#77　町内会はダンステリア

地域の民生委員を長年引き受けているママビロコウにとって、町内会の催しは絶好のダンステリア。
ウエストサイドストーリーよろしく、ステップ軽やか挨拶回り。

地方局の女子アナを気取るママビロコウ

パパビロコウは記録係として毎度こういった機会に駆り出されるものの、自慢のアナログアンティークギア達を見せびらかすまたとない機会とあってこれはこれでまんざらでもない。

「VHS！まだ使えるんですか わー懐かしいなあー」

なんて、、近所の手持ち無沙汰な中年男性達に瞬く間に囲まれる。

ややホコリを被っているのもご愛敬

「あぁ、まあ、、、今はみんなデジタルだけど、私はどうも磁気テープの方が好きでねぇ。風合いがあるっていうか、フィルターがかったような？写真でも映像でもそうだけど、記録って、過ぎ去った時間の亡き骸を棺桶に詰めてそれを後から好奇の眼差しに晒す事じゃないですかぁー。だから少し画質が粗いくらいが本質的な美しさに繋がるんじゃないかなぁーって」

と、得意げに語って見せるも、本当はいまだにママビロコウに新しいのを買いたいという相談を切り出せないでいるだけの臆病なパパビロコウ。

物珍しさに食い付いてくれる中年男性達がいなければ行き帰りの持ち運びだけで挫けてしまいそう。。。

こだわってるんすねえ〜！って言われると来年もまた、無理しちゃうかな？と、思いつつ腰痛予防コルセットのベルトを締め直す。

「あらー！？お久しブリトニースピアーズ！お元気でしたかあー？」

ママビロコウお得意の挨拶ギャグがカラ回る、今日も町内会はワタシのモノとばかりに。。。

…to be continued.

ハシビロコウバンド物語
「第七十七話　町内会はダンステリア」
初出　2022.11.4