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バースデーひとりっぷ2泊3日高松・小豆島 備忘録その4

こんぴらさんで、膝ががくぶる

バースデーひとりっぷ最終日は、朝9時にチェックアウトし、荷物を預かってもらって、金刀比羅宮へ。金刀比羅宮は、香川県琴平町象頭山に鎮座する神社で、御祭神は大物主神と祟徳天皇とのこと。よくわからんが、とにかくバースデーひとりっぷでは、神社に行くのが恒例です。御本宮まで行くには、階段がね、785段もあるのですよ。
とっとことっとこ、隣を登っていた家族連れの子どもが、「もうやだよ、歩けないよ」と言い出したのは300段を過ぎたあたりでしょうか。「ゆっくり登ろう」とおかあさんは言っていたけれど、あの子、どうしたかな。おんぶしてもらったかな。
途中、知らないおじさんから「上見て登ったらあかんで。急やから」と言われ、「なんで?」と思いつつ、「はい、ありがとうござます」と返事。資生堂パーラーのある500段を過ぎたあたりで、理由がわかりました。上を見ると、頭の重さで重心が後ろになるでしょ、足が疲れていて体幹が保てず、おっとっと、と背中から転がり落ちそうになるのよ。あぶない、あぶない。つい、あとどのくらいあるかな、と見上げたくなるのをグッとこらえました。

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生まれてきたことに感謝

そろそろかな、といったあたりで、笛の音が聞こえてきました。こんぴらさんともなると、こういうのがあるんだあ、風流、と感激しながら、ついに御本宮へ。到着した10時から、ちょうど花まつりが行われていて、笛の音もそのためだったみたいです。神職、巫女たちがリレーした供物が次々と御本宮の奥へと運ばれていきます。たまたまだったわけだけれど、こういう日にお参りして一緒に神に祈りを捧げることができたことで、自然とね、この世に生を受け、ここまで無事に生きてこられたことに感謝することができたんですよ。こういう種類の感謝の念をはっきり感じたのは初めてな気がする。
おみくじも引きました。誕生日くらいしかおもくじひかないんだけれど、いつも大吉です。神様っているんだなあ、と思う瞬間です。でも大吉って、調子に乗らせないようにするためか、いいことばっかり書いてあるわけじゃないんですよね。中吉くらいのほうが、ぜんぶいいこと書いてあったりする。

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今回の大吉も、縁談の項目だけ長く、いやなことが書いてありました。これも毎回同じで、なぜか縁談だけいやなことが書いてある。神様って、見ているんですね。御本宮のさらに上には奥社がありますが、もう膝ががくがくぶるぶるしていたので、次のお楽しみに。あしたは絶対に筋肉痛だな、と思いながら、がんばって下山。のぼってきた9時台はそれほど混んでいませんでしたが、おりた11時台は、ずいぶんと混んできていました。途中、資生堂パーラーに寄りました。季節のパルフェはいちごが山盛り。ちょうどいい休憩所が資生堂パーラーだなんて、ご機嫌になります。

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猪熊弦一郎現代美術館で童心に返る

宿で荷物をピックアップし、JR琴平駅へ。ダッシュ。足が、限界。ホームで待っていた電車に乗り込み、40分の道中は爆睡して、丸亀駅に到着しました。さて、美術館は徒歩1分とあるけれど、すぐにわかるかしら、と駅を出ましたら、すぐにわかりましたよ。とんでもなくおしゃれなオブジェのある建物が、どーんと駅前にあるではないですか。こんなに駅近、しかも入場料が安いんでよ。わたしが丸亀市民だったら、毎週、行っちゃうと思う。

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猪熊弦一郎さんは昭和を代表する洋画家で、猪熊弦一郎現代美術館は、ご本人が寄贈した2万点の作品を所蔵、現代美術を中心に展示している美術館です。数年前に東京で展覧会を見たときにも思ったのですが、猪熊さんの絵って、「わたしも絵を描きたい!」という気持ちにさせてくれます。
真剣で自由で遊び心がある。
私物も展示されているコーナーがあり、ごちゃごちゃした雑貨から、腐ったりんごまで。旅に出る前にぴかぴかしていたりんごが、戻ったら朽ちていて、そこに美を見出したのか心を動かされたのでしょうね、ずっと取ってある。そういうところが、好き、と思いました。最近のわたしはものを減らすべく断捨離などしていましたが、ごちゃごちゃしたままで、いいじゃな〜い、と開き直るにいたりましたよ。

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丸亀城でお殿様気分

帰りの飛行機まで時間があり、高松市内に戻って市内を散策しようかとも思いましたが、ふと思い立ち、丸亀、観光、で検索したら、あるではないですか。丸亀城、が。
美術館は当日に限り再入館可能なので、荷物をロッカーに預けたまま徒歩10分程度の丸亀城へ向かいました。
天守閣が現存するのは日本で12城だけで、丸亀城はそのうちのひとつらしい。標高66メートルの亀山に築かれた平山城で、石垣の名城としても知られているそう。たしかに高松城のような手入れの行き届いた庭はないけれど、荒々しい、いかにも守ってます、といったムードの石垣が続いています。
天守閣は小ぶりの3階建て。街を見下ろすと、この一帯を支配していたお殿様の気持ちになりまして、ちょっとね、怖くなりました。よしっ、わが支配地よ、みたいな威勢のいい気分じゃなくて、もしもわたしがお殿様だったら、とっても心細くて、お殿様やめたいって思ったろうなあ、と。代々のお殿様のなかには、「自分、向いてない」というひと、きっといた気がする。上に立つっていうのも、楽じゃないよね、と昔のお殿様に同情しながら、城を後にしました。

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旅を終えて

これを書いている時点で、2泊3日のバースデーひとりっぷから3週間が経ちました。去年の秋に御蔵島にイルカを見に行ったときはツアーだった。今回、3年ぶりにひとり旅をして、わたしにとって旅とはひとりでするものだなあ、と実感。誰にも気兼ねすることなく、次の行動を自分で好きに決める。遅れてもいいし、やめてもいいし、早めてもいい。ひとつひとつが決断の連続で、決めないで流れに身を任せるというのもひとつの決断で。いつもひとりでいるけれど、いつもは仕事に追われているので、旅に出て仕事から離れることでいろいろと感じることもあり。とくに今回はこんぴらさんのお参り中に内側から湧き上がってきた、生への感謝の気持ちを忘れないでいよう、と思いました。
みんなも気が向いたら、ひとり旅、してみてね。そして感想を聞かせてね。
(おわり)

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