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D2Cブランド事例にみる「クリーンビューティ」とエシカル消費の関わり

【この記事から分かること】
 📌  高まる ”エシカル消費” への熱
 📌  クリーンビューティブランドの事例と施策
 📌  D2C美容ブランドが見据えるべきはミレニアル世代

1. D2Cがエシカル消費を後押し?

コロナ禍が引き起こす生活環境変化やZ世代の登場により、SDGs(持続可能な開発目標)はその前身であったMDGs(ミレニアム開発目標)を遥かに上回る浸透具合を見せています。

SDGs認知拡大は、二酸化炭素や温室効果ガス排出量を抑える・生物多様性維持に貢献する・再生可能資源を使用するなど「環境を保全し持続可能社会に寄与する製品の消費(=エシカル消費)」の普及にも繋がっています。D2Cマーケティング領域も例に漏れず、特にそのスピーディーかつオリジナリティに富んだ製品開発が可能な面から、すでにSDGs関連製品が多数発足。

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近頃では大手ブランドでもそうした取り組みが進められていますが、D2Cブランドもコスメなどの美容品の他ファッションや食品などのカテゴリーでクリーンビューティ(持続可能な社会を目指し人類を含む動物・地球環境に配慮した美容志向)が頭角を現しています。
地球環境や動植物に配慮した製品を選択するエシカル消費の担い手には、すでに教育課程でSDGsを理解しているZ世代やそれと隣り合うミレニアル世代が挙げられるでしょう。

今回の記事では、国内クリーンビューティ領域の新興D2Cブランド2社を取り上げつつ、エシカル消費を後押しするD2Cブランドはどんな特徴を持つのかを探っていきます!

📚  コラム「 "クリーンビューティ" と "ヴィーガンビュティー" の違い」

当noteでは、「地球環境負荷を抑えた再生(可能)資源を活用したり、生態系保全などの社会的意義を持たせた美容・ファッション製品志向」をクリーンビューティと捉えています。その一部に包含されるヴィーガンビューティは、自然由来の成分・原料のみを使用することや残虐な動物実験を施さない(= クルエルティフリー)美容・ファッション製品を指します。
ヴィーガンビューティは「必ずしも環境負荷が低い製品という訳ではない」ことは理解しておくべき点だといえます。


2. クリーンビューティのコスメブランド①
📍 UNNATURALLY NATURAL

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📝 概要
美容液や化粧水、クレンジング、保湿クリームなどのコスメアイテムを製造販売するD2Cブランド。動物由来の成分は一切使用せず、また地球環境に害悪のある原料はパッケージからも取り除く徹底ぶり。

 【公開されている除外成分リスト】

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自然と共存する」化粧品ブランドであり、そのコンセプトからもクリーンビューティの透明性を危惧するユーザーにとっては安心できる製品だといえます。

⚔️ 戦略
Shopifyを使用したECサイトを見るに、ミレニアルに好まれる傾向にあるミニマリズムなクリエイティブが目立ちます。

 【ミニマリズムなクリエイティブ】

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SDGsに関心高いZ世代でも「スキンケア製品に対しは1000~3000円のものを購入する人が約8割を占めている」というN.D.Promotionからのデータがあり、UNNATURALLY NATURALはそれをやや上回る価格帯。

 【掲載された雑誌の一覧】

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マガジン「美的」「anan」などメディア露出の様子からも、20代後半〜30代ほどのミレニアルユーザーをメインターゲットとしていることがわかります。


3. クリーンビューティのコスメブランド②
📍 WALALA

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📝 概要
大麻草(ヘンプ)の植物由来成分の1つCBDを取り入れ、100%合法化された国産スキンケア製品のD2Cブランド。
法律に抵触しない輸入や製造工程の整備、世論の理解などの問題があったも国内での供給はここ数年で盛り上がりを見せているCBD。米国ではすでに人気高いCBDには、このコロナ禍で多くの人が目を向けることとなったウェルネスやメンタルヘルスに有効な成分を豊富に含んでいます。

 【100%国内生産&合法を実現した国産CBDブランド】

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ウェルネス向上の他 郵送パッケージに再生資源を活用するなど、地球環境と私たち双方の持続可能性に寄与しようという姿勢が見て取れます。

 【リサイクル可能な包装】

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⚔️ 戦略
高級感ある字体やShopifyを使用したECサイトの風体からはハイエンドなテイストを感じさせます。

 【高級感漂うデザイン(UGC投稿より)】

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WALALA創業者 柴田氏が『30〜50代の女性をメインターゲットに商品の普及を図っていく』と考えを示していたよう高めな年齢層向けの製品と思いきや、日本最大級のコスメ口コミサイト「LIPS」でWALALAのレビューをみてみれば20代後半〜30代の女性ミレニアル世代からのレビューが多数派であることがわかります。


4. D2Cクリーンビューティブランドはミレニアルに熱い視線!

D2Cブランド「UNNATURALLY NATURAL」と「WALALA」に共通した点として挙げられるのが、その価格帯・ブランディングの仕方からメインターゲットにミレニアル世代を据えているということ。
欧米の事例を見れば早くも一般化したヴィーガンコスメがプチプラ化、数百円台とZ世代にも手の届く廉価なラインナップも登場しています。持続可能な社会実現に高い関心を示しエシカル消費に好意的な彼らにとって朗報でしょうが、一過性のある"SDGsトレンド"としての認識があるといわれています。

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さらに、今年度社会人に仲間入りした1998年生れのZ世代は、コロナ禍のような未曾有の経済変容を危惧し「平均して初任給の9.3万円を貯蓄に回す」との調査も発表されています。そんな状況の中"身の丈消費"が進み、やや高価格なクリーンビューティ領域のD2Cブランドのターゲットは自然とZ世代から外れより実質的な購入に至りやすいミレニアルに移ることになります。

しかし、「Z世代が次なるエシカル消費の購買層になる」と期待を込め美容市場に廉価なヴィーガンビューティ製品を増やせば間違いなく "ヴィーガン・ウォッシュ" や "クルエルティフリー・ウォッシュ" といった、虚偽・誇張した情報を記載する悪質ブランドの温床にもなり得ます。
SDGs達成に大きく関わるZ世代・ミレニアル世代に理解を示し彼らのエシカル消費を押し上げるには、オリジナリティに富んだD2Cブランド1つ1つがクリーンビューティをメインストリーム市場にまで昇華させることが重要なのではないかと考えています。


5. おわりに

noteでは、D2Cブランドの特徴や戦略について紹介する記事を連載しています。
今後ともD2Cブランドにまつわる記事を投稿していきますので、質問や感想・取り上げてほしいブランドなどなどお気軽にコメントいただけると嬉しいです 🥳

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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