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インド瞑想記2:にわかにときめく。

 インドでの瞑想イベントに日本からは約120名が参加。ほとんどの人が12月27日に発ったが、わたしは愛猫と離れがたかったので28日に出発し、乗り継ぎのデリーで1泊した。テント生活を前に英気を養うべく、5つ星ホテルでくつろいでいたところ、会場に前乗りした瞑想仲間からLINEが届いた。なんと、テントが予定数の3割程度しかできあがっていないという。帰国するか、ホテル泊か、ドミトリーに入るか相談しているというのだ。

 ここまできて帰国はないし、ホテル泊を続ける予算もない。とりあえず会場に向かい、ドミトリーに入ると返信。あのときのわたしは「インドっぽいよね〜」なんて軽口を叩く余裕があった。バックパッカーだった若い頃に宿泊したヨーロッパのユースホステルを思い返し、あんな感じでしょうと高を括っていたせいもある。しかし、アラフィフで泊まる大部屋は、体にかかる負荷が違うということをのちのち思い知ることになる。

 翌日、スモッグに包まれたデリーから陽光まぶしいハイデラバードへ。ハイデラバードはカレー好きの間ではビリヤニの聖地として知られ、AmazonやGoogleの世界最大規模のオフィスや、ボリウッドの撮影所がある大都市だ。空港で真っ赤なルージュが似合うおしゃれな女性がいたから話しかけると、同じ会場へ向かう人だった。福岡に3か月留学していたことがあり、いまはアムステルダムの大学でサスティナブルエコノミーの研究をしているという。ワンダフル。「あなたは何をしているの?」と聞かれ「フリーライターだよ」と答えたら「Oh! beautiful!」と言われた。

 空港と会場を結ぶシャトルバスに乗り込むと、隣席はブラジル人の船乗りで、横浜、神戸、博多などに寄港したことがあるという。旅の高揚感も手伝い、話が弾む。彼はハイデラバードまで3回乗り継ぎ、24時間以上かけて到着したものの、ロストバゲージに遭い、荷物はエチオピアと聞いて笑ってしまった。(これはもしかして、素敵な出会い?)と一瞬浮かれかけたけれど、サーファーで船乗りなんて、きっとモテモテで各国の港にガールフレンドがいるに違いないとひどい偏見をもとに勝手にジャッジ。

 次なる出会いに向けてウキウキしながら、綿花畑が広がるなかをバスに揺られること40分。ようやく会場に着くと、受付周辺に人だかりができている。スタッフが瞑想に出払ってしまい、受付作業が滞っているという。瞑想は毎日同じ時間に規則的にしたほうがいいとはいえ、こういうときにもちゃんとするんだね、と半ばあきれ、半ば感心する。小1時間待ち、ようやく受付を済ませたところで、たまたま通りかかった日本人から言われた。

「ドミトリーがどこもいっぱいだから、早く空きベッドを探しに行ったほうがいい」。
(つづく)

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