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「神さま」にとっての「神さま」になれたならば


ここのところ、ハンドメイド作品を販売するアプリでの買い物にはまっている。


ことの発端は、常用薬を管理するためのお薬カレンダーを、そのアプリでカスタムオーダーしたことだった。

薬の飲み忘れが多かったため看護師さんがお薬カレンダーを勧めてくれたのだが、市販のものはいかにも医療用!といった感じで、リビングに掛けておくにはいまいちしっくりこなかった。
そこで、もっとおしゃれなものはないかと検索した際出会ったのがそのハンドメイド作品を販売するアプリであり、そのアプリで手作りのお薬カレンダーを販売している作家さんであった。

そちらの作家さんが作るお薬カレンダーはオーダーメイドであり、生地も形式(曜日表示にするのか、数字だけ表記するのか、ポケットはいくつつけるかなど)も購入者が選ぶことができた。
リビングを共有するルームメイトが生地の柄を選び、形式は使用する自分が選んだ。
作家さんは都度つど丁寧に確認をしてくれ、初めての利用でも安心して購入することができた。

作品の到着を待つときのわくわくと、手元に届いたときの喜びは今でも忘れることはできない。

どきどきしながら梱包を解くと、すぐに壁に飾り、写真を撮って友人らに自慢をした。
今まで面倒で仕方がなかった常用薬の管理が楽しみになり、作品がかけてある壁を見るたびに笑みがこぼれた。


それに味を占めた、というとおかしな表現だが、ハンドメイド作品に魅了され、事あるごとにそのアプリから購入するようになった。

"事"というのは最近いくつかあったイベントのことであり、それらは慶事であった。

「私事ですが…」と断りつつ慶事のイベントに使用することを作家さんに申し上げると、みなさん我が事のように喜びのメッセージをくださり、とても驚いたものだ。
そのメッセージは「そんな喜ばしいイベントに自分の作品を使ってもらえるなんて光栄です」といった具合で、それもお世辞とか、社交辞令といったテンションではないように感じられた。
そしてある方はお祝いとしてオマケをつけてくださり、ある方はイベントに間に合うようにとても急いで制作をしてくださった(これはギリギリになってオーダーした自分が悪いのだが)。

自分にとって使いやすくオーダーメイドで作ってくださる作家さんや、慶事のイベントに合わせて使用させていただきたいと思うような素敵な作品を作っていらっしゃる作家さんは、自分にとって「神さま」のような存在だと思っている。


そんな、ハンドメイド作品の虜になった自分が、先日拝見したのがこちらのnoteだ。

こちらの記事を書かれたのは、革小物を作っていらっしゃる作家さん。
書かれていることを正確に把握できていないかもしれないが、要約すると以下のような内容であると思う。

・自分の作品に対して真摯に取り組み誇りを持っていたが、レザークラフトの経験が浅かったため、初めのうちは他人にその気持ちを開示することが難しかった

・そして、ものづくり作家をしている中「作家に必要なのは自己肯定感。作り手の自信のなさは買い手にバレる」ということをよく耳にしていたが、自惚れになってしまいそうという懸念などもあり、自分には難しいと感じていた

・しかし作家として活動を続ける中で、「お客さま」からたくさんの喜びのレビューやメッセージをもらうことで、ものづくりに対する自己肯定感を高めることができた

このように、「お客さま」とのやりとりの中で自己肯定感を高めることができるということについて、筆者の方は以下のように説明している。

私の作品を、こんなにも喜んでくださっている方がいる。
それは何にも代えがたい自己肯定感の源であり、ものづくり作家として最高の資産だと思います。
そして、このようなお言葉をいただいたときが「ものづくり作家をやっていて本当によかった」と最も幸せになれる瞬間なのです。

そしてこの方にとって「お客さま」はどのような存在なのか、この方の言葉ではこのように表現されている。

お客さまは、私に自信と幸福感を与えてくれる神さまです。



この部分を拝見して、ハッとさせられた。
自分が作家さんからいただいた作品、そしてそれを通していただく喜びや満たされた気持ちについて、自分は作家さんにきちんとお伝えできていただろうか。

もしそれができていたら、自分にとっての「神さま」である作家さんに、もしかしたらお渡ししたお品代以上のものをお返しできるのかもしれない。


別に自分は、いわゆるところの「お客様は神様だ」の"神様"になりたいわけではない。
(当該記事ではこの「お客様は神さまだ」というフレーズも、こことは異なる文脈で使用されていたが)

しかしこの作家さんのnoteの「自己肯定感は、ものづくり作家として最も幸せな瞬間の積み重ね(で育っていく)」という言葉にあるように、自分の言葉ひとつで「神さま」にとって最も大切なもののひとつであるという「自己肯定感」を高めることができるかもしれない。
そしてそのことによって、「神さま」がより一層素敵な作品を作ってくださる一助になれるかもしれない。

そう考えれば、どんな手間をも惜しまず、いただいた作品に対する熱い感情と「神さま」に対する感謝を伝えない手はないだろう。



自分はメールやLINEが大の苦手であり、その延長線上で、ハンドメイドアプリにおけるメッセージのやりとりにも大変苦労した。
そのため作家さんとの連絡は基本的に必要最小限、感情を込めたメッセージを送る際にはお返事が遅れることもあった(この点は本当に申し訳ありません…)。

しかしこの記事を拝見するなり、重かった腰を上げてメッセージアプリを立ち上げ、作家さんたちへ、「神さま」へ、感謝のメッセージと作品へのレビューを送信した。



それから数日が経ち、お返事はまだ来ていない。
来たとしても、向こうから「あなたはわたしという作家の『神さま』です」なんて返ってくることはありえないだろう。

それでも、傲慢であると重々承知しているが、作品に対する(重すぎるほどの)熱い感情と、作家さんへの心からの感謝が「神さま」に届くことだけを切に願っている。

そこにおいて自分は"神様"なんかに思われたくはない。
ただ、もし自分が「神さま」にとっての「神さま」になれたならば、なんと幸せで光栄なことだろう。


「神さま」にとっての「神さま」になれたならば。


おしまい。



※ヘッダー画像は「naonさんによる写真ACからの写真」をお借りしました


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