に残したい大切なものをみんなで協力し合い、残していこうというものである。

この考え方に近いのは、町内会活動であったり、共同組合のようなものではないかと思う。

では、どうしたら一緒に協力したいと思えるのだろうか。

コモンズを形成するために必要な感覚

本来は自分のモノではないにも関わらず、自分のモノとして感じる、ドラえもんのジャイアン的感覚が大切だと思う。
ジャイアン的な感覚になってもらえるように場の所有者としてできることはなんなのだろうか。

きっと、参加ではなく、参画できているか否かではないかと思う。
先日の塗装ワークショップでは、実際に場を作る側として近所の子どもも参画してくれた。

そうすると、子ども達は、お母さんとお父さんに「ここは〇〇ができるんだよ〜」って伝え手に変身していたのだ。少しは暮らりを自分のものとして感じてくれたのではないだろうか。

そして、ワークショップの次の日にまた会うと、僕とその子どもはいい距離感で手を振れたような気がした。この場(暮らり)を支えてくれる担い手になってくれたんだなって感じた瞬間でもあった。

きっと、自分がその場の計画や運営に主体者として、参画することで自分なりのストーリーを語れるようになることが、自分の所有感として取り込まれるためには必要なのだろう。


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