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『ダンキラ!!!』蛇ノ目シキの本質とは?北欧神話とブロッコリーから考察

4月12日は少年ダンサー育成ゲーム『ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -』に登場するダンサー・蛇ノ目シキの誕生日。

ダンキラチームTOXICのリーダー、ファッションブランド“ヨルムンガンド”のデザイナー、そしてモデルなど、多彩な活躍を見せている。

そんなシキがデザインする服はどれも奇抜ながら、唯一無二の魅力にあふれている。
言動にも謎が多く、その様子はトリックスターがごとく
ダンサー・朝日ソラにかなりの執着を見せるなど、思いがけない方向から周囲を驚かせている。

なかなか本音をのぞかせないシキだが、彼の根幹には何が秘められているのだろうか。
シキを象徴するモチーフであるや、プロフィールをヒントに考えてみたい。

※このnoteは個人が趣味で書いたものであり、公式等とは一切関係ない。

北欧神話における蛇

シキが立ち上げたブランドの名前にもなっているヨルムンガンドは、北欧神話に登場する蛇だ。文献によっては「ミズガルズ蛇」と呼ばれることもある。
そんなヨルムンガンドは北欧神話で有名なトリックスター、ロキの息子だ。兄弟には狼のフェンリルもいる。

普段は海に潜み世界に絡みついているヨルムンガンドだが、神々と巨人族による最終戦争“ラグナロク”では陸に上がる。
このとき海は荒れ、ヨルムンガンドが噴き出す毒が世界を覆う。まるで自分が存在できる世界を地上に作ろうとしているようにも見える。
また、グレイプニルという鎖で縛られていたフェンリルも解き放たれ、ヨルムンガンドとともに神々に立ち向かった。

激戦の末、ヨルムンガンドは戦神トールと相打ちになる。
ラグナロクで一度滅びた世界はやがて再生し、新たな時代が訪れた。

このように北欧神話における蛇は、災厄をもたらす存在として描かれている。
ヨルムンガンド以外にも多数の蛇が登場し、世界樹・ユグドラシルの根の下に住むニーズホッグ蛇は常に根をかじり、世界の基盤を揺るがしている

なぜシキは、どちらかといえばマイナスイメージでとらえられることの多い毒蛇の名を好んだのだろうか。

破壊だけではない蛇

そもそも蛇は世界各国の神話や伝説に登場しており、長年人間たちに特別な存在として認識されてきた。
聖書でイヴをそそのかし、禁断の果実を食べさせたのも蛇。日本ではヤマタノオロチなどが有名だろう。

また、蛇は脱皮をくり返して成長することから、死と再生の象徴としておそれ敬われた。
こうした意味合いは、世界の終わりと再生を描いている北欧神話や、インド神話とも共通している。

蛇は破壊だけをもたらすわけではない。
シキも部屋を散らかしたり状況をかき回したりすることはあれど、その分芸術を生み出し、新境地を見せようとしている。
ヨルムンガンドの名を選んだのも、古い世界を終わらせ、自分の居場所となる新たな世界を作ろうとする決意の表れだったのかもしれない。

シキと晶の共通点

ここで設定資料集に掲載されたシキのプロフィールにも目を向けてみよう。
伏せられた部分も多い内容だが、苦手な食べ物はブロッコリーだと書かれている。

内臓系など世間では敬遠されがちな食べ物でも好んで口にするシキだが、ブロッコリーは苦手。
なかなか人間味があるじゃないかと最初は感動したものだが、なぜわざわざブロッコリーが苦手だと公言しているのだろうか。

ブロッコリーといえばアブラナ科の植物。濃い緑色が特徴的で、主に花の部分を食べる。
日本で広まったのは1960年代後半以降と比較的最近のことだが、ヨーロッパではローマ帝国の時代から親しまれてきた。

ブロッコリーの起源はケールだといわれている。
ケールといえば、ダンサー・紫藤晶が苦手とする食べ物だ。

以前考察したように、ケールにはふたつの意味がある。
ひとつは植物名のケール。そしてもうひとつはギリシア神話に登場する悪霊の名だ。

嫉妬や負の感情の比喩であるケールを晶は苦手としており、シキもまた、ケールから生まれたブロッコリーを忌避している。
つまり晶とシキの本質には共通点があるのではないだろうか

美食家として知られる2人は、どんなものでも食べてみる探求心や度量を持っている。
どちらも見た目や原料だけでは決めつけず、自分の目で確かめ、舌で味わうまでは判断を下さない。
食に対する真摯な姿勢が、2人を美食家たらしめているのだろう。

突飛に見えるシキの行動原理も、よくよく思い返せば一貫性があった。
自分の経験から道を決め、そして望みを叶えるためにひた走る。
ときに混沌をもたらすことはあれど、そのあとには新世界が生まれるのだと、シキは知っているのだ。

おまけ:「蛇ノ目」が表す意味

災厄をもたらすこともある蛇だが、シキの苗字である「蛇ノ目」には正反対の意味が込められている。

日本において蛇は、神の使いとしても活躍した。
そのため蛇の目をかたどった模様には魔除けの力が宿っていると信じられている。

さらに傘と組み合わせた「蛇の目傘」は嫁入り道具や贈り物として人気がある縁起物。降り注ぐ困難から持ち主たちを守るといわれている。

幸福をもたらす名を持つシキが、むやみに混沌を招くとは思えない。
彼のこれからが明かされる日が来ることを、切に願っている。

参考
沖田瑞穂『世界の神話』岩波ジュニア新書(2019)
https://www.kokugakuin.ac.jp/article/92650
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/33769/20141016194912731713/HABITUS_16_1_kondo.pdf
https://www.sakata100th.jp/episode/05/
https://www.agri-anan.jp/farm/broccoli
http://www23.big.or.jp/~marumi/jyouhou/yasai/burokkori/index.html
https://www.kyoto-tsujikura.com/tigai/
https://fujimaki-select.com/item/039_0003.html

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