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愛おしい時間【映画】アバウトタイム

#映画感想 #洋画

【見た映画】

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

2013年 

リチャード・カーティス

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【はじめに】

「時間を巻き戻すことができたら...」

「もしもあの頃に戻れるのなら...」

誰もが一度は考えるし、話題にしたことがあるのではないでしょうか。

もちろん私もありました。もっと言うなら「戻れるならいつに戻りたい?」という問いに対して、「生まれなおしたい」と答えていたほどです。

”本作を見るまでは。”

時間について、人生について、大きな不満はないけれどもっとうまくできたはずだ。やり直したいことはたくさんあるし、これからもたくさんできるだろう。そう感じている人には、ぜひ本作を見て欲しいと強く思います。

タイトルにもある通り、「時間について」そして大きくは「人生について」価値観が変わる機会になるはずです。


【簡単なあらすじ】

主人公であるティムは田舎町で、個性豊かな家族と平凡ですが幸せな毎日を送っていました。

ところがティムが21歳になったとき、父から突然嘘のような本当の話を告げられます。

「代々この家の男はタイムトラベルができる。私も私の父に21歳なったときに知らされたのだ。」

このことが本当だと知ったティムは、自分のため、家族のため、恋人のため、たくさんのタイムトラベルを繰り返し、人生をより良いものにしようと奮闘します。

その中で、時間との本当の向き合い方を知っていくことになります。


【感想】

とても考えさせられる内容だった。

という感想は月並みではありますが、本作の感想を大きくまとめるなら、この言葉しか私は見つけることができません。

ですが、本作の魅力はこの月並みな感想で言い表したくなる多くの作品とは異なり、”軽快に明るく考えさせられる”という点にあると私は思います。

思い悩んだり、熟考するといった意味での”考える”ではなく、むしろこれまでの負の感情をまとった”考える”の意味を前向きに、軽くさせるような、そんな作品です。

本作のストーリーは、ヒューマンドラマや、ラブストーリーの要素が強いです。SFや、タイムトラベルものを期待して見ると、少し単調で物足りなく感じる部分もあるかもしれませんが、私は特にマイナスに感じることなく、楽しむことができました。

というのも、本作はイギリスの映画ですが、その良さも劇中の随所にあふれており、純粋なラブストーリーとしても十分過ぎるほどに美しい映画として感じることができたからです。

何よりも主人公のティムの言動が、素敵なのです。少し抜けている部分がありながらも、芯にはしっかりと英国紳士の雰囲気があります。特に女性を褒めるときの言葉に心をグッとつかまれます。

日本にはない、会話や表現がたくさん出てきます。どこをとっても自分の欲と感情にとてもオープンながら、美しい言葉のラッピングを選ぶことで、とてもチャーミングな表現になっています。私は字幕版を視聴しましたが、吹き替え版ではどのような表現が使われているのかも気になるところです。

さて、本作の主題「About Time」と、日本版の場合は「~愛おしい時間について~」という副題には、本作の全てが詰まっているように思えます。

ティムと彼を取り巻く環境や人々を通して、視聴者に「本当に愛おしい、大切な時間はどんなものか」そんなことを自問させること。それこそが、監督である、リチャード・カーティスの願うところだったのではないかと私は思います。


【考察(※本編の内容を含みます)】

私が本作から受け取った1番のメッセージは

「かけがえのない”今”という時間が愛おしいのだ」

というものです。

先にも触れたように、本作を見た後、たくさんのことを自問しました。これまでの「もし戻れるなら」という自問ではもちろんなく、

「これから訪れる時間をどう大切な、かけがえのないものにしていくか」

という問いです。

ストーリー終盤、ティムは亡き父の教えで、毎日を必ず1度繰り返すようになります。そして1度目と繰り返すときの2度目の時間の違いは、「目線や見方」だということに気づきます。それ以来ティムは、タイムトラベルをしなくなります。

このシーンが表しているのが、「”今”という時間の大切さ、愛おしさ」だと思います。

「過ごしている”今”が、何度もやり直した最後の1回の”今”だとしたら、あなたは何をどのように見て、どのように時間を過ごしますか?」

現実に”今”をやり直すことはできません。ですが、これから訪れる”今”に、この問いを常に持ち続けることができれば、やり直す必要なんてないのです。

「最悪な一日」「やり直したい過去」そんなものを作ってきたのは自分の「目線や見方」でしかないのです。ですが、そのことを深く考えて後悔している時間はありません。

”今”はどんどん過ぎていきます。これから訪れる”今”をどう過ごしたらよいのか。

それが「About Time」(=時間について)考えるということなのです。


本作を視聴している124分間と、「About Time」(=時間について)、特にこれから訪れる”今”との向き合い方について自問していた時間は、私にとって間違いなく愛おしい時間だったと言えます。

この記事を読んでくださった皆様が同じように感じてくださることを願っています。


最後まで、お読みいただきありがとうございます。

それでは、また。


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