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100円玉 6月15日

昨日は気分はすぐれないし、暑かったし。
一日家に引きこもっていたかったのだけれど、
郡山まで行かなければならない用事があり、バスで向かった。

公共の乗り物はぼんやり過ごすのにもってこいだ。
しかも行先は終点。うっかり寝てしまっても乗り過ごす心配もない。

用事を済ませて帰りもバスに乗るつもりだったので、時間を見ながら
本屋さんをウロウロ。ネットで本を買うのは便利でもちろん利用もしているが、本に囲まれながらウロウロするこの時間自体が好きで、これは
リアルな書店でないとできないこと。前から気になっていた本が
ちょうど目に留まったので購入することにした。こんな「たまたま」の
出会いも書店ならではかもしれない。
お会計の際のお釣りを受け取ろうとしたら、つかみそこねた100円玉が
コロコロとうまい具合に数メートル転がって、後を追いかける私。
その先にいた女性(たぶんレジ待ちをしようとしていたのだと思う)が
親切にも一緒に(私よりも先に)100円玉を追いかけてくれた。
そしてその女性が拾い上げて下さった100円玉を無事に受け取り、
お礼を言いながらお互いちょっと笑ってしまった。あんなに長く転がるとは私もきっとその女性も思っていなかっただろうから。
レジの店員さんをおきざりにしてしまい、慌てて戻るとその方も少し
笑っていた。わずかながらアハハ、エヘヘのやりとり。

帰りもバス。
今度は終点ではないので、ちょっとだけ気をつけながら本を読む。
乗車した時はたくさんいたはずの乗客も、最寄りのバス停に近づくと、
いつの間にか私ひとりになっていて、慌ててカゴからお財布を取り出し、
乗車賃の小銭を用意する。握りしめていた乗車賃を乗車券と一緒に
車内アナウンスの通りに運賃箱へ。
それがどういうわけか入れたはずの金額が100円足りない。運転手さんも「あれ、機械が関知していないのかもしれないね」
なんて言ってくれた。けれど、まぁ足りないならば払いましょうと、
お財布からまたあらためて100円を取り出しお支払いをして降車。

「んー。ぴったり用意していたんだけどなぁ」

なんて思いながらバス停から歩きながらお財布をしまおうと、
カゴを見ると、そこには100円玉が。握りしめていたつもりが、
手のひらからこぼれ落ちたのだろう。
あぁ。お支払いしておいて良かった~。

なんだか100円玉に翻弄された(というほど大層なことでもないけれど)
出来事だった。でもそのお陰で人のやさしさに触れることができた。
人生とはこんな感じでとんとんにできているのかもしれないな。

6月15日(土)
この3日ほど夏日のような日が続いている。今日も。
営業日だというのに表の通りを歩く人の姿をほとんど見かけなかった。
そんな中、台湾から観光でいらした2人組の女性。
15日間かけて日本を旅するのだという。しかもバスや電車を使って。
福島もあちこち巡るようだけれど、ニコニコと楽しそう。
郡山で向かうバス(バス停はお隣りのお店の前)の時間を教えてあげて、
手を振って見送った。
福島での人とのやり取り、そしてバスや電車からの風景が、
旅の良い思い出となりますように。