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Alexa向けクックパッドスキルの活躍の場を広げてきた話

こんにちは、デザイナーの橋本 @hashcc です。Alexaスキルのデザインをやってます。

クックパッドはAmazon Alexa向けのスキルを提供していますが、Alexaが日本上陸を果たした2017年11月から提供を続けていて、そろそろ丸2歳になります🎂

その2年の中で、僕たちはスキルの体験デザインを時に大きく変えてきたのですが、「何を考えてアップデートしてきたのか」「課題をどう克服してきたか」について少しお話させてください。

なお、クックパッドスキルは主に以下の2つの機能があり、それがどう変わっていったかという形でお話しようと思います。

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この記事のまとめ
- Alexaなどの音声アシスタントデバイスは毎年新しい機種が出てきている。特に液晶付き端末が出たことでクックパッドスキルも活躍できるシーンが広がった
- スマホで探したレシピをスキルで見られるようにしたり、レシピに質問できるようにしたり、スキルをキッチンで活躍できるように成長させている

フェーズ1: すぐに作れるメニューを検索、作り方はスマホで見る

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どんなスキル?🤫

クックパッドスキルは当初「使いたい食材をAlexaに伝えれば、その食材だけで作れる簡単なレシピ(主に副菜)を提案するスキル」としてローンチしました。

また、この時はAlexaは作り方を読み上げず、スマホにプッシュ通知でリンクを送り、そのスマホで作り方を確認してもらうというやり方をしていました。

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どうしてこうした?🤔

Alexaが使われそうなシーンをまず考えると、Alexaが家にあって、料理する直前または料理中に使われそうだという仮設を立てていました。よって、足りないものを買い物に行かなくてもいいように話した食材1つだけで作れるメニューを提案するのが良いと考えました。

また、レシピの読み上げについて、実際に一人がAlexa役になりきってレシピを読み上げたりして検証してみると、クックパッドのレシピを音声だけで作るのは難しいことがわかりました。

手順は目で見てわかりやすいように書かれていることが多く、「食材を切って…と言われてもどう切るの?写真がないとわからない」など単に音声で読み上げるだけでは料理をうまく運ぶことは難しかったのです。

それを踏まえて、この時はAlexaでレシピを読み上げるのではなく、スマホに検索したレシピを送るという割り切りを行うことにしました。

このときの詳しい経緯は以下の記事にありますので、ご興味あればご覧ください。

フェーズ2: 検索で簡単な一品以外も提案、作り方も読み上げるように

最初の大きなアップデート

上記のデザインコンセプトはとても明確だったのですが、ローンチから半年ほど経って、以下のようなアップデートを行うことにしました。

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フェーズ1と真逆のことをやっていて大丈夫?と思うかもしれませんね。実はこれらを決めた理由として、この時期大きな2つの出来事がありました。

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1. ディスプレイ付端末の販売を機に、音声+視覚UIでの体験を軸に据える

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特にディスプレイ付き端末が出たのは大きな変化でした。

上記に「音声UIだけで料理は難しい」と書きましたが、ディスプレイ付き端末であれば手順も表示できるので、少し聞き逃したとしても端末を見ることでカバーできます。また、料理の写真も表示できるので、検索時にどんな料理かをイメージしやすくなり、簡単な1品以外のレシピ提案も行いやすくなります。

可能性が広がったことで、チームは「スマホアプリをキッチンに持ち込まなくても自由に料理ができる未来を作る」ことを目標において開発をすすめることになりました。

とはいえ、チーム内でも「ディスプレイ付き端末がどれくらい普及するのか?」「価格も比較的高いので、早期の普及は難しいのでは?」という声もありました。しかし、最初は届く人が少なくてもいいから、ハマる体験を作ろうと話して、ディスプレイ付き端末に体験設計の主軸を移すことにしました。

よって、手順読み上げも、まだまだ課題は多いものの、チャレンジ始めてみることにしました。

2. 期待に応えられる検索体験にする

詳細は省きますが、スキルをより多くの人に使ってもらえるような機会に恵まれたこともあり、検索体験も再考することにしました。

というのも、多くの人はクックパッドで検索した時に、簡単な料理だけでなく、様々な料理が出てくることを想定していると思います。そのため、簡単な1品の提案にとどまらず、今日作るごはんのインスピレーションを湧かせるスキルとしてコンセプトを転換させたいと思ったのです。

なので、検索結果も簡単な1品だけに限定するのはやめて、主食/主菜などを登場させることにしました。

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新たな課題点😣

提案するレシピの種類を広げ、多くの料理に触れられるようになった一方で、ユーザーさんに使ってもらうと以下のような意見をよくいただきました。

(検索の課題)レシピが選べない
例えば「鶏肉」で検索すると「親子丼」「唐揚げ」「トマト煮込み」といったように料理を提案していますが、レシピは決め打ちで提案しているので「他のレシピも見たい」という意見をよく伺いました。

(読み上げの課題)手順の全体像がわからないので不安
調理前にステップを眺めておくことで作りたいレシピかどうか、困るステップがないかどうかを確認することができますが、一部の大画面付きAmazon Echoを除いては、それをする場合ひたすらスクロールしたり、ステップを読み上げ続けるしかありません。

(読み上げの課題)手順が見ることを想定して書かれていてわかりづらいことがある
手順の中には「★を加えて」「混ぜ合わせた調味料を加えて」などという記述がよくありますが、Alexa利用中にこれを知りたい場合、材料リストをすべて呼び出し、★を見つけて、また戻るという面倒な行動が必要でした。

フェーズ3: 知っている料理を呼び出せるように。分量質問もできる

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課題対応:レシピが選べない

そもそもAlexaは一回のインタラクションで伝えられる情報は少ないので、モバイルアプリのように検索結果とレシピを行き来するような探す体験は向いていません。つまり、たくさんのレシピを見せても本質的には問題は解決していません。

フェーズ3では、 レシピを選ぶという行為自体をなくそうと考えました。
例えば、好きでよく作るトマトパスタのレシピがあったとして、それを「アレクサ、トマトパスタのレシピを教えて」とか「アレクサ、トマトのレシピを教えて」と言って素早く呼び出せるとよさそうです。帰宅途中の電車で決めた夕飯のレシピを呼び出せても便利でしょう。

ということで検索時に、通常の検索結果に加えて、知っているレシピ(ユーザーがクックパッドに保存したお気に入りのレシピ=MYフォルダのレシピや最近見たレシピ)からも検索するようにしました。

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知っているレシピで料理することで調理体験も良くなります

Alexaで初めて出会うレシピで料理していると、全体像がわからないこともあって暗中模索の中で料理している感覚になることがあります。知っているレシピで料理することで、そうした不安感も解消され、安心して料理できるようになります。

課題対応:手順の全体像がわからないので不安

これは実はまだ解決できていないのですが、解決に向けて今取り組んでいるところです。レシピの全体像がサッと把握できれば、必要なことだけAlexaに聞けば良いわけで、ユーザーさんがより自由に料理できるようになりそうです。

課題対応:手順が見ることを想定して書かれていてわかりづらいことがある

「★の材料は何?」「合わせ調味料を教えて」などとレシピについて質問できるようにしました。
回答で「★を構成する食材」や「合わせ調味料を構成する食材」を答えるようになっています。この他にも読み上げ解決すべき課題はありますが、一つ一つ解決していきたいです。

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おわりに

フェーズ2ではユーザーさんから厳しいご意見をいただくことも多かったのですが、フェーズ3に入って少しずつユーザーさんの料理シーンに入っていけていることを、レビューやテストをやっていて感じています。

引き続き、クックパッドスキルでしかできない料理体験を切り開いていくことに、愛情を注いでいきたいと思います🥰

また、クックパッドではサービス開発で活躍できるデザイナーを募集していますので、話を一度聞いてみたい方は私宛のDMでもよいのでお声がけください😉


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