倉ファン

わたしたち、「京都の職人」じゃありません!!!名もなき工員が伝統工芸に挑む!


こんにちは。


「竹の、箸だけ。」を作り続ける零細メーカー、株式会社ヤマチク3代目の山﨑彰悟(箸おじさん)と申します。

熊本にあるいちものづくり企業に過ぎないわたしたちですが、中川政七商店、ピエトロなど、誰もが知る有名企業で使われている竹のお箸、実はヤマチク製だったりします。

画像1


「竹のお箸を作っています。」というと職人のような男性をイメージされる方が多いです。しかし、ヤマチクのお箸を作っている人のほとんどは地元に住む女性です。

画像2

画像3

お箸を買い、食卓のことを考えるのは、まだまだ女性が中心の世の中です。
だからこそ、ヤマチクでは多くの女性社員がお箸を作り、毎日毎日、竹と向き合い続けています。

ヤマチクのお箸づくりには、職人の熟練技もなければ、伝統工芸のような華やかさもないかもしれません。

それでもわたしたちは、「くらしに寄り添う道具」を作ることに誇りを持ち、食卓を囲む家族のようにみんなで仕事をしています。

画像4


今回のnoteは、ヤマチクの社員さん達が一生懸命つくった竹のお箸をお店で見つけた時のお話です。


わたしたち、「京都の職人」じゃありません!!!


それは4年前。
京都のお店でヤマチクで作られたお箸を発見した。
「あっ!!!社員さんが作ったお箸だ!写真を撮って送ろう!」
スマホを構えたようとした時、信じがたいPOPが目に飛び込んできた。


「京都の職人が、丹精込めてつくった一品」

なんなんだ、これは・・・・。

作務衣をきた職人さんの写真まで添えてある。

誰なんだ、このおじさんは・・・。


茫然と立ち尽くす僕に、店員さんが近づきこう言った。

「このお箸、京都の竹で作られているんですよー!」

違う・・・。
熊本の切り子さんが、一生懸命切り出してくれた竹なんだ・・・。

画像5

画像6



「京都の職人さんが一本ずつ丁寧に作ってるんで、掴みやすいんです!」


違う・・・。
うちの社員さんが、こころを込めて作ってくれたんだ・・・。

画像7

画像8


その後も店員さんのセールストークは続いた。
「違う!京都の職人なんかじゃありません!!!」
情けないことに、僕の口からこの言葉は出てこなかった。
「そうなんですか・・・。」と虚ろに相槌をうつのが精一杯だった。


悔しくて仕方がなかった。


まがいもののレッテルを貼らないと、売れないお箸なのか?
僕たちの仕事は、評価に値しない仕事なのか?
切り子さんや社員さん達の懸命に働く姿が頭に浮かぶ。
僕は、涙を堪えることができなかった。



出張から帰り、このことを社長(父)にぼやいた。
「仕方ないんだよ。そういうもんだ・・・。」
それ以上、社長は何も言わなかった。

確かにOEMメーカーにとってこれは当たり前のこと。
「京都の名工」と銘打ったほうが、販売訴求力が高いことは事実。
でも、やっぱり納得できない。この時、僕は誓った。

いつか証明してみせる!

社員さん達が、「京都の名工」と謳われて遜色のない技術をもっていると。
社員さん達が、誰からも称賛される仕事をしていると。

画像9



ヤマチクは、「伝統工芸の最高峰」に挑戦します!


あれから4年経った今でも、あの悔しさは鮮明に覚えています。
もちろん、あの時の「誓い」も。

有名ブランド「THE」とのコラボや、自社ブランドの開発に挑戦したのも、あの時の悔しさがあったからこそ。
「あなたたちの仕事は素晴らしい。」と社員さん達に伝えたい。

その一心で、これまで邁進してきました。

画像10

画像11


そして今回、ヤマチクは「伝統工芸の最高峰」に挑みます。

ヤマチクとして、「第4回金沢・世界工芸トリエンナーレ」の「2019金沢・世界工芸コンペティション」への応募をすることを決めました。


「2019金沢・世界工芸コンペティション」に挑戦するのは、名だたる伝統工芸士や工芸作家ばかり。

今回の挑戦を通して、ヤマチクの社員さん達も伝統工芸士にも劣らない技術を持っていると証明したいのです。

「田舎の零細メーカーがなんと無謀なことを。」
皆さんそう思うでしょう。

でもわたしたちは、「伝統工芸」への認識にも一石を投じたいと思っています。
「伝統工芸」と聞けば、高価で芸術性の高いもの、暮らしとは関係のないものだと思う人も多いのではないでしょうか?
わたしたちはやっぱり、脈々と受け継がれてきた伝統工芸は「人々の暮らしに馴染んでこそ」価値があるのだと思うのです。

暮らしの中に根付き、馴染み、日常的に使ってもらえる手工品こそ、本来あるべき伝統工芸の姿であり、守るべき「伝統」なのではないでしょうか。

竹のお箸という「くらしに寄り添う道具」を作り続けてきたヤマチクだからこそ、本当の「伝統工芸」を形にできると思うのです。

画像12

それに世間はどうしても、工場よりも職人の方を高く評価しがちです。
職人も、工場も、同じ「ものづくり」。
「いいものは、いい。」といえる世の中になれば、「まがいもののレッテル」に悔し涙を流す人はいなくなるはずです。

この思いに共感してくださる方、ぜひこの「無謀な挑戦」を応援してください。

みなさんの応援が、ヤマチクの社員さん達の「誇り」につながります。
みなさんの応援が、日々ものづくりに勤しむ全国の「名もなき作り手」に光をあてます。
みなさんの応援が、日本のものづくりを元気にします。

みなさん、どうか応援よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?