はじめてのレイトショーと、R15映画。
人生で初めて、レイトショーで映画を見た。
人生で初めて、R15の映画に触れた。
その時の私の心の動きの記録です。
大学1年生の秋。19歳だった私は、一人暮らしの解放感から、大人っぽいことをしてみたくなり、夜に外出をしたり、大学生らしくない服を買ったりするようになった。
20歳というボーダーラインを超える日を着々と待ちながら、生活が変わっていく中、Youtubeで懐かしいフレーズを見つけた。
この作品の原作を、高校生の時には知っていたし、ストーリーもすべて読んでいた。ふと現れたその映像には、官能的で大人びた雰囲気をまといながら、映画化するという情報が詰まっていた。
私は最近は読まなくなってしまったが、昔はBL漫画が好きだった。が、その中でもこの「窮鼠はチーズの夢を見る」の感情描写と人間味のあるキャラクターが印象的で、今でも覚えているシーンがいくつかある。
私は家でベッドに横たわり、ぐーたらしながらその漫画を消費してしまったので、映画館という暗くてどこかロマンチックな空間で改めて楽しみたいと思った。
近くの映画館を探し、上映スケジュールを見てみると、そこにはレイトショーの文字が。
少し背伸びをしたかった私は、そのレイトショーという文字に導かれるままに、座席を取り、映画館へ向かった。
攻めの役が関ジャニ∞のメンバーということもあり、ジャニーズファンらしき人が多くいる中ではあったが、1人でやってきたレイトショー。私は特段周りに目を向けることは無く、雰囲気に浸りながら、作品に入り込んだ。
原作を昔読んでいたものの、映画のために再び読み返すことはしなかったので、シーンが移り変わるたびに、漫画の一コマ、一ページがぼんやりと思い出された。
原作の繊細な感情描写を保ちつつ、映画化された「窮鼠」は、しっとりとした、"大人の見る映画だ"ということを実感させた。
実はその中でも私の覚えているシーンで、たまきちゃんと大友先輩の水族館のシーンが地味に好きだったのだが、そこが無くて寂しさを覚えた。
時がたち、エンドロールに入ったころ、ふと横の席を見ると、ひとりで見に来たらしい中年の男性が、きれいな涙をしている姿が目に入り込んだ。
周りが若い女性だらけな中で、一人で見に来た中年男性。
どういう背景でやってきたのかはわからないし、涙を流している意図も知らないが、スクリーンの明かりで映し出されたその表情は、今でも忘れられない。
終わったときにはもう23時を過ぎていて、雨が降っていた。
暗い夜道を歩き、映画の余韻に浸るそのひとときは、きっと大学1年生の私にとって、ベスト3に入るくらいには大人でゴージャスな時間だっただろう。
映画を見ることもなくなってしまった今、
私にとって、雨の中、初めてのレイトショーを見たことが、大人の一歩を踏み出したと言える行動になった。
余談:キャンペーン期間、いつのまに過ぎてしまいました笑
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