見出し画像

スキルアップのための読書よりも、逆境をはねのけるための読書の方が、圧倒的に血肉になる

Amazon注文履歴を眺めていたら、今年の8月は実用書を8冊買っていた。
しかし何を買ったかその履歴を見るまで思い出せなかった(今焦って急いで読み直している)。

そんなズボラな私だが、今でも忘れられない本、いわば、『この一冊は一瞬で血肉化した』と思える本がある。
そんな一冊の本に出会った話、そして、出会ってからの私の話をしたい。

出会う前の私

とにかく大変だった。

今の会社に入社してすぐ、複数のプロジェクトを回していた。
その中で、今にも潰れてしまいそうなプロジェクトの一つに、頭を悩まされていた。

納期が迫っているのに、毎日小さなトラブル対処の日々。
頭を抱え、毎週上司に相談しながら、ミーティング前の不安を打ち消そうとしていた。
自分以外のメンバーからの目線に不安を感じ、空回りして、溺れているような感覚だった。

また、当時は簿記を勉強しようと、新宿の通学講座に夜間と土日通っていた。
学校で勉強中も、「いったいどうすればいいのか…」と気もそぞろになることばかりだった。

にっちもさっちも行かなくなったある日、新宿の紀伊國屋書店に立ち寄ってみた。
なにかこの窮地を救ってくれる本はないかな、と、藁にもすがる気持ちだった。


そして出会う、一冊の本

コンサルタント関連のコーナーを見てみた。
とても明るい照明で、意外と本が多いことに気づいた。

いくつか中身を吟味する。
当時は、起きている問題のそれぞれに、何かしら自分の失敗が紐付いていると感じていたが、自分の失敗がこれで全てなのか、わからなかった。
また、失敗に対して、少ないながらも対策案を思いついても、解決できる確証がなく、思い切って行動に移せない状況だった。

『同じように失敗していて、その対策案を書いた本があればなぁ…』
と思いながら見てみると、あった。

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書

その場で買って、翌朝月曜、会社まで1時間半の通勤時間の間に電車で読み切った。

翌日、会社にて

その日から激変した。

「いかに関係者に実情を報告するか」に絞ったミーティングを行った。
なにか質問をされ、「迷ったら、お客様のことを考える」ようにした。
トラブルは起こるものだから、予め「リスクを予見するために先んじて考える」時間を確保した

私のプロジェクトへの負担感は劇的に軽くなった。
頭を抱えることはあっても、抱えた頭の中でしっかりと思考が回るようになった。
ミーティングの参加者からの目も、気にならなくなった(というか、このタイミングぐらいで、ようやく目を見て話せるようになった気がする笑)。

当時の自分が書いていた週報を見てみると、以下のようにメモしていた。相当助かったらしい。

・自分が知らない事実を早く理解して、ヘルプを求める。
・小さな意思決定を大事にする。(決めないと動かないものはすぐ決める)
・迷ったらお客様のことを考える。
・リスクを予見するために先んじて考える
・上記のようなことを意識しながら一週間進められたので、自分の言葉になってきている感がある。
・プロジェクトマネジメント系の本を一冊買って読んで、週の途中で少し見方変わった。

この瞬間、この一週間は、如実に自分が成長したことを実感した一週間だった。
最初の一週間を超えると、週報の内容も呼吸するように使えるようになって、楽に息ができる気がした。

十冊以上買っている簿記の本からの知識はなかなか染み付かなかったのに、この一冊の知識はすぐに染み付いた気がした。


逆境をはねのけるための読書

自分の困っている、今この瞬間解決したい課題を目の前にした読書は、高速で、濃密で、現場と書籍、行きつ戻りつ、進めていった。
この体験は振り返ると充実していて、成長実感そのものであり、かけがえのないものになっている。

スキルアップのための読書や勉強は、確かにとても役に立つ(なんだかんだ簿記には随所で助けられている)。
しかし、血肉化するスピードとその威力で言うと、今この瞬間、解決したい仕事のために読む読書の方が、圧倒的にパワフルだった。

また、今回良かったことは、解決したい仕事の「解決したいポイント」を自分が強く自覚していたから、読後の納得感が深まったということだ。
(今回だと、失敗を連続している自覚があったので、失敗例と対策がある本がベストだった。)

そう思うと、その一冊に出会うために、自分の状況と本の中身を行きつ戻りつ想像し、本棚の前で考えたあの時間も、遠回りではなかったのかもしれない。

これからも書籍はきっと読むが(まずは買ってしまった8冊を消化してからだが)、自分の逆境をはねのけ、ピンチを救うような、より力強い読書体験をしていきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?