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今更だけど?RPAのはなし

さて、前回までの2回の記事でWatson Orchestrateによる自動化の支援、そして、Watson Orchestrateが活用できる自動化のスキルの重要性について説明しました。ここから数回にわたっては、自動化のスキル、テクノロジーについて整理していきたいと思います。今回は、今となってはコモディティ化した感もあるテクノロジーである、Robotic Process Automation(以下RPA)について整理してみたいと思います。

ここ数年で大きく普及したRPA

自動化を実装するテクノロジーとして、皆さんが真っ先に思いつくのがRPAなのではないでしょうか?DXの推進や、コロナの影響もあり、RPAはここ数年で大きく普及しました。

RPAの特徴は、既存システムを使用している人の動きをシミュレートすることで、ローリスク、短期間での自動化を実現することです。人による作業がボトルネックになっているようなケースで活用されるだけではなく、連携のためのAPIがないような既存システムとの連携手段としても用いられます。また、ローコードによる開発が可能で、業務部門によるボットの開発が可能な点も特徴として挙げられます。

RPAのユースケース

浮かび上がってきたRPAの課題

ローリスク、ローコスト、業務部門によるプログラミングレスな実装など、良いことばかりに思えるRPAですが、実際に使用してみると様々な課題が浮かび上がってきました。典型的な課題としては以下のようなものが挙げられます。

  • 既存業務を単純に自動化しただけで成果が思ったより出なかった

  • 一部業務の自動化はできけど、業務状況の把握ができない

  • 個々のボットが分断されており、ボット間の連携ができていない

これらの課題が生じる原因としては様々なものが考えられますが、最大の原因は、業務プロセスの視点が欠如していることが考えられます。

業務プロセス視点で改善に取り組むことの重要性

RPAを効果的に適用するには、適切な適用領域を特定することはもちろんなのですが、最終的な目標はRPAの適用ではなく、業務プロセスの改善であるということを忘れないようにしなくてはなりません。既存の業務をそのまま自動化するのではなく、End to Endの業務プロセスを改善という視点に立って、RPAの適用を検討する必要があります。具体的には以下のようなポイントが重要です。

・プロセス・マイニング、プロセス・モデリング・ツールの活用
業務プロセスの視点でRPAの適用領域を検討するには、業務プロセスの理解が必要不可欠です。業務プロセスを整理する際にどのようなツールをお使いでしょうか?効率的、客観的に既存プロセスを整理し、RPAの適用領域を検討するには、プロセス・マイニング、プロセス・モデリング・ツールの活用が効果的です。

・サーバー型RPAの採用や、ボット連携の活用
RPA製品は、大きく分けて、ユーザーのPCで動作するデスクトップ型と、サーバー連携するサーバー型の2つに大別することができますが、ボット適用の効果が思ったより出ないというケースにおいてよくあるのは、簡易的なデスクトップ型のRPAを使用しており、結局は人がボットを起動したり、ボットとボット、ボットと他システムの仲介役になってしまっているようなケースです。単純作業を自動化するということは、RPAの大きなメリットの一つではありますが、それだけでは不十分です。複数のボットを連携させて、一連の業務を人の介在なく処理する、ワークフローと連携してボットを起動する、チャットボットからボットを呼びして問い合わせを処理するなど、サーバー型のRPAやボット連携を活用することでより大きな効果を出すことが可能です。

業務プロセスの可視化の実現
ボットによって業務を行うということのもう一つのメリットに、ボットの動作ログを活用できるという点が挙げられます。特にサーバー型のRPA製品においては、ダッシュボード機能などが提供されるものが多く、ボットの動作状況や、業務プロセス視点でのKPIを表示することが可能です。これらを活用することで、業務状況を把握して必要なアクションをとったり、効率的な業務へと継続的に改善していくことが可能になります。

業務部門だけでなくIT部門も巻き込むこと

上に述べた以外の課題としては、「例外処理などを実装しておらず、ボットが止まってしまう」「障害時のリカバリー手段が想定されていない」といったものもあります。特に業務部門のみでプロジェクトを推進した場合に発生しやすい課題なのですが、このような事態を防ぐには、業務部門とIT部門がしっかりとコミュニケーションをとり、プロジェクトを推進していく必要があります。IT部門を巻き込むことがボトルネックになっているからといって、業務部門だけで進めよう!というのは根本的な問題解決になっていません。RPAの適用という目先の目標にとらわれず、組織作り、人材の育成など、中長期的な視点にたって取り組む必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はここ数年で浮かび上がってきたRPAの課題と、業務プロセスの視点を持ってRPAを適用することの大切さについて述べさせていただきました。次回は、今回挙げたような課題に対して、IBMの製品がどのように役立つのか、具体的なIBMRPAの特徴について説明したいと思います。

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