見出し画像

蔵前へ、そして千葉へ 5/23

千葉の実家へ1泊の予定。
いつもだったら新幹線で上野から千葉へ直行するのだが、たまには
少しだけ寄り道をしようとふと思い立ち、久しぶりにご挨拶だけでもと、蔵前にあるin-kyoの古巣、アノニマ・スタジオへ連絡。
そして忙しいかな?そんな都合よく東京には来てないかも?と思いつつ、
ダメ元でSyuRoのうなちゃんに連絡を取ってみたところ、
ちょうど長野から日帰り出張で上京するというタイミング。上野あたりで
ランチをしようと約束をした直後、今度はSalviaのセキユリヲちゃんから蔵前のshopを5/25にリニューアルopenするとのお知らせメール。
「あぁニアミス…」と、返事をしたところ、準備のために23日にユリヲちゃんも東川から上京するというミラクル。

というわけでうなちゃんとランチ後、一緒にオープン準備中のサルビアへ立ち寄って、
3人が久しぶりに蔵前に集合。ほんの数分の立ち話ではあったけれど、
それでも顔を合わせることができただけで一気に蔵前にいた頃へと時間がワープする。
今でこそ蔵前といえばshopやアトリエが立ち並び、若い人たちも多く行き交う人気のエリアとして周知されるようになっっている。が、そうした町へと変化していくずっと前、アノニマ・スタジオの一角にin-kyoというお店を構えた。その後にうなちゃんやユリヲちゃんをはじめ、ここで出会ったたくさんの方々やモノ、伝統ある町の行事などに関わって、次第に化学反応のごとく町が変化していく只中に身を置くことができたのは、私の人生の宝ものだと思っている。大袈裟ではなく、あの時間がなかったら今の私は今頃一体何をどうしていたのだろう?想像すらできない。
もちろん楽しいことばかりでもなく、心が折れそうなことも山ほどあった。それでもなんとか明日へと歩みを進めることができたのは、あの頃
出会った仲間たちがいたから。そのことが今でも私の支えになっている。
と、それはことあるごとに宝箱の蓋をこっそり開けるように、思い返していることなのだが、思いがけず3人が揃って、それもその場所が蔵前ということに、鼻先がつーんとして涙がじんわり滲んだ。
数年前にユリヲちゃんは北海道の東川へ。うなちゃんは長野県の御代田へ移住。それぞれが、それぞれの町で模索しつつも新たに歩みを進め、その先でまたちゃーんと楽しんでいる。「いいところなんだよねー」って、あの頃と同じように。他にもそんな人たちが何人もいる。
お陰でこれまで知らなかった土地へとお互いが思いを馳せることもできて、広々と豊かな心地を味わっている。
蔵前のSalviaには北海道のものが、SyuRoでも長野のものが紹介されていて、それはまるでタンポポの綿毛がふ~わりと旅するかのように、またどこかで花を咲かせるんじゃないだろうか。

二人と別れたその足で久しぶりのアノニマ・スタジオへ。
皆さんお変わりなく、でもそこへ新しい爽やかな風もそよいでいた。
頭の中ではお店をはじめたばかりの17年前の記憶と今が行ったり来たり。
打ち合わせでも用事があるでもないのに立ち寄った私。同い年、Sさんとしばし近況などよもやま話。お忙しいのに、そんな時間をゆったりとつくって下さったことが本当にありがたかった。いただいたクロモジ茶もこの日の
蒸し暑さをスーッと和らげてくれるいい香りだった。
帰りにはSyuRoへそそくさと寄ったが、その前に裏道、裏道をくねくね歩いていたら一瞬道に迷う。まさかである。あんなに何年も歩いたり自転車をすっとばしたりしていた道だというのに…。それだけ年月が経ったということもあるし、新しいビルやお店ができて町が変わっているというのも理由になるかどうか。
蔵前まで来たのならあっちへもこっちへも。あの顔、この顔とたくさんの
人が浮かぶものの、そろそろ千葉の実家へと急がなければ。
さらに常磐線へ乗る前に途中、信陽堂の丹治夫妻にこれまたちらりとご挨拶。蔵前時代を辿るような一日。私にしては珍しく人に会った。会いに行った。それでもなにもかもがスムーズで、帰りの電車も予定通り。
最寄りの駅に着いて実家に向かって歩いていると、充実した一日を象徴するかのような美しい夕焼け空が広がって、良い締めくくり。
身体は疲れたけれど、ポッと心に灯りがともるような一日だった。

5月23日(木)晴れ
東京は暑いかも…でも寒くなったらどうしようと、心配性は荷物が増える。
結局半袖でもちょうどいいくらいの暑さに。着ることがないまま持ち帰る
ことになりそうな羽織モノと長袖Tシャツ。
実家で母と晩ごはん。90歳になる母。年齢も年齢なので身体の面で心配なことももちろん多いが、それでも簡単なものながら自炊をしている。私があれこれ家のことをやろうとすると「疲れるからやらなくていいよ」などと気を遣う90歳。こんなことで私が疲れていたらお母さんはどうなっちゃうのよ!と心の中で言い返し、あははと笑ってちゃっちゃか終わらせる。
お母さん、私もそんな90歳になりたいと心から尊敬しております。