鈍らない腕。
この一週間、異常に忙しかった。やらなければならない仕事や、集中したい仕事があるのにスケジュールというのは無情だ。時間が奪われ、力が分散してしまう。以前よりは、キャパのコントロールができるようになったが、やはりイレギュラーな忙しさは、まだ乗りこなせていない。しかしながら、良い汗をかいた感覚の一週間だった。この一週間の振り返りは、また明日以降にするとしよう。
明日早いので、もう寝なければいけないし、カラダもヘトヘトでいつ目蓋が下りてもおかしくない状況で、何故この文章をフリック入力しているのか?
それは、あの近所のスーパーの彼の話を書きたいからだ。
近所のスーパーの彼についてはこちら↓
あの袋詰めの達人の彼が袋詰めを封印させられてから、もうかれこれ一年近くが経つ。
僕がレジに、重い買い物カゴを置くと彼は僕の目も見ずに商品のバーコードを読み取りながらこう言った。
「レジ袋の大きさどうします?」
以前、選択を間違えて大声を出されたので、今回は間違えたくはない。一応、どのくらいが良いか質問してみることにした。恐る恐る。
「どのくらいの大きさがいいですかね?」
「うーん……あまり具体的には言えないですけどね」
どうやら、店のマニュアルで具体的には大きさを勧められないらしい。きっと、入らなかった時のクレームの対応が大変だからだろう。
「なんとなくで大丈夫です」
僕は食い下がり、再度質問をした。
「……まあ、大二枚かな? ……いや、特大一枚でもいけるのか?」
その時、彼の目があの頃の鋭い目に戻った気がした。
「試してみていいっすか?」
そう言われて、僕が了承する返事を終える頃には、特大のレジ袋の中に綺麗に商品が詰め込まれていた。そのスピードと、詰め込まれた商品のバランスは芸術的だった。
「入りましたね」
そう言って彼は綺麗に詰め込まれたレジ袋を僕に渡した。
次の日、同じ様にレジ袋に悩むそぶりを見せてみた。また詰め込んでくれることを期待して。しかし、今回彼は詰め込んでくれなかった。
自分で詰め込んだ不格好なレジ袋をぶら下げて帰った。
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