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音楽のちから【映画】はじまりのうた

#映画感想 #洋画

【見た映画】

はじまりのうた

2014年

出演:キーラ・ナイトレイ, マーク・ラファロ

【はじめに】

皆さんにとって”音楽”とは何ですか?

某番組のような問いかけから始めてしまいました。脳内で「Progress」が再生された方は一時停止をお願いします。

さて、私にとって”音楽”は、無くてはならない大切なものです。

「NO MUSIC NO LIFE」なんてありきたりで、よく聞く言葉ですが、まさにそのくらいのものなのです。

楽器やバンドをやっていた経験があるわけでもないですし、関係する仕事をしていた経験も全くありません。ですが人生における楽しい時、苦しい時、全てのシーンには、そこに寄り添う"音楽"がありました。今でもその音楽に触れることで、その時のことを鮮明に思い出せるのです。

そんな、人生を支える、はたまた人生を大きく動かすような"音楽"に出会ったことが皆さんはあるでしょうか?

あるという方も、"音楽"が自分にとってそこまで大きな存在でないという方も、本作を観ると"音楽"が大好きになって、すぐにでもプレイリストに入っている好きな曲をイヤホンで聞きたくなるはずです。

本作は"音楽"のちからが生み出す、奇跡の物語です。


【あらすじ】

ミュージシャンの彼デイブに裏切られ、ライブハウスで歌う失意の主人公グレタと、そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサーのダンとの出会いが物語の始まりです。

ダンはグレタの作る"音楽"に魅せられ、デビューの話へと発展していきますが、なんと録音場所はスタジオではなくニューヨークの街角。

路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームとゲリラレコーディングを次々に実施してアルバムを作る。この無謀な企画が奇跡を起こし始めます。

"音楽"に人生をとらわれた2人が"音楽"で人生を変えていく。そしてアルバムが完成したその日、最高の「はじまり」が待っていました。


【感想】

「"音"を"楽しむ"ことこそが"音楽"だ!」

という力強いメッセージとともに"音楽"が持つちからの大きさをたっぷりと感じることができた作品でした。

ストーリーもさることながら、本作は劇中歌に触れずには語れないだろうと思います。まさに、全てのシーンが"音楽"とともにあるような作品です。

とにかく曲も歌も全てがシーンにしっかりはまっており、抜群に良いのです。

自宅で鑑賞してよかったと心から思いました。映画館で鑑賞していたら、流れてくる曲を口ずさまずに、リズムに乗らずにはいられなかったと思います。

そしてグレタとダンの"音楽"への愛と、"音"を"楽しむ"姿がとても印象的でした。

特に街角でレコーディングするシーンの2人の表情は、本当にたくさんの感情を含んでいながら、とても爽やかでかわいらしい笑顔がたまりません。

へこんだ心はいつか膨らむ

劇中の言葉ではありませんが、本作の日本版予告編でのキャッチコピーです。

グレタが失意の底から"音楽"のちからと、ダンとの出会いによって新しいはじまりにたどり着くその姿に、「自分もまた頑張ろう」「何度だってはじめてみよう」と、とても前向きな気持ちになれる作品です。


【考察(※本編の内容を含みます)】

本作の劇中には、言葉として発せられていなくとも、メッセージとして確実に発せられているものがたくさんあるのではないかと思いました。

やはり大きいのが、"音楽"

物語の重要なシーンでもある、グレタが彼デイブと決別するシーンでは、幸せな2人の関係が壊れ去るまでに一切のセリフがありません。そこにあるのは部屋に流れるデイブの新曲のみです。

このシーンだけでなく、劇中の様々なシーンで伝えたいメッセージをあえてセリフではなく歌詞として届けられています。

サウンドトラックを聞きこんで、歌詞カードを手元に再視聴したいと思えるほどに本作にとっての"音楽"というものの存在は大きいと思います。

そしてもう一つが登場人物の"表情"です。

劇中ではセリフの空白を埋めるように"音楽"が常にあると、ここまでも書いてきましたが、そこにもう一役噛んでいるのがこの"表情"です。

先ほども触れたグレタとデイブの決別のシーン、グレタとダンが完成したアルバムの売り込みを終えた後のシーン、見つめあう2人の表情が不自然なほどの長さ切り取られます。このシーンのメッセージ性は圧巻でした。

どれだけの感情が彼ら彼女らの表情に含まれているのかは想像もつきません。これぞ、音楽作品ではなく映像作品である映画でしかできない表現なのだと感動しました。


【おわりに】

音楽の魔法だ、陳腐でつまらない景色が美しく輝く真珠になる

私が本作で一番大好きなシーンでのダンの言葉です。

グレタとダンが仲たがいした直後、お互いのプレイリストをスプリッターを使って2本のイヤホンで聴き合いながら街をねり歩くシーンです。

恋人でもない、年も離れている2人の距離を縮めるためには、"音楽"があれば他に何もいらないのだというメッセージです。本作を象徴するような名シーンだと思います。

私も人生の中で、何度も音楽に救われてきました。そこに"音楽"があるだけで、ちっぽけだった自分も、つまらなかった世界も、真珠のように輝く。そんな気がするのです。

とても映画的で、美しい言葉ですが、"音楽"がそれほどのちからを持っていると私は信じています。

きっと本作と出会った皆さんの行く先には、真珠のように輝く未来と、新しいはじまり、そしてそこに寄り添う"音楽"が待っていることと思います。


最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、また。


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