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『ダンキラ!!!』夜野零士と眼鏡の関係性。メリーパニックとヒップホップをつなぐ存在

11月24日は夜野零士の誕生日。少年ダンサー育成ゲーム『ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -』に登場するダンサーで、ダンキラチーム・メリーパニックの一員だ。

トレードマークは眼鏡で、学園周辺の眼鏡店などによく足を運んでいるらしい。
ちなみに眼鏡をプレゼントすると、ソウルリンクがぐんぐん上がる。

眼鏡の役割は視力を補助するだけにとどまらない。
歴史に隠された意味合いや、零士が得意とするヒップホップとのつながりを見ていこう。

※このnoteは個人が趣味で書いたものであり、公式等とは一切関係ない。

太陽と眼鏡のつながり

眼鏡に使われているレンズは、紀元前700年ごろから人々の生活に役立てられていた。
アッシリアの都・ニネヴェの遺跡からは水晶から作られたレンズが出土している。
片面を凸状にし、もう片面を平たく削った「平凸レンズ」と呼ばれるもので、太陽光を集めるために使われていたらしい。
理科の実験でも虫眼鏡で太陽光を集めて黒い紙を焦がした経験があるだろう。同じような原理で、昔から火をつけるための道具として利用されていた。

一方で、太陽光から目を守るためにもレンズは役立っていたという。現代のサングラスのような用途だ。
1世紀頃の古代ローマでは、コロッセオで剣闘士たちの戦いを観ることが娯楽のひとつだった。
皇帝ネロもそのひとりで、観戦時にはエメラルドから作られたレンズを使い眩しい光から目を保護していたらしい。

ところで零士と同じメリーパニックには、「朝日ソラ」「日向まひる」といった明るさを感じさせる名前のメンバーが所属している。
ときには太陽の光を集め、ときには真昼の日差しから目を保護したレンズ。
児童養護施設・ひつじ館で生活していたころの零士を思い返すと、レンズの役割はどこか意味深に思えてくる。

視力を助ける眼鏡

13世紀の中頃からは、視力矯正を目的とした眼鏡の研究が活発になる。
アラビアの数学者・物理学者・天文学者であるアルハーゼンは、光学レンズを適度にカットすれば視力を補えるのではないかと提唱した。

光学レンズは、カメラや望遠鏡などにも用いられている光学ガラスを削って作成する。
通常のガラスよりも均質で透明度が高く、光を一定に屈折させたり分散させたりすることが可能だ。
つまり眼鏡は純度の高い素材から作られる。まるで零士の純粋な心を反映しているかのように思えてならない。

しかし現代に比べ、13世紀のガラス製造技術は発展途上。
そのため当初は水晶や石英などを利用して「リーディングストーン」が開発されていた。
これは現代のルーペに相当し、本などの上に置いて文字を拡大させることができた。

本を読むためには、当然文字を覚えなければならない。
そのためリーディングストーンも、さらに発展した眼鏡の原型も、教養のある上流階級や教会の人間が用いるものだった。
さらに加齢とともに衰える視力は神が与えた試練だと思っていた西洋の人々は眼鏡に反発。「悪魔の道具」として毛嫌いしていたらしい。

しかし1448年に活版印刷が発明されると状況は少しずつ変化。
民衆の中にも文字を読める人が増え、眼鏡の需要が高まっていった。

長い時間をかけて人々の生活に浸透してきた眼鏡だが、いつの時代も「見えなかったものが見える」ことへの感動は大きかっただろう。

これまで見えた景色が見えなくなる。たとえ神からの試練だとしても、心を痛めていた人はいたのではないだろうか。
眼鏡をかければ、視界が再びクリアになる。読めなかった文字が読め、輪郭がはっきりと浮かび上がる。
いわば眼鏡は、不可能を可能にしてくれる存在だったのだ。

「見えなくても絶望しなくていい」ともう一度前を向く力を与えてくれる眼鏡は、かつてすべてをあきらめかけた零士の心も支えてきたに違いない。

ヒップホップファッションと眼鏡

視力を補助するための眼鏡は、18世紀末ごろからファッションとしての役割も担いはじめた。
とくに奇抜な服装を好む貴族階級は、眼鏡と衣服の組み合わせで個性を表現していたようだ。

さらに時代は流れ、1980年代にはヒップホップを好む若者たちの目に留まる。

当時人気を博したヒップホップ・グループのRUN-DMCは、眼鏡メーカー「カザール」のサングラスや眼鏡を愛用していた。
レンズは大きめで眉から目をすっぽりと覆うシルエット。フレームはしっかりしており、とにかく存在感がある。
ヒップホップ黎明期であるオールドスクールを象徴するファッションアイテムのひとつとして、「カザール」の眼鏡は今でも人気が高い。

ヒップホップを得意とするメリーパニックと、眼鏡を愛用する零士。
ダンスジャンルの「らしさ」を感じさせる要素としても、眼鏡は機能しているのかもしれない。


参考
https://www.tokyomegane.co.jp/museum/progress/
https://www.meganesuper.co.jp/2014/01/%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%83%8D%EF%BC%88%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%EF%BC%89%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2/
https://www.yonezawa-web.co.jp/history/
https://www.cazal-shop.jp/magazine/blog/hiphopfashion/
https://allabout.co.jp/gm/gc/458010/

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