#83 かわいた風をからませ あなたを連れてくのさ
インディーズシーンで暗躍するサポート専門のコーラスグループ『浮輪鈴女(うきわすずめ)』のメンバーと楽しくZOOM飲み会していたハシビロコウバンドの面々。
宴もたけなわ、続々とミーティングから退出するメンバーに出遅れたハニワを、同じく退出し遅れたかに見えた浮輪鈴女が呼び止めた。
がしかし、画面に現れたその鈴女(すずめ)は、さきほどまでzoom飲み会に参加していたおなじみのレッドとオレンジではなく、見慣れないピンクの浮輪をまとった、尾羽の切れ上がった小粋な鈴女だった。
「バンドの人?」
「あ、そうです。ハシビロコウバンド。」
「そうなんだー。レッドとオレンジから聞いてまーす。私もコーラスやってるの。」
「そうですか。いつもお世話になっております。」
堅い。硬い。固い。俺の身体そのもの。
「ちょっと湯浴みしててー。私だけ仲間ハズレされちゃったー。」
数秒の沈黙、スズメ女子の湯浴みをイマジンするハニワ。
夢かも、しれなーぁぁい。
「あれ?聞こえるー?」
「あ、はい。聞こえます。なんかみんな、居なくなっちゃって…」
「そーだねー。ハニワって1人???」
「え?あ、はい…。彼女居ない歴8年2ヶ月と0日です。」
「ハニワだけに??8,2,0?」
「あ、まあその…。そうです。つまんないですねオレ…。」
「チュンなことないよー。1人暮らし?って意味で聞いただけだけど。」
「……………(恥)」
「『ハニワ』って本名でチュンか?」
「え?う、うんそうだけど。。」
「そりゃそうだよね!その見た目で『エビス』って名乗られたら困りまチュン♪」
「あぁー。。ははは(笑)」
「あ、ゴメン怒っちゃった?ごめんねハニー♪ハニワだからハニー。ハニーって呼ぶね!」
「ハニー?ハニワだからハニー???」
「イヤでチュンか?」
「イヤ、その、、いいとも。。」
「8年と2ヶ月と0日」というとっておきのリリック、今日限り封印しようと思ったハニワ、あらためハニーであった。
…to be continued.
ハシビロコウバンド物語
「第83話 かわいた風をからませ あなたを連れてくのさ」
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